栄養医学ブログ

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ビタミンCとガンに関する研究報告について その一 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2024-09-17 14:43:32 | 健康・病気
米国健康協会の研究報告によると、米国の胃ガン発生率は、この80年で大幅に減少したが、その一因は、冷凍施設、輸送手段の発達によって新鮮な野菜や果物が、1年中手軽に食べられるようになったからで、それらに含まれるビタミンCは、発ガン物質の活動を抑制する効果がある、と述べている。また、繊維質の多い食品を摂取することは、食品に含まれる発ガン物質や腸内細菌により産生された発ガン物質を腸内から早く排泄するのに有効で、フィンランド人の大腸ガンの発生率が低いのは、彼らが食物線維の多いライ麦パンをよく食べるからだと言われています。

●米国国立ガン研究所の研究によると、ビタミンCはエールリッヒ腹水ガン細胞に毒性を示し、そのガン細胞の構造を変えました。このときの動物実験では、体重1kgあたり5gのビタミンCを投与している。●ゴス博士らの研究によると、ガンの多発する臓器は、ビタミンC濃度が異常に低く、45ppm以下である。●マッコーミック博士らの研究によると、ガン発生の前提条件として、低ビタミンC血症からくる退行性変化があります。ビタミンCが不足するとコラーゲン生成が不完全となり、結合組織に弱点ができ、結合組織の退行性変化がガン細胞の発生ないしは増殖を許します。●キャメロン博士らの研究によると、ガン細胞は、酵素ヒアルロ二ダーゼを盛んに遊離し、このことによって、その境界面を破壊して病巣を拡げます。これに対し、ヒアルロ二ダーゼ抑制因子の生合成においてビタミンCが補酵素として働きます。よって、ビタミンCが十分あれば、ガン細胞の増殖を抑えることができます。

References
E. Cameron, et al. Cancer and VitaminC. 1979 by Linus Pauling Institute of Science and Medicine.
I. Stone.(1972)The healing factor: VitaminC against Disease. Grosset and Dunlap.



ベンツピレンによる発ガンへのビタミンCの抗腫瘍効果について 栄養医学ブロウ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2024-09-16 10:57:46 | 日記
ビタミンCの抗腫瘍効果は、ドイツのカリストラトス博士らの研究室で実施され、ベンツピレンは、ある実験条件下で強力な環境性発ガン物質であり、悪性腫瘍を高率で発症させます。例えば、マウスとラットでは100%ガンを生じさせます。なお、ベンツピレンは、K領域にある濃い電子密度を有する10個の2重結合よりなる5つの芳香族環で構成され、そのK領域が発ガンに関係している、と言われています。そして、ベンツピレンの発ガンの可能性はマウスで調べられ、約60%の割合で高いことが分りました。

不飽和脂肪酸のグループにもベンツピレンの発ガン活性を減少させることが知られています。カリストラトス博士らの研究によると、ビタミンCは、マウス+ラット群で97%から30%、ベンッピレンにより生じたガンの危険性を著しく減少させ、担ガン動物の生存時間を延長させる事が分りました。また、ビタミンCの投与量を増やすことにより、ベンツピレンによる発ガンの可能性は、65%から21%に減少し、投与量を増やすことによりさらにその発ガン活性が減少しました。そして、ビタミンCを投与しないベンツピレン発ガンマウス+ラット群に比べると、ビタミンC投与群は、ガンの大きさで約10分の1も小さく、がんの成長速度が極めてゆっくりしていた。さらに、組織学的には、対照群に比べると、腫瘍細胞は少ししかなく、細胞分割は阻害され、ガン細胞が死んだ領域は、結合組織に取って変わった。なお、ビタミンCを投与しないラット群の横紋筋肉腫の重量は約150gで、部分標本では多くの悪性細胞を含み、部分分割が多かった。しかし、ビタミンC+ベンツピレンで処理した動物群では、ベンツピレンのみの群に比べて、重量10分の1になり、ゆっくりした増殖の横紋筋肉腫が観察され、また、ガン細胞の著しい破壊も観察され、そこは結合組織に変わっていた。結果として、ビタミンCはベンツピレンにより生じたガンに対し、著しい抗腫瘍効果を有していると、考えられます。更なる研究が待たれます。

