新・アドリアナの航海日誌

詩と散文、日記など。

夏の日の午後

2013-04-25 15:25:36 | ポエム
           
Qu’as-tu fait, toi que voilà,
De ta jeunesse?
いったいお前はどうしてしまったのか
おまえの青春を(*)

朗読の声が
しずかな教室にながれて
ことばが黒板に書きとめられてゆくと
過ぎ去った時間のなかに
忘れていた場面が
ふとよみがえる

(朗読がヴェルレーヌの詩だからなのだわ)

おまえの青春に
何が見えるか
たくさんの悔恨
果たせなかった夢
落日に
長い影を曳いて
通り過ぎていったものたち

(夏の日の午後にはたまに永遠が見えるんですって)

そんな日には
垂直に時が降りてくるから
不意をつかれたように思い出す
たいせつな最後の一行
あの日
見失ったことばを
そして
熱く寂しい時間の森のなかを
もう一度彷徨いはじめる

                     *Verlaine 『Sagesse(叡知)』より



コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする