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大連 現代博物館|美の五色 ~歴史の展示が素晴らしい博物館

2018年12月07日 | 城・屋敷・歴史遺産

中国・大連の現代博物館はとても興味深い博物館でした。日本による侵略や共産党のプロパガンダばかりを強調する展示ではなく。ロシアと日本の統治時代を「多元文化的交流与融合」の時代として紹介していることがとても印象に残ります。正直、意外でした。

  • 大連の街がロシア人と日本人によって造られたという歴史を忠実に伝えている
  • 戦前の街のジオラマから活気がよく伝わってくる
  • 古い写真や地図など史料がきちんとのこされている


展示に工夫が見られ、どの部屋も興味深く見ることができます。大連と日本の関係の深さがとてもよくわかる博物館です。


展示室の入口

大連現代博物館は市の中心部から少し南にありますが、地下鉄の駅が近く訪れるには便利です。黄海に面した海辺の巨大な星海公園の北端に、2002年に設けられた比較的新しい博物館です。

星海公園は、戦後にゴミ捨て場として使われていた海を埋め立てて造った世界最大級の広場で、付近は超高級マンションが立ち並んでいます。正面の海には長大な道路橋が架けられており、夜景の人気スポットにもなっています。中国の経済発展の勢いを象徴するような場所でもあります。

解説は中国語しかありませんが、漢字なので固有名詞を中心に何となくわかります。港や中山広場、鉄道が建設されていく様子が、写真や古地図を用いて丁寧に解説されています。日露戦争での旅順港と203高地の激戦の様子にも、日本人は目が止まります。


203高地の激戦

江戸東京博物館や大阪歴史博物館の常設展示のように、日本の博物館でも昔の町並をジオラマ再現した展示は人気があります。何といってもわかりやすいですし、その精巧さによくぞ作ったと感心することもたびたびです。

大連現代博物館のジオラマも実によくできています。浪速町と呼ばれた戦前の繁華街はとても活気があり、整然とした街並みは美しくもあります。満州への玄関口として繁栄した当時はさぞかし楽しかった時代だったと想像できます。タイムスリップしてみたくなるほど興味深い展示が目白押しです。


昔の町並をバックに記念撮影

大連現代博物館の展示を見終わると、ロシアや日本の文化を多様性としてとらえ、客観的に史実を紹介しているという印象がのこります。ジオラマなど鑑賞者を楽しませる工夫もきちんとしています。中国の博物館はまだまだこうした工夫は少ないのが現状です。大連を訪れた際は、ぜひ足を運んでほしいと思います。


旧:満鉄本社


満鉄調査部が入居していたビル

大連現代博物館でも膨大な昔の資料がのこされていることを感じますが、市内には中山広場以外にも歴史的建造物がとても多く残されています。

中山広場の近くには、満鉄(南満洲鉄道株式会社)の本社と、優秀なシンクタンクとして名を馳せた調査部の建物がのこされています。満鉄といえば、中国の人にとっては日本による東北部侵略を象徴するような会社に思えてなりません。憎悪の対象となっても不思議ではないように思えますが、破壊することなく使用し続けています。

大連には日本の現代史の足跡がとてもたくさんのこっています。日本国内にはこのようなところはもはやのこっていません。

こんなところがあります。
ここにしかない「空間」があります。



大連は20c東アジア帝国主義の最前線都市だった

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大連現代博物館
(中華人民共和国遼寧省大連市)
【公式サイト(中国語)】http://www.dlmodernmuseum.com/
【JTB観光情報サイト】 大連現代博物館

原則休館日:なし月曜日
入館(拝観)受付時間:9:00~15:30(春夏は~16:00)



◆おすすめ交通機関◆

大連地下鉄1号線「会展中心」駅下車、徒歩5分
大連周水子国際空港から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:45分
大連周水子国際空港(大连周水子国际机场)→機場駅(机场站)→大連地下鉄2号線(大连地铁2号线)→西安路駅(西安路站)→大連地下鉄1号線(大连地铁1号线)→会展中心駅(会展中心站)


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