昔の男が死んだ。
恋人、というより、私を一人前のMadam《女》に育ててくれたL`Amant《愛人》だった。
なんて、かっこよすぎるか、、、
それが、20年前の恋愛であり、また、20近い年の差だった。
もちろん、彼は結婚していた。
そう、不倫。
ホテルのバーでのお酒の飲み方、パーティでの振る舞い方、レストランでのオシャレなマナー、そして、セクシーな身のこなし方まで、ただただ生意気で表面的にカッコつけてるだけの大人の女を装っているコドモに、本物の女の作法を教えてくれた男。
素敵なレストランやバー、お芝居、お茶会、ゴルフ、スキー、、、etc、たくさんの場所へ、しかも常にVIP待遇で私を連れ回し、そしてそこで様々な人達を私に紹介し、ほんとによく遊んだ。
年の差なんて忘れてしまうほど、お酒を飲み、語り合い、よく笑った。ただただ気が合っていた。
私が結婚する時、彼の行きつけだったそのホテルのバーから、私の幸せを祈ってくれた。
バンケットルームの入り口に立ったウエディング姿の私を遠くから笑顔で見ていてくれた。
その彼の笑顔がとても弱々しく、とても寂しそうに見えて、思わず目をそらした。
再び、同じ場所を見た時には、もう彼の姿は消えていた。
そして、人生は皮肉で、私が結婚した後、彼は離婚した。
それから私はアメリカへ行き、何年かして帰国して少し経った頃、偶然、広尾で車ですれ違い、いきなり、窓を開けて、電話しろ、と私に叫んだ。
それから、たまにお茶を飲んだり、電話で話したりしていたけれど、
ある意味毒々しかった男の色気が抜け、とてもすっきりとシンプルになった彼は、その時の私にとっては、なんだか物足りなさを感じた。
もう、この人を昔みたいに愛する事はないだろう。そう思った。
ある日、用があって彼の会社へ行く事になった。
彼の部屋へ入った瞬間、私を抱きしめた。ものすごく強い力で。
「お前がいないとだめなんだ。戻ってこいよ。寂しいんだよ。」
その瞬間、過去の思いと彼の勝手さが重なり、吐き気がするほど彼が憎くなって、もう二度と会わない、と言い捨て、走り去った。
その後、電話で話をする事はあったけれど、決して会わなかった。
病気で入院している噂を聞き、Judyと会いたい、って言ってたよ、と知り合いから言われたが、取り合わなかった。
でもホントは、会いたかったのだ。でも会うのがコワかった。
そして、死んでしまった。そのまま会わずに。
ありがとう、って言っておけばよかった。
大好きだったんだよ、って伝えておけばよかった。
今日、ぎりぎりまで悩みに悩んで、お別れに行った。
告別式に参列していた知り合いの人に、「先月病院にお見舞いに行った時、Judyに会いたい、Judyがいないとだめなんだ、って言ってたのを聞いてびっくりしたよ。」と、告げられた。
その言葉で、つい号泣してしまった。
『バカっ!電話してくれて直接そう言ってくれたら、会いに行ったのに!
死んじゃうような病気だったなんて、知らなかったよっ。』
こんな別れは、嫌だ。ずるいよ。
棺の中で眠っていた彼は、とても小さくなって別人のようだった。
ありがとう、と花を顔の横に添えた。しばらく動けなかった。
さよなら、ラマン。
天国で待ってて、と手を合わせた。
恋人、というより、私を一人前のMadam《女》に育ててくれたL`Amant《愛人》だった。
なんて、かっこよすぎるか、、、
それが、20年前の恋愛であり、また、20近い年の差だった。
もちろん、彼は結婚していた。
そう、不倫。
ホテルのバーでのお酒の飲み方、パーティでの振る舞い方、レストランでのオシャレなマナー、そして、セクシーな身のこなし方まで、ただただ生意気で表面的にカッコつけてるだけの大人の女を装っているコドモに、本物の女の作法を教えてくれた男。
素敵なレストランやバー、お芝居、お茶会、ゴルフ、スキー、、、etc、たくさんの場所へ、しかも常にVIP待遇で私を連れ回し、そしてそこで様々な人達を私に紹介し、ほんとによく遊んだ。
年の差なんて忘れてしまうほど、お酒を飲み、語り合い、よく笑った。ただただ気が合っていた。
私が結婚する時、彼の行きつけだったそのホテルのバーから、私の幸せを祈ってくれた。
バンケットルームの入り口に立ったウエディング姿の私を遠くから笑顔で見ていてくれた。
その彼の笑顔がとても弱々しく、とても寂しそうに見えて、思わず目をそらした。
再び、同じ場所を見た時には、もう彼の姿は消えていた。
そして、人生は皮肉で、私が結婚した後、彼は離婚した。
それから私はアメリカへ行き、何年かして帰国して少し経った頃、偶然、広尾で車ですれ違い、いきなり、窓を開けて、電話しろ、と私に叫んだ。
それから、たまにお茶を飲んだり、電話で話したりしていたけれど、
ある意味毒々しかった男の色気が抜け、とてもすっきりとシンプルになった彼は、その時の私にとっては、なんだか物足りなさを感じた。
もう、この人を昔みたいに愛する事はないだろう。そう思った。
ある日、用があって彼の会社へ行く事になった。
彼の部屋へ入った瞬間、私を抱きしめた。ものすごく強い力で。
「お前がいないとだめなんだ。戻ってこいよ。寂しいんだよ。」
その瞬間、過去の思いと彼の勝手さが重なり、吐き気がするほど彼が憎くなって、もう二度と会わない、と言い捨て、走り去った。
その後、電話で話をする事はあったけれど、決して会わなかった。
病気で入院している噂を聞き、Judyと会いたい、って言ってたよ、と知り合いから言われたが、取り合わなかった。
でもホントは、会いたかったのだ。でも会うのがコワかった。
そして、死んでしまった。そのまま会わずに。
ありがとう、って言っておけばよかった。
大好きだったんだよ、って伝えておけばよかった。
今日、ぎりぎりまで悩みに悩んで、お別れに行った。
告別式に参列していた知り合いの人に、「先月病院にお見舞いに行った時、Judyに会いたい、Judyがいないとだめなんだ、って言ってたのを聞いてびっくりしたよ。」と、告げられた。
その言葉で、つい号泣してしまった。
『バカっ!電話してくれて直接そう言ってくれたら、会いに行ったのに!
死んじゃうような病気だったなんて、知らなかったよっ。』
こんな別れは、嫌だ。ずるいよ。
棺の中で眠っていた彼は、とても小さくなって別人のようだった。
ありがとう、と花を顔の横に添えた。しばらく動けなかった。
さよなら、ラマン。
天国で待ってて、と手を合わせた。