音信

小池純代の手帖から

日々の微々 220602~0605

2022-06-05 | 歌帖



    水無月 四首

 たちどまりすこしおどろきふたたびをあるきはじめるまでの薫風

 梅の実の香りほつほつ梅の実を摘むゆびさきは雨滴にか似る

 青空の青を削つてふりこぼすいかづちの刃の閃きの黒

 どつと来てどつとさわいで去る雨のみづみづしいぞみなづきの頃


   家電愛 六首

 家電たちわが家電たちわれよりも一秒でいい生きながらへよ

 一日の仕事を終へてしづかなりため息ひとつなき洗濯機

 人よりも人らしき是れシュレッダー5分働き10分休む

 威厳あり。日夜たゆまぬ御はたらき冷蔵庫こそ家電将軍

 この家の主人がゐてもゐなくてもささやき交はす家電と家電

 壊れたらどこへ還るの君たちに宿るたましひかならず立派

 
   偶感

 どうも変どうしても変やはり変じつと見てきたことみんな変








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