風の色 7
空港の近く土産物やら取り扱うショップ。
クリスばあちゃんは、ここで暮らしている。
古い室内 何もかもが年代もの。決して裕福ではないのはよくわかる。
佐藤が成り行きの説明をして、オレ達を紹介する。
ソファーに沈めていた体を起こしてニッコリ笑う。
笑顔は上品で、若いころは確実にモテてたんだと思われる。
「あんた達もの好きなんだね。」クリスばあちゃん。
「佐藤が世話になったそうだしね。」オレはばあちゃんの端正な横顔を眺めながら話した。
暫く目を閉じた後、クリスばあちゃんが話した。
「彼はねロングバケーションには必ずゴールドコーストに来てたのよ。」
「私はシーサイドのバーで働いてたんだけど、彼はその店によく通ってきた。」
「なるほど。それでばあちゃんとできちゃったわけだ。」にやけながらオレ。
チョッと照れ笑いしながら、
「まあ そういうこと。ホントにいい男でね、すぐにそこからStoryが始まったの。」
なんだかばあちゃんに、柔らかいスポットライトがあってるようた。
「わずかな時間を繋ぎながら、五年ほど付き合いは続いたわね。」ゆっくりと話し出した。
「会えない時間のほうが多いのだけど、会える時間は、それはそれは楽しい時間だった。」
「なんで終わったの?。」サリーが不思議そうに言った。
「彼は将来有望な政治家でね、誰かが記者にリークしてね、政治生命の危機に至った。」
「若い政治家が、バーの若い女とできてるなんて知れば、格好のネタになるわね。」
「彼は私と生きようとしてくれてたけど、私からその場所から消えることにしたのよ。」
「なんで消えなきゃならないの?。付き合ってたっていいんじゃないの?。」納得いかないサリー。
「彼はね上り詰めることを望んでたし、ある大物政治家の娘に気にいられてねえ・・・私よりその彼女のほうが夢をかなえてあげられるんじゃないかなっと思ってね・・・。」
「ただ最後に私を選んでくれたことを、喜びや誇りにかえてね。消えることにしたのさ。」
「・・・・・」
「私の最後のバースディにネックレスをプレゼントしてくれてねえ。これはペアになってんのよ。」
「いつの時代も変わらないものだな。男と女なんて・・・」
「どこにも似た話は転がってる。そんなもんだよな。」と牧野。
「でも彼は病気が悪化して10年前に亡くなってね。」
「彼が亡くなった時、彼の息子が父を偉大な先輩政治家と尊敬しててね。いろいろ残されたもの映され、彼が大事にしてた物の一つにあのネックレスがあるのを、テレビでを見て知ったのよ。」
部屋の片隅にある棚の上、古いフォトスタンド。モノクロの写真。
浜辺で二人の男女が笑ってる。
細面のオージーらしい顔立ちのイケメンと、モデル並みにスラッとした女の子。
これがばあちゃんなら結構成長してしまったようだ。
二人はお揃いのネックレスをしている。間違いなく本人らしい。
他の家具はうっすら埃がかぶってるけど、それだけは綺麗に掃除されている。
「私は心が震えた。二人の想いの詰まったネックレスがまだあったんだと。知ると想いが走り出して止められないものね。」
「あの頃の二人の約束、果たせなかったけどねえ・・・ハートリーフへ二人で行きたいってね。」
「だから二つのネックレスを、ハートリーフに沈めて約束を果たせたらなあ・・・といつも思ってたのよ。」
「それを佐藤が何とかしてやりたいと思ったわけだ。」牧野がいった。
「こんなおばあちゃんになって、今さらそんなこと私じゃどうしようもないんだけど、夢だと思ってたんだけど、何とかしてもらえるならな・・・」
嬉しそうに笑った。諦めていた約束は走り始めたようだ。
今でも着けているネックレスにそっと触れた。
約束を確かめるように。
「彼は私といる時がすべてだと話してくれた。短い時間だったけど人生で一番キラキラした時間だったよ。大事な大事な宝物よ。」
「今までこんな話をしたことはないのに、遠い日本からきた人に話すなんてね・・・。」
クリスばあちゃんは遠い目をしてゆっくりと深呼吸。
お気に入りのモカベースのコーヒーを傾ける。
窓から見える青の海を眺めている。
顔の皺と白髪が安心した柔らかい顔になっていた。
甘ずっぱい頃、20代の頃のばあちゃんの姿がオーバーラップして見えた気がした。
