(1956/アルフレッド・ヒッチコック監督/ヘンリー・フォンダ、ヴェラ・マイルズ、アンソニー・クエイル、 チューズデイ・ウェルド)
先日BSで放送していたもの。大昔から知っている作品で、初見だと思っていたら、ラストに覚えのあるシーンが出てきた。さて、全部見ていたのか、一部だけ見ていたのか・・・。
自分にそっくりな強盗犯に間違えられてしまう不運な男【原題:The Wrong Man】の話。冒頭にヒッチコックが出てきて、『これは細部に至るまで事実です』と語る、実話を元にした映画です。
ニューヨークのクラブでベースを弾いているミュージシャン、マニー(フォンダ)は、妻の歯の治療費に当てようとニューヨーク保険会社に借金を申し込みに行くが、彼はその会社に以前強盗に押し入った男にそっくりであった。本人のサインが必要だと言われ、一旦引き返したマニーは、保険会社から連絡を受けて待ちかまえていた刑事に、自宅に着いたところを逮捕、警察署へ連行される。
初めての警察での尋問。犯人が残していた犯行時の脅迫文を書かされ、筆跡を見られることになるのだが・・・。
陰影の効いたモノクロ画面(撮影:ロバート・バークス)とヘンリー・フォンダの名演技で、ヒッチコック流リアリズムともいうべき映画となっている。バーナード・ハーマンの音楽も暗いムードで、イタリアンリアリズムを彷彿とさせる。
初めて連行される時に遠ざかる我が家、警察署での尋問、指紋の押捺、留置場での一夜。更に、保険会社の女性職員達による面通し。彼女たちは犯人はマニーに間違いないと言う。まるで、スティーブン・キングの原作かと思わせるような話でありました。原作・脚本はマックスウェル・アンダーソン。
大声を上げるでもない冷静なマニーだが、内面の不安は充分に伝わってきました。
▼(ネタバレ注意)
ラストの覚えのあるシーンとは、フォンダにそっくりの真犯人が出て来て、警察署内で二人が顔を合わせるところでした。
奥さん(マイルズ)は、マニーのアリバイを証明出来る人達が二人続けて亡くなっていた事などを知るに至り、精神に異常をきたし療養所に入る。前半では美しい女性だったのに、段々うつ病になっていき、表情も暗くなる。家庭崩壊になりかねない冤罪の怖さを思い知らされました。元気の良かった男の子二人の兄弟は、そういえば、後半には出てくるシーンが無くなってましたな。
奥さんは事件が解決してもすぐには元の精神状態には戻らず、ラストのナレーションで『2年後に完治、退院し、一家はフロリダに移った』と語られる。暖かいところで、暖かい家庭を取り戻したと信じたいです。
劇中でマニーは38歳となっているが、ちょっと老け過ぎだなと思いデータを調べると、フォンダは1905年生まれだから、この時51歳でした。
▲(解除)
1956年といえば昭和31年。そんな昔なら冤罪事件もあっただろうなと思うかも知れないが、それから約40年経ても、日本では“松本サリン事件”という冤罪事件が発生(起訴はされていないが)している。今でも、いつ誰の身に起こっても不思議ではないと思います。おぉ、怖!
