新・アドリアナの航海日誌

詩と散文、日記など。

旅の人に

2014-07-02 22:17:37 | 翻訳


その日
わたしは砂になりたかった
あなたの足に
踏まれるために
あるいは波に
ざざっーと
離れたり寄ったりしながら
あなたを眺めていたかった
それから鳥であったなら
おおきな輪を描きながら
歩くあなたを
追いかけていただろうに
荒れた夜明けの浜辺
秋の初めの

けれど
その日
わたしは砂になれず
わたしは波になれず
ましてや鳥にもなれず
秋の初めの
長い影法師であった
都会の黄昏に
彫像のように立ち尽くす
藍色の
影法師であった
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