References
J.N. Council. VitaminC。Applied Science Publisher.1982
Stone,I. (1972) The healing factor : VitaminC against Desease. Grosset  and Dunlap







各種疾患へのビタミンCの投与について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2024-09-15 20:59:09 | 健康・病気
ビタミンCは免疫能を高めるため、いろんな疾患への予防・治療に用いられています。Stone博士らの研究によると、大量に摂取した場合、抗ウイルス作用、抗菌作用、コラーゲン強化作用、それに免疫能強化作用があるため、風邪、インフルエンザ、ポリオ、肝炎、ヘルペス、狂犬病、天然痘、結核、肺炎、百日咳、ライ病、腸チフス、赤痢、発疹チフス、ロッキー山紅斑熱、塹壕熱、ツツガムシ病、リケッチャ、ガン、白血病、網膜剥離、潰瘍、腎不全、結石、糖尿病などに対しビタミンC大量療法が有効である、と報告されています。

また、ビタミンCは、抗ストレス作用と解毒作用を有するため、金属類、有機物質、毒素による中毒を解毒し、暑さ、やけど、寒さ、骨折、高山病、放射線、大気汚染、苦悩、タバコ、外傷などのストレスに対し抵抗力をつけ、その苦しみを和らげ、回復を早めます。さらに、ビタミンCは抗アレルギー作用を有するため、アナフィラキシイーショックを和らげ、これらに対し緩和作用を示し、枯草熱、喘息、食品アレルギーなどに対し効果を有する、と報告されています。

Chop博士とBreslow博士の研究によると、老化に関しては、ビタミンCは、コラーゲン強化作用、免疫能強化作用を有するため、寿命を延長する可能性があります。ヒトは年を取るに従ってビタミンC要求量が増えるため、高齢者にはより多くのビタミンCが必要です。ビタミンC大量投与による副作用については、ホーニッヒ博士の研究によると、実験動物に体重Kgあたり10gのビタミンCを長期投与したが、糖尿病の発症、変異原性の異常(遺伝子変異)、内皮細胞の損傷、胎児毒性、腎結石などの副作用は認められず、また、カスカード博士の研究によると、ヒトに40gから200gのビタミンCを経口投与したが、腸の不快感以外に副作用は認められなかった、と報告しています。なお、これらの副作用については、更なる研究が期待されます。

References
stone,I. (1972)The healing factor:VitaminC against disease. Grosset and Dunlap
Chop, H, et al. (1955)Nutritional status of the aging. A.J. Public  Health46:61-67


マイクロプラスチックによる健康被害とその対策について 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2024-09-13 10:17:46 | 健康・病気
近年、プラスチック製品が身の周りに氾濫し、それらプラスチックが分解してマイクロプラスチックやナノプラスチックになり、それらによる健康被害が世界中で報告されています。"News&Insights"によると、多くの研究者らは、肺と胃を含む体のほとんどあらゆる部位にマイクロプラスチックを発見し、マイクロプラスチックが、なぜ体に有害か疑問を呈しています。なお、マイクロプラスチックは、大陸、海洋の海底、空気や雲の中など、世界中でその存在が分ってきています。また、海洋中のマイクロプラスチックは、魚介類を経て人体に蓄積します。

Raffaele Marfella博士らの研究によると、34ヶ月にわたる追跡研究において、頸動脈にプラークがある患者では、マイクロプラスチックが、心筋梗塞、脳梗塞、死亡などの複合した高いリスクが見出されました。しかし、ナノプラスチックでのそれらのリスクは不明でした。なお、前臨床研究では、ナノプラスチックの心臓血管系疾患のリスク因子の可能性が明らかになっていました。

