(1972/ディック・リチャーズ監督/ゲイリー・グライムズ、ビリー・グリーン・ブッシュ、ルーク・アスキュー、ボー・ホプキンス、ジェフリー・ルイス、ウェイン・サザーリン、ジョン・マクライアム、マット・クラーク/93分)
封切り以来だと思うから、約40年ぶりでしょうか。ファッション写真家出身というディック・リチャーズの初監督作品で、当時少なくなっていた西部劇であります。因みに、この頃の西部劇で思い出すのは、ピーター・フォンダの「さすらいのカウボーイ (1971)」、ロバート・アルトマンの「ギャンブラー (1971)」、シドニー・ポラックの「大いなる勇者 (1972)」等。
余所様の汚れ物を預かって洗濯をする、そんな事で生計を立てているらしい母親と二人暮らしの少年がカウボーイに憧れ、村にやって来たキャトル・ドライブに雇ってもらい、色々な経験をする話。
息子に家を出ていく話を聞かされた母親が、何の躊躇いもなく承諾するシーンで、暮らしが楽ではなかったのだろうと想像させますが、双葉先生の解説では南北戦争後の設定らしく、この後のストーリー展開にもそんな荒んだ時代背景が感じられます。
主役の少年ベンに扮するのが「おもいでの夏」のゲイリー・グライムズ。
とりあえずは“リトル・メアリー”と呼ばれるのが習わしのコック助手を仰せつかるが、少年のカウボーイへの思いを聞いたコックの爺さんが『カウボーイなんて他に取り柄のないヤツがやる事なのに』と呟くのがおかしかった。
キャトル・ドライブの隊長役がビリー・グリーン・ブッシュ。どこかで聞いた名前だなぁと思ったら、「ファイブ・イージー・ピーセス」のジャック・ニコルソンの油田の作業員仲間の男でした。顔は覚えてるんだけど、今回は髭ボーボーで、顔の確認は出来ませなんだ。
原題が【THE CULPEPPER CATTLE CO.】。隊長さんの名前がカルペッパーです。
カメラはローレンス・エドワード・ウィリアムズとラルフ・ウールジー。ウィリアムズは知りませんが、ウールジーは「いちご白書 (1970)」や「お前と俺 (1970)」を撮った人。広々とした荒野を逆光で撮った映像を観ながら、当時そんな撮り方が流行っていたのを思い出しました。
仕事終わりの先輩に馬を繋いでおけと言われて、乗って連れていこうとしたら振り落とされたり、見張り役に志願したら馬泥棒に殴られたりとか、少年の初めてづくしのドジが当たり前のように描かれる。少年の成長記みたいに見れるんだけど、殊更に少年の目線を意識させてないのがニューシネマ以降らしい乾いた描き方ですな。
ほら吹きの男がいたり、仕事は出来るヤツが実はトラブルメイカーだったりという、先輩カウボーイ達の点描もリアルだし、隊長さんも「ローハイド」のように強いリーダーシップを発揮するようには描かれてない。
但し、山賊が出てきたり牛泥棒や馬泥棒も出没して、展開は結構波乱含みだし、対するカウボーイ達の応戦も荒っぽいもので、ガンファイト前の緊張感の醸成もかなり巧い編集でした。
「シェーン」や「荒野の決闘」にも業突張り(ごうつくばり)の地主が出てくるが、この作品も最後にはそんな悪人の土地を通ることになり、そいつらとカウボーイ達とのガンファイトがラストシークエンスになる。
全編殆どさりげない描写なんですが、ラストの展開の描き方は「ワイルドバンチ」か「荒野の七人」を意識しているのが見え見えで、しかもきっかけを作った少年の心情にも無理があって納得できません。脚本の作り込みが浅い感じですな。★一つ減点です。
▼(ネタバレ注意)
ラストは、業突張りの地主に追い出されそうになっているクリスチャンの団体に同情した少年が、彼らを守るためにキャトル・ドライブを抜け、そんな少年に刺激された4人のカウボーイ仲間も一緒に地主一家に立ち向かうというもの。
それ程の多勢に無勢という印象でもなかったのに、結局何もできなかった少年一人を残して敵も味方も全滅してしまう。しかも、クリスチャンの団体はこの土地は血に汚れたとか言って出て行こうとする。
怒った少年は、カウボーイ達を埋葬するように命令し、その後立ち去る所で映画は終了する。
一人で残ろうとした少年が地主とどう対峙しようと思っていたのか意味不明だし、闘いの中でもオロオロするばかりで1発も銃を撃たなかったのも変だった。
印象に残ったカウボーイの台詞を二つ。
トラブルメーカーの『俺の後ろに立つんじゃねぇ』。
少年に『良い馬ですねぇ。名前は?』と聞かれたカウボーイが言った、『非常食に名前は付けねぇ』。
▲(解除)
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余所様の汚れ物を預かって洗濯をする、そんな事で生計を立てているらしい母親と二人暮らしの少年がカウボーイに憧れ、村にやって来たキャトル・ドライブに雇ってもらい、色々な経験をする話。
