京都の新春は名物行事が目白押しです。三十三間堂の「通し矢」はその最たるものです。2019年は1月13日(日)に行われます。晴れ着や袴姿の新成人男女が長いお堂にそって矢を的に当てる競技大会で、新春を彩る華やかさが全国ニュースでも恒例になっています。
- 境内は晴れ着の選手で一杯、成人式のような華やかさ
- 通し矢は江戸時代から行われている歴史的な競技大会
- 当日は三十三間堂が無料開放される
- 病気に効く聖水を授かる楊枝(やなぎ)のお加持も人気
真冬の京都はとても空気が冷たくなりますが、晴れ着や袴姿で長い弓を手にする選手を見ると、背筋が伸びて凛とします。この日の三十三間堂は、まさに新春にふさわしい空間になります。
※写真は2018年の様子
通し矢は安土桃山時代から人気が出始めたと考えられており、江戸時代の前半に尾張藩士と紀州藩士の一騎討ちが人気を博しました。江戸時代は121mある三十三間堂の南端から北端まで、一昼夜で矢を射通した数を競う「大矢数」が人気でした。
1686(貞享3)年に紀州藩士が13,053本中8,133本を射通したのが最高記録としてのこされています。24時間ぶっ続けで、平均して1分に9本放ち5本強を射通したことになります。現代の常識では理解に苦しむような数字です。
奈良の東大寺や江戸の浅草でも行われていましたが、江戸時代後半には下火になり、明治になるとほとんど行われなくなります。会場となる三十三間堂の西側の壁には今でも、無数の失敗した矢の傷が残っています。
無料開放されている三十三間堂の入口ゲート
現在の通し矢は、戦後から行われるようになった大的(おおまと)大会と呼ばれる競技大会です。江戸時代とは様子がずいぶん異なります。矢を射る方向は逆で北から南に射ます。距離は半分の60mで、射通すのではなく的に当てることを競います。参加できるのは弓道の有段者の新成人と称号を持つ人です。
垂れ幕の中が競技会場
10:50から始まる新成人女子の部が、晴れ着姿が華やかなこともあり、最も混雑します。なお競技そのものの見物や写真撮影は非常に困難です。的のある南側は危険なため全く会場が見えないようになっています。矢を放つ北側も選手が集中力を保てるよう近づくことはできません。見通しの効く有料の観覧席もありません。華やかな選手が集う雰囲気を楽しむことに割り切るのが現実的です。弓道という競技の性格上やむを得ず、お堂の横に見物できるスペース自体もほとんどありません。
三十三間堂の東側には屋台が出る
【三十三間堂公式サイトの画像】 楊枝のお加持、通し矢
堂内では楊枝のお加持が行われます。楊枝は”ようじ”と読みそうになりますが、シダレヤナギのように枝が垂れ下がるのではなく、ネコヤナギのように枝が建つ種類のヤナギにこの字を用いるのが厳密には正しいようです。
高僧が参拝者の頭に楊枝で聖水を振りかけます。病気や頭痛に効くと信じられており、冷たい水が頭皮にかかった瞬間には、確かに頭がシャキッとします。長い行列ができますが、一人当たりの時間は短いので回転は悪くありません。
この日は拝観が無料になる上に、楊枝のお加持を求める人も加わり、境内はとても混雑します。しかし三十三間堂がこれほど華やかになるのはこの日の他ありません。
三十三間堂の東隣の後白河法皇ゆかりの法住寺では、この日「大根焚き」も行われます。京都の各地の寺で冬に行われる恒例行事で、寒空の下でいただく”ホクホク”感はたまりません。
ぜひ東山七条までお出かけください。三十三間堂向かいの京博のお正月の展覧会もおすすめです。
【法住寺 公式サイト】
東山が雪化粧すると七条通りから見えます
こんなところがあります。
ここにしかない「空間」があります。
日本の弓道の歴史が三十三間堂に詰まっている
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蓮華王院 三十三間堂
楊枝(やなぎ)のお加持と通し矢
会期:毎年1月中旬の日曜日、2019年は1月13日(日)
入館(拝観)受付時間: 9:00~15:30
※新成人男子の部は8:30競技開始、新成人女子の部は10:50競技開始
蓮華王院 三十三間堂
【公式サイト】http://sanjusangendo.jp/
原則休館日:なし
入館(拝観)受付時間:9:00~15:30(11/16-3/31)
◆おすすめ交通機関◆
京都市バス「博物館三十三間堂前」下車、徒歩0分
京阪電車・七条駅下車、3,4番出口から徒歩7分
JR京都駅から徒歩20分
JR京都駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:10分
京都駅烏丸口D1/D2バスのりば→市バス86/88/100/106/110/206/208系統→博物館三十三間堂前
【公式サイト】 アクセス案内
※休日の午前中を中心に、京都駅ではバスが満員になって乗り過ごす場合があります。
※休日の夕方を中心に、渋滞と満員乗り過ごしで、バスは平常時の倍以上時間がかかる場合があります。
※この施設には無料の駐車場があります(公道に停車した入庫待ちは不可)。
※渋滞と駐車場不足により、クルマでの訪問は非現実的です。
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