原発事故収束に向けての基本的な考え
郡山市長の原です。
東京都水道局の浄水場からも基準値を上回る放射性ヨウ素が検出されたとの報道があり、首都圏にも原発事故の影響が出はじめております。一刻も早い事態の収束が迫られておりますが、今回は、東京電力福島第一原子力発電所事故の収束に向けた考え方についてです。
事故の対応について、国は、3月20日午後の官房長官記者会見で、「今は(廃炉の)手順を踏むよりも、今の事態を収束させることに全力を挙げる」と発言しておりましたが、私は、「廃炉手続きと事態の収束を同時並行に実施すべき」と考えます。
まず、多くの方は、「水をかければ安全だと考えている。」のではないかと思われます。現在の放水活動(真水から海水を原発にかける方法へ変更)は、あくまで、「対処療法」にすぎません。現在も「ザル」に水を注いでいる状態かもしれません。
しかも、再び余震や津波で放水が継続して実施できなくなる事態も想定され、そうした場合は、「炉心溶融」の可能性もあります。
現在、国が行っている対策は、現在の安定した状況が続くとの想定のもとで行っておりますが、ここは、早急に、原発事故を経験している米国の協力を得て、米国と共に、「ホウ酸」を活用し、コンクリート化を進めるための準備を実施すべきであります。それも、時間がかかるので早急に準備を行う必要があると思います。
そして、対応の基本は、「将来ある子ども達の安全安心と国土の保全最優先に行うべき」いうことであります。
戦後、わが国がこれまで復興できたのは、国家・国民が健康であったからこそ成し得たものであります。今後、新たな爆発がないと誰が保証できるのか。万が一、新たな爆発が起こり、放射能汚染が広がった場合は、農産物の補償どころの話ではなくなります。そして、日本国土の1/4から1/3は、数十年間廃虚となってしまいます。将来のためには、経済産業の発展より、国土の保全を図り、復興の担い手となる「子ども達」の安全をまず確保する必要があります。そのためにも、早急に海水による安定化の努力と廃炉に向けた作業を進める必要があります。
さらに、「大気汚染・水質の状況を明らかにすべき」ということです。
国及び東京電力は、今回の爆発事故に起因して発生した大気汚染や水質汚染の状況などの情報を、我々に対して、適時的確に公開すべきです。
最後に、「補償」についてですが、国と東京電力が責任を持って大気の汚染に伴う食物への影響についての農産物の補償を行うのは当たり前であり、大気が汚染された地域においては、放射能と放射線のダブルで影響が出始めております。
こうしたことから、国と東京電力においては、その責任において、しっかりとした対応と健康被害に対する補償を実施するように求めるものであります。