マレーシア・イスラム美術館は、クアラルンプールの博物館の中でも一番人気です。イスラミック・ブルーのような妖艶な美しさが、その人気の秘密であることは、訪れるとすぐにわかります。イスラム美術館の前には国立モスクがあり、マレーシアのイスラム芸術の聖地のようなエリアです。
背後には緑が充満した巨大な公園、レイク・ガーデンが広がっています。クアラルンプールの街の喧騒を離れて、とてもすがすがしくなれるエリアです。
心が安らぐイスラムミック・ブルー
マレーシア・イスラム美術館は開館が1998年とまだ新しいこともあり、壁や床の白さがとてもクリーンで、すがすがしく感じます。また天井が高く、イスラム芸術を象徴するドーム天井を、実際にモスクにいるような空間で鑑賞できることも大きな魅力です。
マレーシアはもちろん、トルコ・アラブ・イラン(ペルシャ)といった他のイスラム教国や、インドなどイスラムと関連する他国の文化財も展示されています。世界中のイスラム芸術を楽しめるようになっています。
1階(入口の2つ上の階)ではまず、世界の著名なモスク建築のミニチュア模型が並んでいるのが目に入ります。
聖地メッカのモスクの巨大さには驚かされます。メッカにはイスラム教徒でかつ巡礼目的でないと行けないため、とても興味深く見ることができます。野球場が何個も入るような巨大な建物ですが、大部分は平屋建て、つまり1階だけです。祈りをささげる人を収容するためにこれほど巨大になったのでしょう。
室内から見た天井ドームの美しさは、この美術館の最大の目玉です。白を基調に、様々な繊細な色使いで装飾が施されています。光のあて方もとても上手です。ナチュラル感が強いことから自然光も取り入れているのかもしれません。いずれもとても上品です。女性はもちろん、男性が見てもうっとりします。
イスラムと聞くと、現代の中東が直面する様々な悲しむべき紛争の影響でしょうが、荒々しいイメージを持たれがちです。しかし彼らの文化は決してそんなことはありません。ここの天井ドームを見れば、全員が納得できます。建築の装飾の美しさとしては世界トップクラスであることは間違いありません。
イスラム教国の国旗によく使われていることから、イスラム文化では聖なる色である緑色を連想してしまいます。しかし王族の衣装や絨毯は、様々な色の組み合わせが見事です。ペルシャ絨毯がもっとも日本人にはわかりやすいでしょう。赤・青・茶色・黄色と様々な組み合わせは秀逸です。
王冠や首飾りの宝飾品、武具の金細工も見事です。日本の職人技を思わせるように、繊細で幻想的です。木製の家具、陶磁器、置物などを見ても、文化の成熟度はとても高いと感じさせます。
イスラム世界はヨーロッパで大航海時代が始まるまでは、まさに世界の文化の中心だったことがわかります。アラビアンナイトの物語の世界に飛び込んだようなバーチャル体験ができます。
最後にミュージアムショップにも必ず立ち寄ることをおすすめします。イスラムらしい幾何学的なアラベスク模様のデザインが施された土産品が所狭しと並んでいます。マグカップや絵葉書は特に買いやすいです。
紫色のローブを借りる観光客の列
イスラム美術館の前は。巨大な国立モスクです。礼拝時間以外はイスラム教徒でない観光客も内部を見学できます。ただし男女とも肌を見せることはNGなのでローブのような衣装を借りる必要があるようです。
イスラム芸術の美しさには目を見張るばかりです。マレーシアは、インドネシアと並んで日本から最も近いイスラム教国です。訪れる価値の高さは間違いなしです。
こんなところがあるのです。
ここにしかない「美」があるのです。
世界史に燦然と輝くイスラム美術を知ろう!
マレーシア・イスラム美術館(Islamic Arts Museum Malaysia)
https://www.iamm.org.my/(公式サイト:英語)
https://www.tripadvisor.jp/Attraction_Review-g298570-d455067-Reviews-Islamic_Arts_Museum_Malaysia-Kuala_Lumpur_Wilayah_Persekutuan.html(トリップアドバイザー:日本語)
原則休館日:なし
おすすめ交通機関:KTM Komuter「Kuala Lumpur駅」下車徒歩5分、もしくはLRT(Kelana Jaya Line)「Pasar Seni駅」下車徒歩10分
公式サイトのアクセス案内
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