空港の近く土産物やら取り扱うショップ。
クリスばあちゃんは、ここで暮らしている。
古い室内 何もかもが年代もの。決して裕福ではないのはよくわかる。
佐藤が成り行きの説明をして、オレ達を紹介する。
ソファーに沈めていた体を起こしてニッコリ笑う。
笑顔は上品で、若いころは確実にモテてたんだと思われる。
「あんた達もの好きなんだね。」クリスばあちゃん。
「佐藤が世話になったそうだしね。」オレはばあちゃんの端正な横顔を眺めながら話した。
暫く目を閉じた後、クリスばあちゃんが話した。
「彼はねロングバケーションには必ずゴールドコーストに来てたのよ。」
「私はシーサイドのバーで働いてたんだけど、彼はその店によく通ってきた。」
「なるほど。それでばあちゃんとできちゃったわけだ。」にやけながらオレ。
チョッと照れ笑いしながら、
「まあ そういうこと。ホントにいい男でね、すぐにそこからStoryが始まったの。」
なんだかばあちゃんに、柔らかいスポットライトがあってるようた。
「わずかな時間を繋ぎながら、五年ほど付き合いは続いたわね。」ゆっくりと話し出した。
「会えない時間のほうが多いのだけど、会える時間は、それはそれは楽しい時間だった。」
「なんで終わったの?。」サリーが不思議そうに言った。
「彼は将来有望な政治家でね、誰かが記者にリークしてね、政治生命の危機に至った。」
「若い政治家が、バーの若い女とできてるなんて知れば、格好のネタになるわね。」
「彼は私と生きようとしてくれてたけど、私からその場所から消えることにしたのよ。」
「なんで消えなきゃならないの?。付き合ってたっていいんじゃないの?。」納得いかないサリー。
「彼はね上り詰めることを望んでたし、ある大物政治家の娘に気にいられてねえ・・・私よりその彼女のほうが夢をかなえてあげられるんじゃないかなっと思ってね・・・。」
「ただ最後に私を選んでくれたことを、喜びや誇りにかえてね。消えることにしたのさ。」
「・・・・・」
「私の最後のバースディにネックレスをプレゼントしてくれてねえ。これはペアになってんのよ。」
「いつの時代も変わらないものだな。男と女なんて・・・」
「どこにも似た話は転がってる。そんなもんだよな。」と牧野。
「でも彼は病気が悪化して10年前に亡くなってね。」
「彼が亡くなった時、彼の息子が父を偉大な先輩政治家と尊敬しててね。いろいろ残されたもの映され、彼が大事にしてた物の一つにあのネックレスがあるのを、テレビでを見て知ったのよ。」
部屋の片隅にある棚の上、古いフォトスタンド。モノクロの写真。
浜辺で二人の男女が笑ってる。
細面のオージーらしい顔立ちのイケメンと、モデル並みにスラッとした女の子。
これがばあちゃんなら結構成長してしまったようだ。
二人はお揃いのネックレスをしている。間違いなく本人らしい。
他の家具はうっすら埃がかぶってるけど、それだけは綺麗に掃除されている。
「私は心が震えた。二人の想いの詰まったネックレスがまだあったんだと。知ると想いが走り出して止められないものね。」
「あの頃の二人の約束、果たせなかったけどねえ・・・ハートリーフへ二人で行きたいってね。」
「だから二つのネックレスを、ハートリーフに沈めて約束を果たせたらなあ・・・といつも思ってたのよ。」
「それを佐藤が何とかしてやりたいと思ったわけだ。」牧野がいった。
「こんなおばあちゃんになって、今さらそんなこと私じゃどうしようもないんだけど、夢だと思ってたんだけど、何とかしてもらえるならな・・・」
嬉しそうに笑った。諦めていた約束は走り始めたようだ。
今でも着けているネックレスにそっと触れた。
約束を確かめるように。
「彼は私といる時がすべてだと話してくれた。短い時間だったけど人生で一番キラキラした時間だったよ。大事な大事な宝物よ。」
「今までこんな話をしたことはないのに、遠い日本からきた人に話すなんてね・・・。」
クリスばあちゃんは遠い目をしてゆっくりと深呼吸。
お気に入りのモカベースのコーヒーを傾ける。
窓から見える青の海を眺めている。
顔の皺と白髪が安心した柔らかい顔になっていた。
甘ずっぱい頃、20代の頃のばあちゃんの姿がオーバーラップして見えた気がした。