五十肩が少し楽になると、後ろに手を廻して帯をうまく締めることができるようになり、姿見を見ながらきものを一人でようやく着られるようになった。時には前で結んでおいて、ぐるっと背にまわす方法をとっていたが、うまくいく日はそうなかった。
きものを体に添うように綺麗に着こなすのはいくつになっても難しい。落ち着いた深いグリーンやブルーグレーのきものが似合う友人を見るとそのさりげない着こなしに追い付きたくなる。
きこなしも馴れ次第と、何度も着ては脱ぎの練習をする毎日で、きもので出掛ける日は、衣食住のうち「衣」の言葉一色となり、朝食もそこそこで、畳の上は戦場と化する。
お化粧に10分、髪結いに10分、帯を締めあげるまでの20分と身づくろいに40分はかかっている。
日本には四季があり、きものも季節で布地と柄と配色が変わり、また季節の移り目、変わり目も大事に取り合わせをする。また、天候の具合、外出先の用でもきものが変わる。それにまた、若返りも加わるとなると一苦労だ。
今日も前置きが長くなり、持ち合わせの薄紫色の花小紋(この季節の一番上等)でようやく出掛けることができた。
きものを打ち合わせる清楚な張りの感覚いつまでも覚えておきたい。^_^;