水無月 四首
たちどまりすこしおどろきふたたびをあるきはじめるまでの薫風
梅の実の香りほつほつ梅の実を摘むゆびさきは雨滴にか似る
青空の青を削つてふりこぼすいかづちの刃の閃きの黒
どつと来てどつとさわいで去る雨のみづみづしいぞみなづきの頃
家電愛 六首
家電たちわが家電たちわれよりも一秒でいい生きながらへよ
一日の仕事を終へてしづかなりため息ひとつなき洗濯機
人よりも人らしき是れシュレッダー5分働き10分休む
威厳あり。日夜たゆまぬ御はたらき冷蔵庫こそ家電将軍
この家の主人がゐてもゐなくてもささやき交はす家電と家電
壊れたらどこへ還るの君たちに宿るたましひかならず立派
偶感
どうも変どうしても変やはり変じつと見てきたことみんな変