マイクロプラスチックやナノプラスチックへの暴露対策
●頻回に室内の掃除をし、掃除機で埃を除き、埃の中のマイクロプラスチック繊維を吸わないようにする。●使い捨て可能なプラスチック容器に入った飲料を飲まないようにする。それができないのであれば、プラスチック容器を太陽の光から遮断し、涼しくて、乾燥した環境に置く。プラスチック容器は、温度変化、あるいは摩擦などで容易く劣化します。
●飲み水を濾過する。プラスチックの広範な使用とその汚染により、水にはマイクロプラスチックの微粒子がたまに混入します。家庭用水フィルターは、マイクロプラスチックを含む、多くの汚染物質を減らすのに効果的です。
●プラスチック性まな板は使わないようにする。木製、硝子製、スチール製を使うようにする。
●電子レンジでは、プラスチック容器より硝子製容器でレンジする。あるいは、容器に入れずレンジする。これらの実行により、マイクロプラスチック微粒子が食品に入るのを防げます。

References
Raffaele Marfella, et al. Microplastic and nanoplastic in atheromas and cardiovascular events. N Engl J Med. 2024, Vol390 No10
New study links microplastics to serious health harms in humans. News&Insights/News/2024/01





β-ナフチルアミンによる膀胱ガンへのビタミンCの効果について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2024-09-10 15:15:16 | 健康・病気

化学物質や化学物質間の化学反応による膀胱ガンの発症が数多く報告されていますが、その対策としてのビタミンCの効果が報告されています。一連の発ガン物質は極めて早く酸化するので、3-ハイロドキシイアントラニール酸のように酸化し、これらを防止するため酸素スカベンジャーが存在しない場合、空気中の酸素に晒されると、自動的に酸化されます。このような発ガン物質の例は、水酸化されたβーナフチルアミンであり、これは、3-ハイロドキシイアントラニール酸のように、空気中の酸素に晒されると、受動的に酸化されます。

Schlegel博士らによると、再発した膀胱ガン患者は、毎日、1.5gのビタミンCを摂取すべきで、その量では、有害な作用をもたらさず、酸素スカベンジャーとして作用する尿中ビタミンC濃度を表す量である、と推奨しています。なお、βーナフチルアミンを犬に投与すると、毎日の投与量が多い場合、多くの犬が1年以内に膀胱ガンになることがよく知られています。βーナフチルアミンに暴露された工場従業員の膀胱ガン潜伏期間は、暴露されてから10~20年です。どの程度のビタミンC量で膀胱ガンを防げるか、博士らは、冷凍オレンジジュースの形(50mg/100ml)で実験に用いた時、約300mg/日のビタミンCに等しかった。5名の喫煙者と5名の非喫煙者が60日にわたって研究され、尿中ビタミンC値は1ヶ月の間、1日おきに測定された。これらの人達は、ビタミンCやオレンジジュースを摂取するよう指示されなかったし、このような条件での正常な尿中ビタミンC排泄は、6.2mgから5.2mg%の間で変化しました。なお、喫煙者の排泄レベルは、1.2mg%を超えず、非喫煙者の多くは、約2.omg%まで上昇しました。これらの対照期間に続いて、5名の喫煙者と5名の非喫煙者は、1ヶ月、凍結オレンジジュースを毎日、コップ3杯与えられ、ビタミンCの測定では、非喫煙者同様、1日おきに喫煙者から10から11mg%の範囲まで尿中ビタミンC値の増加を示した。対照期間、オレンジジュースを飲んでいない喫煙者の平均値は0.68mg%であり、非喫煙者の平均値は1.02mg%であった。毎日、オレンジジュースを600ml飲んだ後、尿中ビタミンC値は、喫煙者では平均4.52mg%、非喫煙者では平均4.98mg%であった。なお、この研究の目的は、測定した値が尿中に存在する物質の酸化を防いだり、発ガン性の可能性を防ぐのに十分であるかどうか調べることであった。

References

Schlegel,J.u.et al. Proposed uses of ascorbic acid  in prevention of bladder carcinoma. Ann. N.Y. Acad. Sci. 258:432-438

Schlegel, L.I. t al. (1969)Study in the etiology and prevention of bladder carcinoma.  J.Urol, 101:317-324