この映画の翌年、フォンダはあの「十二人の怒れる男」を製作、主演した。演じた“陪審員8番”はマニーではなかったのか・・・なんてね。
先日BSで放送していたもの。大昔から知っている作品で、初見だと思っていたら、ラストに覚えのあるシーンが出てきた。さて、全部見ていたのか、一部だけ見ていたのか・・・。
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自分にそっくりな強盗犯に間違えられてしまう不運な男【原題:The Wrong Man】の話。冒頭にヒッチコックが出てきて、『これは細部に至るまで事実です』と語る、実話を元にした映画です。
ニューヨークのクラブでベースを弾いているミュージシャン、マニー(フォンダ)は、妻の歯の治療費に当てようとニューヨーク保険会社に借金を申し込みに行くが、彼はその会社に以前強盗に押し入った男にそっくりであった。本人のサインが必要だと言われ、一旦引き返したマニーは、保険会社から連絡を受けて待ちかまえていた刑事に、自宅に着いたところを逮捕、警察署へ連行される。
初めての警察での尋問。犯人が残していた犯行時の脅迫文を書かされ、筆跡を見られることになるのだが・・・。
陰影の効いたモノクロ画面(撮影:ロバート・バークス)とヘンリー・フォンダの名演技で、ヒッチコック流リアリズムともいうべき映画となっている。バーナード・ハーマンの音楽も暗いムードで、イタリアンリアリズムを彷彿とさせる。
初めて連行される時に遠ざかる我が家、警察署での尋問、指紋の押捺、留置場での一夜。更に、保険会社の女性職員達による面通し。彼女たちは犯人はマニーに間違いないと言う。まるで、スティーブン・キングの原作かと思わせるような話でありました。原作・脚本はマックスウェル・アンダーソン。
大声を上げるでもない冷静なマニーだが、内面の不安は充分に伝わってきました。
▼(ネタバレ注意)
ラストの覚えのあるシーンとは、フォンダにそっくりの真犯人が出て来て、警察署内で二人が顔を合わせるところでした。
奥さん(マイルズ)は、マニーのアリバイを証明出来る人達が二人続けて亡くなっていた事などを知るに至り、精神に異常をきたし療養所に入る。前半では美しい女性だったのに、段々うつ病になっていき、表情も暗くなる。家庭崩壊になりかねない冤罪の怖さを思い知らされました。元気の良かった男の子二人の兄弟は、そういえば、後半には出てくるシーンが無くなってましたな。
奥さんは事件が解決してもすぐには元の精神状態には戻らず、ラストのナレーションで『2年後に完治、退院し、一家はフロリダに移った』と語られる。暖かいところで、暖かい家庭を取り戻したと信じたいです。
劇中でマニーは38歳となっているが、ちょっと老け過ぎだなと思いデータを調べると、フォンダは1905年生まれだから、この時51歳でした。
▲(解除)
1956年といえば昭和31年。そんな昔なら冤罪事件もあっただろうなと思うかも知れないが、それから約40年経ても、日本では“松本サリン事件”という冤罪事件が発生(起訴はされていないが)している。今でも、いつ誰の身に起こっても不思議ではないと思います。おぉ、怖!
この映画の翌年、フォンダはあの「十二人の怒れる男」を製作、主演した。演じた“陪審員8番”はマニーではなかったのか・・・なんてね。
・お薦め度【★★★★=友達にも薦めて】
何か他の映画と間違えていなければ・・
それじゃ「間違えられた映画」になっちゃいますが。
冤罪は恐ろしいですよね。人の見当違い、思い込みの恐怖もよく出ていたと思います。
奥さんのエピソードは全然記憶にないな~
そのへんも怖いですね。
この映画のタッチは好きですね。
典型的な良妻賢母だったのに・・・、誤認逮捕って怖いですよね~。
この間BS2で冤罪映画として「私は死にたくない」と連日やっていました。
なんとなく他のヒッチコック作品とは雰囲気が違いますが、それだけ幅広い引き出しを持っているということでしょうね。流石!
では~!
初めての留置場で、画面がグルグル回るところは扱い方によっちゃおかしな画面になるんでしょうが、ヒッチコックが使うとストーリーに合ってる。
あのぐるぐるが、最初の問題点です。セミ・ドキュメンタリーでスタートした以上はそれを徹底しなければらならない。これは対談したトリュフォーも本人に向かって指摘しています。
結局、ヒッチコックはセミ・ドキュメンタリーを作るには才覚がありすぎたということだと思います。
困っちゃったなぁ。私、これ好きなんですよ。
>初めて連行される時に遠ざかる我が家、警察署での尋問、指紋の押捺・・・
“主観ショット”が上手く挿入されて、主人公の恐怖感が痛いほど感じられました。“あのぐるぐる”も全然気にならず、私にはフィットしました(笑)。
ま、作品は本人から離れれば作品自体として独立しているのですから、傑作と評価するヤツがいてもいいでしょう?