一膳めし 黒ねこ亭

酒市魚行是梵宮
食べることは生きること
日々の拙い食記録

第六回 佳糧会東京学会報告 vol.4 『栄寿司』

2015-12-05 16:14:14 | 佳糧会
さて、経堂カンザワを出て、カラオケーションでカロリー消費の後、世田谷区経堂からぶらぶら歩いて15分、世田谷区世田谷ボロ市通りにある寿司屋『栄寿司』へ。

こちらの世田谷栄寿司は、ドイツビール(ラーデベルガー、シェッファーホッファーヴァイスビア)とオーストリアビール(ゲッサー、エーデルワイス)を置いている。
屈狸はシェッファーホッファーヴァイスビアを、大熊猫会長はウーロン茶で、本日三度目の乾杯。



ドイツビール『シェッファーホッファーヴァイスビア』

何か摘まみを、と見ると季節物の白魚と稚鮎があるではないか。
会長は白魚の踊りを食べたことがないとのことなので、お願いする。



白魚の踊り食い

残り少なかったようで、一人前に足りない量ではあったが出してもらった。
食べ方は網で掬いぽん酢へ投入、そして箸ですくいあげ、口中へ入れたら噛まずに飲み込み、その喉ごしを楽しむ。
かなり元気がよく、掬おうとすると網から飛びだしカウンタでピチピチ跳ねるのを捕まえ、ぽん酢へ。
会長はためらいなく食べ、喉ごしを楽しんでいた。
屈狸は生きたままはちょいと無理で、ぽん酢の中で動かなくなるまで待って食べる。
普通に噛んで食べても、ほのかな苦みと甘みがあって佳い。




稚鮎の天麩羅

稚鮎を注文したあと、明日は天ぷらを食べる予定だったことに気付く。迂闊だった。
ヒマラヤの天然岩塩をつけて食べる。
ワタのほろ苦さ、身の甘みを楽しめた。




奈良『嬉長』純米原酒
摘まみに合わせて日本酒を注文。力強くキレがよい酒。




鯨ベーコン
屈狸の好物。クジラ独特のクセは少なく旨みが濃い。
辛子醤油でいただく。


摘まみと酒を楽しみ、そろそろ握りを、と思うが寄る年波か、気持ちはもっともっと食べたいのに、胃袋が承知をしない。やんぬるかな。
少しだけいただくことに。



握り
玉子焼きは握らずそのまま、真鯛といくらを握ってもらう。
温かい酢めしが口中で解れ、真鯛の皮目の脂の味わい、ねっとり濃厚ないくらとひとつになる。佳い加減の握りだ。 
この時、味噌汁が出てくるのだが、これがまた出汁が効いた、まろやかな味わいで素晴らしい。
思わず唸ってしまう。


夜も更けて、客は我々だけだったこともあり、大将に世田谷の歴史、世田谷区各町のゆるキャラについて、ボロ市通りにある代官屋敷と街の繋がりなど、多岐にわたりいろいろ面白い話を聞かせて貰え、とても勉強になった。



以前、第二回佳糧会東京学会では、浅草の『弁天山 美家古寿司』において、凛とした雰囲気のなか、吟味した素材に丁寧な仕事を施し握られていく寿司と真剣に向き合う。
そんな“よそゆき”の寿司屋の醍醐味を学んだ。
そして今回の『世田谷 栄寿司』では、敷居が低くゆったりした雰囲気のなか、料理も寿司も美味しいものを、安く気軽に楽しめる。
毎日でも行きたい“普段着”の寿司屋の深いあじわいを学べた。

これからも、いろいろな寿司と出合い、学んでいきたい。



学会一日目はこれで終了。


屈狸の栖へ帰宅する。
大熊猫会長が川越土産をくれた。

芋蒸し羊羹


コエドビール 伽羅と紅赤。


早速いただく。
甘すぎない芋蒸し羊羹と、コエドビール。
伽羅はスパイシーで力強い味わい。紅赤は薩摩芋が使われているので甘みとコクがあり、芋羊羹ととてもよく合った。



さて、明日は昼に天ぷら探究だ。


vol.5へ

第六回 佳糧会東京学会報告 vol.3 『経堂 カンザワ』

2015-12-05 16:13:13 | 佳糧会
明月館を出て次に向かったのが、同じハートフル農大通りにある居酒屋『経堂カンザワ』。

2014年9月にオープンした新しい店だが、神奈川県三崎直送の魚介を中心に新鮮な魚菜が食べられる。
店主の神沢氏が現地に赴き、漁船に乗り込み、畑に行って素材を選んでくる。
開店当初は日本酒の種類が少なく、物足りなかったが、今では種類も多くなり、なかなか飲めない珍しい酒があったり“新鮮な魚介を、佳い日本酒で楽しむ”ことが出来るので、私のような魚好きの酒徒にはまことにありがたい。


宵の口、店内は賑わっていた。
席に着いて料理を選ぶ段になり、今日は強風の影響で、魚があまり無いとのこと。
まぁ、悪天候ではしようがない。せっかく来たのだから、少しつまむことに。



