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読書の森

豊島園での初デート

過日、何十年ぶりかで豊島園に行って来ました。
勿論今は遊園地は影も形もありません。
大学時代に西武池袋線沿線の女友達の下宿に泊まった事もある辺り、とても懐かしかったです。


婆は高校3年の時、初めてデート致しました。相手は地方の国立大学の学生さんです。

「前に好きな人とデートしてないとか言ってたんじゃない」とお叱り(?)を受けそうです。

「特別に好きな人」じゃないですが、私ホントは人見知りしない性格でしたし「初めてデートに誘われたわね❤️」とウキウキ喜んで即誘いを受けたのであります。

相手の方は東北旅行の夜行列車で知り合いました。
初めての一人旅で、ガラガラに空いた夜行鈍行列車。寝台車ではないです。ワンボックスに二人だけ。勿論コロナなんて無い時代、最初はブスッとしてたけど、窓から見える見える空の色がとっぷり黒くなる頃には「袖擦り合うも他生の縁」「旅は道連れ世は情け」なので(昭和では)お喋りを始めました。

今と異なり灯りのない窓の外(田んぼばかり)で、お喋りは弾みました。何を話したか全然覚えてないですが、彼は初めての北海道旅行、私は初めての東北旅行(みちのく独り旅)という事で盛り上がりました。

お互いの住所を教え合って再会を約束して、夜明けの青森駅で「さようなら」致したのです。





上の写真は、その旅行中浄土ヶ浜で見知らぬ一行と仲良くなって撮ったものです。紅一点の女の方と親しくなって、素敵に澄んだ青緑色の海をボートに乗って楽しみました。
(彼女と私、彼女の恋人と。二人は殆ど保護者みたいだった)
ともかく昔は知らない人とごく気軽にお喋り出来て幸せな時代でありました。

浄土ヶ浜はホントに極楽浄土もかくやと思える程美しい場所でした。
東日本大震災の後どんな感じになったか心配です。



その年の秋、又東北へ修学旅行で行きました。
これは小岩井農場で記念撮影したものです。学生がこんなに多いけど、先生は別格で長閑でしたね。


そして半年過ぎた春、文通してた夜行列車の大学生と初デートの運びとなりました。
ところが私はあまり気乗りしてない(同じ高校の男子学生に熱烈な片思いをしてたので)ですが、何せ生まれて初めてのデートのチャンスを逃すのも惜しい。

という事で母に相談(バカな私はこの後30年間は自分が好きになった相手の事を全部母に言ってます。母も同様に昔の恋バナを打ち明けてくれたので)。母の方が浮かれてデートしろしろと言うのです。母はウキウキしてお握りを作ってくれました。止せば良いのにデート当日、豊島園駅の待ち合わせ場所迄付いてきてくれました(多分娘時代のことを思い出しちゃったらしい。この頃は母子共に無邪気過ぎるほど男性に無防備でありました)。

その大学生も人が良い人で、とっても喜んでます。一通り乗り物に乗ってお昼になって、出したお握りをパクパク食べて「美味しいね!わざわざ作ってくれたんだね」とニコニコ。真面目な顔で「母が作った」と言っても「お母さんが!感激だな」とさらにニコニコ。
休日で家族連れが楽しげに歓談してるのを見て「いいな。早くこんなになりたい」とかおっしゃってるのが、だんだん妙に冷めてきてしまう。何となく疲れるものがありました。
その方は見た目も悪くないし、真面目そうで、国立大学生である事は確かなんだし、将来良い家庭人になりそう、なんですが。

私の脳裏に夜汽車の中のワンシーンが蘇ってきてしまった。
一通りお喋りが終わって彼は安心し切った顔で窮屈そうにシートに横になって、その内スヤスヤお休みになりました。私は若い男性の寝姿をまともに見るの初めてで、目がぱっちりになってます。
そして見てしまったのだ!彼のズボンからはみ出た下着、つまりその頃はパンツ(女性用は)と言ったもの、色付きで柄ものだった(°▽°)。
「イヤー!白じゃない」
「父親の下着は確か白かったし、この色嫌いだ!」
とガッカリしたのでした。

そして、、、。何日か後に彼から手紙が来ました。
「先日は楽しかった。今度のお休みにこちらへ来ませんか?」
彼の住む地方都市(東京近郊)に来ないかと言うのです。
早速母に見せたら
「良いじゃない。行ったら。喜ぶわよ」
「ええ!」(こう言う時一応心配するのが親だ。不謹慎!)と私は思った。

「行くか。行かざるか」
悩んだ私は友達にその手紙見せて相談した。
ところが
「あなたって!私にもボーイフレンドいますって言いたいの。」とツンとされた。
相談にのってくれるどころか、自慢としか思ってくれない。

それで、、結局やめてしまったのです。文通はいつしか途絶えてしまう。
お陰で無事大学入学は出来ましたが、決まった相手を得る数少ないチャンスを逃してしまったのです。




豊島園駅は様変わりして、昭和レトロな感じに綺麗におしゃれしてました。
それを見ながら、フイに「惜しい事したな」としみじみ思った。
往時がしきりに懐かしい婆さんでありました。



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