押し入れの隅の古い雑誌を漁っていたら、見つけた『日録 20世紀』。
これは1997年(平成9年)講談社より発行された週刊誌である。
20世紀の最後に、過去の出来事をグラビアで振り返る企画で、私は喜んで買ったが、出版社がお金をかけた割にはあまり売れなかったようだ。
そして、私も(もったいない事に)いつでも記録はネットで見れると思い、1964年と1959年の二冊を残して後は処分してしまった。
今日、目を通すとお宝映像がワンサカ出ている。
1964年、東京オリンピックの年の号から一部紹介してみよう。
5月22日、学習院幼稚園の遠足に浩宮様(現天皇)と美智子様(現上皇后)が参加された時の映像である。
美智子様はたおやかに美しく、雑誌や週刊誌の記者は事あるごとに写真を写した。
今から考えれば、さぞかしプレシャーだった事と思う。
さて、それとは別に遠足のお弁当は大好物の海苔巻きだったとか。
あどけない浩宮様の嬉しそうな顔と、美智子様の優しい表情がほほえましい一枚である。
これはこの年新発売された商品である。
この中でもはや生活必需品になったものがある。
ティッシュ、もう完全に日常品だが、それまではちり紙を使っていた。
ちり紙は比較的薄く柔らかい紙を何枚も重ねて、紙のシールで封をして雑貨屋で売っていたのである。
それから、めんつゆ。
それまでは家庭で出汁から作っていたのだ。
便利で手軽になっていく世の中の流れは品物から分かる。
さて、この絵から抜け出したようなスタイルのカップル。
一体、どこへ行くのか。
実は、二人はこの年出来た新幹線営業当日に東京駅のプラットホームにいたのである。
最初は特権階級の乗り物のような新幹線もすぐに庶民化したけど、セレブの見本みたいな二人だ。
1964年の東京の夏は冷夏ではなかったようだが、異常渇水に見舞われた。
断水が続き、私は当時近所の井戸がある家庭で水を分けてもらった記憶がある。
オリンピックの担当者は水確保に苦労した事だろう。
ここから「東京砂漠」という言葉が生まれた。
同名の歌謡曲があるが、それは未だ先の話である。
何時の時代もそうだろうが、20世紀は良い事も悪い事もあった。
ただ、私の実感としては、1964年新幹線が走ると同時に何もかもがスピードを上げてきた気がする。
如実に表すのが、「進化」という言葉である。
これは動物の進化を表していた言葉で、私の学生時代は「進歩」を今の意味で使用していた。
もはやこれは時代遅れになっている。
歩くように進むのでなく、CHANGEしていくのだろうか?
なんて、歳が言わせる言葉です。お許しあれ。
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