正月二日。
今年は気持ちばかり焦って、一向に年始らしい食事を用意出来なかった。
初詣も墓参りも終えて、やり残していた事務仕事も片付け、買い込んだまま料理できなかった食材を使って、かぶと鶏の煮物を作る。
状態の良いかぶは、千枚漬け風に仕上げる。
冬至に頂いたまま、柚子ジャムを作る元気が出ず、あちこちに配った残りの無農薬柚子が十分あって、酢のものにも煮物にも、柚子を贅沢にトッピングすることが出来る。
黒豆おこわを炊いたものの、水加減を誤り、かなり軟らかい仕上がり。
気持ちばかり急いて、ツボを外してしまうので、あれもこれも難アリだ。
しかしながら、現在の我が国では砲弾が飛んでくる状態にはないのだから、平和な状況に感謝し、有り難く食事しなくてはなるまい。
自分の焦燥感はどこから来ているのだろう。
墓参りを終え、フェードアウトの方向性が明らかな、一族の状態を確認してしまったからか。
自身の人生の終着点が見え始めているからか。
神社に参拝する長い列に並び、それでもまだまだ先は長いと覚悟した。