『六番目の小夜子』はもぎたての果物のような高校生を描いた1992年恩田睦のデビュー作であり、文庫として世に出て(残念ながら売れない為)直ぐ絶版となって「幻の小説」と言われたものです。稚拙な部分があっても忘れられない物語なのでしょう。
幻の小説、その当時私にもミステリアスな魅力がありました。
2000年、著者が大幅に手直しして世に出したのが本著であります。
なので、最近小さな古本屋でこの本を見つけた時、とても嬉しかったものです。
さて、サクラエビが安く入手出来たので、玉ねぎ、ピーマン、卵、ハム、カニカマと共に炒めてチャーハンを作りました。
なので、最近小さな古本屋でこの本を見つけた時、とても嬉しかったものです。
読み進む内、たまらなく郷愁に誘われました。
「高校生は中途半端な端境の位置にあって、自分たちの一番脆い部分だけで世界と戦っている」
まさにその通りだと思います。
恩田陸は、この小説を書いたのが大学卒業後間もない頃で、その後直木賞を受賞して今はベテランの域に達した小説家です。
ただ、作品の何処かに青春の香りが致します。
多分、人は最期の日まで自分の中の青春の名残りを捨て切れ無いみたいです。
そんな人たちにとって、恩田睦は青春時代の郷愁を誘う作家です。
不可思議な題名、『六番目の小夜子』とは言わば、トランプのババを引いた生徒を称しています。
不可思議な題名、『六番目の小夜子』とは言わば、トランプのババを引いた生徒を称しています。
とある地方の進学校で、サヨコ伝説なるものがあって卒業式ごと(3年おき)に『サヨコ』となるべき生徒が決まります。
その生徒は卒業式迄『サヨコ』である事を人に悟られてはなりません。
六番目とは、その伝説的ゲームが始まってから6番目に当たる為付けた名前でありました。
なお、掲載したモノクロ写真は母校の卒業アルバムの写真を借りました。
いささかオカルトっぽいホラーも交えた青春ミステリー。
いささかオカルトっぽいホラーも交えた青春ミステリー。
感性の鋭すぎる高校生らしく、後先顧みぬ衝動的な行動でハラハラさせる事もあります。
この青春ドラマは、謎の転校生、それも飛び切りの美少女で頭脳明晰な沙世子さんが登場して幕開けとなります。
昔何処かで見たテレビドラマのワンシーンのような場面が活字になって現れた、という印象もあって、タイムスリップが出来ます。
後に作者はもっと深く完成された作品を描く事になります。
しかし、本著は「若き日の切ない愛しさ」をそのまま再現した小説として、とても貴重だなと私には思えます。
さて、サクラエビが安く入手出来たので、玉ねぎ、ピーマン、卵、ハム、カニカマと共に炒めてチャーハンを作りました。
味付けは塩少々、醤油少々。サクラエビから良い味が出ました。