栄養医学ブログ

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KRAS遺伝子とBRAF遺伝子の変異による大腸ガン(結腸ガン・直腸ガン)へのビタミンCの効果 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2024-09-07 10:49:53 | 健康・病気

大腸ガンとKRAS(変異遺伝子の一種)とBRAF(ガン性遺伝子の一種)の関係が明らかになり、ビタミンCがそれらの遺伝変異を抑制することが明らかになりました。Well Cornell MediinのMargaret博士らによると、高値のビタミンC値は、細胞培養とマウスにおいて、大腸ガンの一種に殺作用がある事が分りました。この発見は、標的治療の発展にビタミンCを利用することができることを示唆しています。大腸ガンの約半数は、KRASとBRASの突然変異にあり、この形態の大腸ガンは、より攻撃的で、現在の治療法や化学療法に十分反応しません。

Lewiscantley博士(Meyer Cancer Center)とMargaret博士らは、この発見は、KRASとBRAFの突然変異種を持っている大腸ガンへのビタミンCの治療的利用を調べるためのメカニズムを提供すると、述べています。ハーバード大学とジョンズホプキンス大学の研究では、オレンジ300個に相当するビタミンC量の投与は、細胞培養とマウスでのKRAS変異種とBRAF変異種による大腸ガンの成長を弱めます。この発見は、新しい治療法の発展をもたらす可能性がありますが、この治療法による恩恵を受ける人への反論が起きました。

Cantley医師らは、この反論では、これらの大腸ガン細胞で酸化反応が起った結果、ビタミンCが有効であった、と述べています。動脈のような酸素が十分ある環境では、アスコルビン酸と呼ばれる還元型ビタミンCは酸化され、酸化型ビタミンC(DHA)に転換されます。グルコース輸送体(GLUT1)として知られている特殊の膜蛋白質は、グルコースとDHAの両方が細胞に入るのを可能にすることが、以前から、科学者等に知られていました。しかし、その活性はビタミンC(アスコルビン酸)にはありませんでした。しかし、DHAが細胞内で何をするか、以前ははっきり分っていませんでした。

 

References

Sandra and Edward. VitaminC halts growth of aggressive forms of colorectal cancer in preclinical study. Well Cornell Medicine, Meyer Cancer  Center. Theesday, november5,2015

Jihye Yun, et al. VitaminC selectively kills KRAS and BRAF mutant collerectal cancer  cells by targeting GAPDH. Science. 2015 Dec 11

Lewis Cantley. an update on vitaminC andcancer. Meyer Cancer Center.Sep15,2021

 


発ガンに対するビタミンCの効果についての最近の検討 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2024-09-05 10:39:37 | 健康・病気

ビタミンCのガンへの効果が内外で報告され、いろいろ、これらについて討議されています。今回は、これらについて、最近の知見について考えて行きたいと思います。Bryan Ngo博士らによると、かって20世紀では、ビタミンCは、ガンの治療に用いることができるという見解は、多くの論争を呼びました。しかしながら、ビタミンの栄養医学的性質と前臨床研究結果では、ガンの治療に大量のビタミンC投与の実施に関心を呼び起こしました。これらの研究では、ビタミンCの薬理学的作用が、ガン細胞が生存と成長に利用する多くのメカニズムをターゲットにしている事を示しています。

これに関する評価論文では、Byan Ngo博士らは、ガン細胞になりやすさを3つに分けました。相互酸化還元のアンバランス、エピジェネチックな遺伝子プログラミングの修正、それに酸素感知の制御などです。博士らは、討議するそのメカニズムと予測のバイオマーカーが、十分管理された臨床試験で確認されるのが必要ですけれども、ビタミンCの抗ガン性に関するこれら新しい発見は、ビタミンCの大量投与療法から最も恩恵を受ける可能性のあるガン患者群を確認し、いろんなタイプのガンへの将来のビタミンCの臨床試験の全体的デザインの改善と効果的併用戦略を開発するのに役に立つことを確約するものです。

References

Bryan Nao, et al. Targeting cancer vulnerabilities with high-dose vitaminVC. Nat Rev Cancer.2019 May 19

 

 


亜硝酸と摂取化学物質との反応による発ガンへのビタミンCの効果 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会

2024-09-01 18:00:00 | 健康・病気

亜硝酸は体内で化学物質と反応し、発ガン物質に変わる、と多くの研究で報告されています。亜硝酸と抗生物質のオキシテトラサイクリン、モルホリン(有機化合物)、ピペリジン(モルヒネの部分構成物質)、N-メチルアニリン、メチル尿素、およびジメチルアミンなどとの化学反応の結果、産生される発ガン性N-ニトロソ化合物のin vitroでの形成は、ビタミンCによりブロックされる、と報告されています。なお、ブロックの程度は、亜硝酸化合物と実験条件によります。また、上記、薬物と亜硝酸の反応によるN-ニトロソ化合物のin vivoでの形成は、ビタミンCと一緒に、上記、薬物を併用摂取することにより、減少する可能性があります。

発ガン物質として作用する化学物質によるメカニズムは、ある酸化反応に伴った化学的発光現象によります。その酸化過程で発生した高エネルギー分子は、光量子、紫外線、それに可視光線の照射によりエネルギーを失い、また、細胞に吸収され、ガンを発症さすに違いない変化をもたらします。健康なヒト、喫煙者、非喫煙者などの尿中化学ルミネセンス(発光現象)に関する最初の研究では、膀胱ガン患者の尿中に、より高い化学ルミネセンスが見られました。ビタミンCの経口摂取による尿中化学ルミネセンス値の低下は、統計学的に重要で、ビタミンC摂取の結果、尿中化学ルミネセンスは、統計学的に、喫煙者では高かった。この結果から、喫煙と膀胱ガンの関係が証明され、喫煙者と膀胱ガン患者の尿中化学ルミネセンス値も上昇しました。また、ビタミンCが正常被験者の尿中化学ルミネセンス値を低下させます。

References

Schlegel,J.U. (1975) Proposed uses of ascorbic acid in prevention of bladder carcinoma.Ann.N.Y.Acad.Sci.258:432-438

Schlegel,J.U. et al. (1967) Urine composition in the etiology of bladder tumor formation. J.Urol. 97:479-481