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先日紹介した短編ミステリーの傑作集、ここに収められた作品は作風がまるで違うのが特徴的です。
近未来小説、ロマン派、シリアスで身に迫るもの、個性派揃いの作家さんの中で、一時代生まれるのを間違えたような作家が、米澤穂信さんです。
昭和時代の理屈っぽいオタクの生徒を彷彿とさせる内容が多いです。
作者は直木賞受賞後、一段と飛躍しましたが、実は自分としてはこのオタクっぽい慣れなさそうなところが好きなんです。
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彼の初期の作品に学園ものがあって、「古典部」なるサークルの部員のやり取りが面白い。正統派の推理で、まともな理屈で攻めていきます。
主人公が在籍する学校は地方都市にあって生徒は超真面目が多い。
スマホやゲームなど登場しないし、エロっぽいのも無し。
「面白くねえの」と言う方が多いかも知れません。
が、これぞ正統派と言う書き方です。
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シャーロックホームズみたいに冴えた頭でないけど、与えられた状況をコツコツと分析していくサークルの先輩。
鋭いツッコミを入れる女子の後輩。
この掛け合いで、一見何の変哲もなさそうな放課後に流された校内放送が刑事事件に結びつく事が解き明かされていく。
平凡過ぎてつまらない事象を、よく分析してみると非常に面白いのです。
この放送は、教頭先生からの要請で「昨日ある本屋に立ち寄った生徒を教頭室」に呼び出してるもの。
何故放課後流して、何故教頭室なのか?昨日その本屋で刑事事件に関わった生徒を呼び出してるのではないか?そしてその事件とは万引きと違うのではないか?
与えられた僅かな条件から確実に推理していく手法です。
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後に古典ロマンの香り高いミステリーを描くこの作家の根っこのところが、学園ものなんだ、となんとなく嬉しくなりました。
物凄く飛躍してて、頭抜けて面白い、ではなくスタンダードな推理といいますか、私は歳とって初めてこの貴重さに気づきました。
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このように、
あまりにも飛んでしまい過ぎた今の時代を分析するのは、人としての常識を踏まえた正攻法でいって欲しいです。
なんか、この論法飛躍し過ぎたこじつけですかね?