サッポロ赤星で本日二度目の乾杯。



お通しは青首大根の揚げ出し
濃いめの下地が熱々の揚げた大根に絡み、よいアテになる。




厚揚げ
揚げたて熱々、外はカリッと中はふんわりぷるぷる。






刺身を少し、盛り合わせでお願いした。
炙りカマスは香ばしく、脂もあった。ウマズラハギは肝付、濃厚。
そして、テスという魚を初めて食べた。
魚類図鑑ではイラと記載されている。体色は赤く、頭部が大きいユーモラスな姿の魚。表面がヌルヌルしていて、鱗が大きく剥ぎ難いので、釣り人には不人気なんだとか。
しかし、調理次第によってはかなり美味であるとのこと。
白身でコリッとした歯応え。淡白ななかに旨みもあった。




ひじき入りだし巻き玉子
優しい出汁がふんわり香る。
たくさん入ったひじきの食感がよいアクセント。



以上軽めに三品。
三重の而今 純米吟醸をちびりちびりと酌み交わしつついただいた。
刺身はどれもピンピンと新鮮で綺麗な味わいだった。

店内はほぼ満席。活気のある厨房で奮闘している神沢氏に、再訪を約し店を出た。





vol.4へ

第六回 佳糧会東京学会報告 vol.2 『焼肉 明月館』

2015-12-05 16:12:13 | 佳糧会
キムチとナムルでビールを飲みながら、学生時代ここでタンとハラミ、そしてハツを食べていた記憶があったので、注文。
それとレバーもお願いする。




タン塩
サシが入っていない綺麗な赤身のタン。
こういうタンは固く、噛みきれなかったりするものだが、こちらのタンは柔らかく、肉汁もたっぷり。




上ハラミ
柔らかで、噛むほどにジュワジュワ~っと溢れ出る肉汁の素晴らしさ。
肉汁注意報発令!





ハツ
サクサクとした歯応え。
そしてやはりジューシーな肉汁が出てくる。




レバー
香ばしく、コクと甘みのあるレバー。




自家製のタレで念入りに揉み込まれて、柔らかく味の乗った肉を佳い加減に焼きあげ、頬張る。
口のなかに美味しい肉汁が広がる口福なひととき。
この店は、建物も内装も、そして肝心の味も昔から変わっていない。
無煙ロースターや、大排気の換気扇などは無い。
換気扇は昔の家庭によくあったプロペラのものだ。当然排気は追いつかず煙をモクモクあげながら肉を焼くと、店内は靄がかかったようになる。
そんな、時代に取り残されたような店だが、いつもお客で賑わっている。
何年経とうが変わらない旨さ。
正直で丁寧な仕事に裏打ちされた味が地元の人に愛されているのだろう。

満足して店を出る。



vol.3へ

第六回 佳糧会東京学会報告 vol.1 『焼肉 明月館』

2015-12-05 16:11:12 | 佳糧会
食いしん坊な江戸の屈狸(クズリ)と出羽の大熊猫(パンダ)氏で発足した日本佳糧学会(佳糧会)も今年で五年目。
2014年は忙しく、学会が開けなかった為、約一年ぶりの佳糧会開催となった。

今回は東京学会。幹事は屈狸。
5月GW、大熊猫会長と新宿で合流し屈狸の栖である経堂へと移動。
学生時代には大熊猫氏も屈狸も世田谷区に住んでいて、経堂にもたまに遊びに来ていた。
一昨年、屈狸が何年ぶりかで世田谷区経堂に越してきたため、今回は学生時代に食べに行っていた懐かしいお店と、屈狸が最近経堂で探査したお店に案内することにした。


一軒目は二人で学生時代に食べに行っていた、小田急線経堂駅の南側、ハートフル農大通りの中程にある焼肉屋『明月館』へ。




入り口にある懐かしいサンプル




左手の階段を上がり右手が店




なにも変わっていない懐かしい店内




我々は入れ込みのテーブル席へ




キムチ
まろやかな辛みと甘みがあって美味しいキムチ。



ナムル
香りよく、さっぱりとした味付けでどんどん食べてしまう。



懐かしい雰囲気の中、先ずは佳糧会開催を祝して生ビールで、乾杯。

すると、ここで驚きべきことが!大熊猫氏が「旨い」と言ったのだ。(正確には「うんめぇ」だが)
学生時代から大熊猫氏とは、数えきれぬほど酒を酌み交わしているが、ビールを“旨い”と言った事など一度も無かった。
いつも、“苦い”だの、“うまぐねぇ”だの、“もう結構”だのと言っていた記憶しかない。
日本酒も甘口好みで、ビールをジンジャーエールで割ったシャンディ・ガフなら呑んでいた。
そのパンダが、ビールを旨いと宣うたのだ。屈狸吃驚。

どうした事だと聞いてみると、大熊猫氏は、東京へ入る前に川越へ行っていたという。
近々、仕事で川越へ行くので、その下見をしてきたのだそうだ。
関東は日中、初夏の陽気だった。暑い中、川越を何時間も歩き回り、ロクに水分も採らずに東京に入り学会に臨んだらしい。
その渇ききった喉に、体に、冷えたビールが染み渡って-。
本人も
「初めて旨いと思った」
とのこと。
これは嬉しいことだ。
学生時代には、干上がった喉にぶっ込むビールの旨さを何度説明してもわかってもらえなかったのだから。
うんうん、やっとわかってもらえたか(笑)
いやぁ、酒徒として成長したな。また一つ男を磨けたじゃあないか。などと話しつつ、ぼちぼち肉をいただく。





vol.2へ