息子に家を出ていく話を聞かされた母親が、何の躊躇いもなく承諾するシーンで、暮らしが楽ではなかったのだろうと想像させますが、双葉先生の解説では南北戦争後の設定らしく、この後のストーリー展開にもそんな荒んだ時代背景が感じられます。
主役の少年ベンに扮するのが「おもいでの夏」のゲイリー・グライムズ。
とりあえずは“リトル・メアリー”と呼ばれるのが習わしのコック助手を仰せつかるが、少年のカウボーイへの思いを聞いたコックの爺さんが『カウボーイなんて他に取り柄のないヤツがやる事なのに』と呟くのがおかしかった。
キャトル・ドライブの隊長役がビリー・グリーン・ブッシュ。どこかで聞いた名前だなぁと思ったら、「ファイブ・イージー・ピーセス」のジャック・ニコルソンの油田の作業員仲間の男でした。顔は覚えてるんだけど、今回は髭ボーボーで、顔の確認は出来ませなんだ。
原題が【THE CULPEPPER CATTLE CO.】。隊長さんの名前がカルペッパーです。
カメラはローレンス・エドワード・ウィリアムズとラルフ・ウールジー。ウィリアムズは知りませんが、ウールジーは「いちご白書 (1970)」や「お前と俺 (1970)」を撮った人。広々とした荒野を逆光で撮った映像を観ながら、当時そんな撮り方が流行っていたのを思い出しました。
仕事終わりの先輩に馬を繋いでおけと言われて、乗って連れていこうとしたら振り落とされたり、見張り役に志願したら馬泥棒に殴られたりとか、少年の初めてづくしのドジが当たり前のように描かれる。少年の成長記みたいに見れるんだけど、殊更に少年の目線を意識させてないのがニューシネマ以降らしい乾いた描き方ですな。
ほら吹きの男がいたり、仕事は出来るヤツが実はトラブルメイカーだったりという、先輩カウボーイ達の点描もリアルだし、隊長さんも「ローハイド」のように強いリーダーシップを発揮するようには描かれてない。
但し、山賊が出てきたり牛泥棒や馬泥棒も出没して、展開は結構波乱含みだし、対するカウボーイ達の応戦も荒っぽいもので、ガンファイト前の緊張感の醸成もかなり巧い編集でした。
「シェーン」や「荒野の決闘」にも業突張り(ごうつくばり)の地主が出てくるが、この作品も最後にはそんな悪人の土地を通ることになり、そいつらとカウボーイ達とのガンファイトがラストシークエンスになる。
全編殆どさりげない描写なんですが、ラストの展開の描き方は「ワイルドバンチ」か「荒野の七人」を意識しているのが見え見えで、しかもきっかけを作った少年の心情にも無理があって納得できません。脚本の作り込みが浅い感じですな。★一つ減点です。
▼(ネタバレ注意)
ラストは、業突張りの地主に追い出されそうになっているクリスチャンの団体に同情した少年が、彼らを守るためにキャトル・ドライブを抜け、そんな少年に刺激された4人のカウボーイ仲間も一緒に地主一家に立ち向かうというもの。
それ程の多勢に無勢という印象でもなかったのに、結局何もできなかった少年一人を残して敵も味方も全滅してしまう。しかも、クリスチャンの団体はこの土地は血に汚れたとか言って出て行こうとする。
怒った少年は、カウボーイ達を埋葬するように命令し、その後立ち去る所で映画は終了する。
一人で残ろうとした少年が地主とどう対峙しようと思っていたのか意味不明だし、闘いの中でもオロオロするばかりで1発も銃を撃たなかったのも変だった。
印象に残ったカウボーイの台詞を二つ。
トラブルメーカーの『俺の後ろに立つんじゃねぇ』。
少年に『良い馬ですねぇ。名前は?』と聞かれたカウボーイが言った、『非常食に名前は付けねぇ』。
▲(解除)
・お薦め度【★★★=一見の価値あり】 
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ラストは無理があったけれど、それまでは変わった西部劇として楽しめました。
逆光はちょっとやりすぎでしたが(笑)
マカロニウェスタンはリアルな殺戮場面が売りでしたが、ニューシネマでは、もっとドラマ全体にリアリズム趣向を凝らした作りになっていって、この作品もそんな一つですね。
逆光も、自然光を生かしたリアリズム表現の結果でした。
宵乃さんもラストの展開にご不満ですね
某T大を目指している僕の甥なんかも、昨日は作家になりたりと言い、今日映画を観て感動すれば映画監督になりたいと言い、今はアメリカに行って勉強したいのだとか。
そんなわけで終幕も気にならずに、引き返してくるカウボーイ連中の男気に感動し良い気分で観終えた僕であります^^
ガンファイトのスローモーションも、流行に乗った感じで、軽く感じましたしね。^^