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北京 景山公園_幻想的な紫禁城の屋根の絶景はここだけ

2019年07月25日 | 城・屋敷・歴史遺産

北京の景山(けいざん)公園は、故宮(紫禁城)のすぐ北側に隣接した緑のオアシスですが、何と言っても小高い丘の上からのぞむ紫禁城の荘厳な光景が訪れる者を虜にします。

  • 紫禁城を囲む堀を掘削する際に出た土を積み上げた人口の山で高さは43m
  • 真正面に紫禁城の美しいオレンジ色の屋根が並ぶ光景は荘厳そのもの
  • 北京中心部の高い山はここだけ、故宮以外にも様々な北京のランドマークが見える


皇帝たちが愛した緑のオアシスは、今は市民の憩いの場になっています。故宮を訪れたら必ず立ち寄るべきスポットです。故宮の美しさの体感は、この荘厳な遠景も見ないと片手落ちになります。


故宮・外朝・保和殿から見える景山公園

景山公園は、現在に至る紫禁城を明の永楽帝が1406年から15年かけて造営した際、紫禁城を囲む幅50mの堀と西隣の南海を掘削した際に出た土を積み上げた人口の山です。北京市街は巨大な盆地で起伏がほとんどなく、現代になって高層建築ができるまでは永らく北京で一番高いところでした。

明・清朝を通じて皇帝の庭園となり、一般市民は見ることができない絶景を楽しんでいました。眺望を活かして市中の監視にも使っていたことも考えられます。紫禁城が故宮博物院として一般公開された3年後の1928年に、景山公園も一般公開されました。

現在では中国の公園では随所で見られるように、高齢者やグループが音楽と共にダンスや太極拳を楽しんでいます。木々が出す新鮮な酸素と喧騒から離れた静かな空間を求めて、家族連れなど様々な人々の憩いの場となっています。


故宮の北端・神武門から見た景山公園

紫禁城・神武門のすぐ北側にある南門が景山公園の入口としては便利です。南門の真正面の山頂の楼閣・万春亭(まんしゅんてい)まではほぼ直線に階段状の登山道をのぼると5分ほどでたどりつけます。登山道の途中はうっそうと木々が茂っており外の様子はあまりわかりませんが、山頂に達したとたんに絶景が目に飛び込んできます。


万春亭から見た紫禁城のオレンジ色の屋根

万春亭は北京の街の中心線上に位置しており、真正面に神武門から天安門に至る紫禁城の全景をのぞむことができます。オレンジ色の屋根が波打つように並んでいる光景はまさに”荘厳”以外の何物でもありません。この荘厳さを見た瞬間、「来てよかった」と誰もが感じることでしょう。

紫禁城の右手(西側)には中南海の森と北海公園が見えます。いずれも明・清朝時代には皇帝たちが水遊びを楽しんだ庭園です。中南海は中国政府の中枢機関が置かれて立入禁止ですが、北海公園は一般公開されています。

中南海には、アメリカのホワイトハウスにあたる国家主席の官邸を中心に共産党本部や中央政府である国務院、他の要人のオフィスがあるとされています。内部の建物や機関についてはまったく明らかにされておらず、内部の様子をうかがい知るにはこの万春亭からの眺望しかありません。しかしただの森にしか見えず、建物の屋根がわずかに見えるだけです。もし詳細に見えたら万春亭は立入禁止になるでしょう。

北海公園は万春亭から紫禁城に向かって右横(真西)から右後(西北)に位置します。こちらは水辺で楽しむ市民の様子をのぞむことができ、とても清々しい気分にさせてくれます。

北京は街の中心の紫禁城と巨大な公園を取り囲むように、高層ビルが立ち並ぶビジネス街になっている様子もよくわかります。この取り囲みが、明・清朝時代に「内城」と呼ばれた北京の旧市街を取り囲んだ城壁の跡で、環状に地下鉄2号線と環状道路・二環路が通じる北京の現代の大動脈になっています。


紫禁城の堀

万春亭からの絶景は朝一番か夕方がおすすめです。日中は紫禁城の方向が南側であり、直射日光により空気のよどみが目立ち、写真写りも逆光になるためです。夕方は夕焼けが紫禁城の屋根を色づけるため、より幻想的になります。私も次回は夕方に訪れてみたいと思います。

中国は空港に着陸する際にどこでも感じられますが、空気のよどみがまだまだ目立ちます。北京の空も例外ではなく、万春亭からの遠景は日中、見にくくなるのが現状です。近距離の天安門広場の人民大会堂ははっきり見えますが、少し距離のある東側の摩天楼エリア・CBDにある高さ528mの北京最高峰の高層ビルはかなりかすんで見えます。

東京スカイツリーやあべのハルカスからの絶景のように、澄んだ空気で街中が見渡せる日が来ることを待ちたいものです。


紫禁城の角楼

万春亭のすぐ下の紫禁城の北東端の角にある見張り台・角楼に向かって塀の上を神武門から歩く人の姿も手に取るように見られます。紫禁城の四隅の角楼は東側の2つは公開されており、高さ10mの塀の上からも北京の街の絶景がのぞめ、とても優雅なウォーキングが楽しめます。

一方、西側の2つは公開されていません。今後も公開されることはないでしょう。中南海の内部が間近に見えてしまうからです。

こんなところがあります。
ここにしかない「空間」があります。



中国を代表する絵本画家が北京の街の中心を南から北へ描いていく
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<中華人民共和国北京市西城区>
景山公園
【北京市文化観光局公式サイト(日本語)】景山公園

原則休館日:なし
入館(拝観)受付時間:6:30~20:30(11-3月は~19:30)

※有料エリアへの出入口は南門/東門/西門の三か所あります。
※故宮出口「神武門」の正面にあって利用者数が多いのは「南門」です・
※外国人観光客はチケットの購入にはパスポート(現物)が必要です。



◆おすすめ交通機関◆

地下鉄8号線「中国美術館」駅下車、「南門」チケット売り場まで徒歩15分


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