読書の森

大きな戦争 小さな思い出 最終章



宝石の様な戦時の記録、まだ充分読み切れていない。

読んだ中で一番感激したのは疎開の記録である。
6年4組の女性教師、M先生は当時30歳、手記を寄せた時には80歳だ。

この抜群の記憶力、文章力に驚く。

本当に驚くのは、その内容である。



先生は、なんと30余名の疎開児童の足袋を繕った。
子沢山と戦火に追われ、児童の母親には繕う余裕がない。

履き古し穴の空いた足袋に針を刺している内に、指を傷つけ化膿した。
医院に行く暇もなく、菌は骨に達し、ついに人差し指を切断した。

包帯姿で幽霊のように痩せ細って宿舎の寺にたどり着いた。
寺は秋田の片田舎にある。

待っているのは学寮長の任務だ。

生徒の生活勉強一切を、若干30歳の女性が任された。
7ヶ月余の生活はまさに苦しいハプニングの連続。
よくも此れ程と思う。

8月15日の敗戦を村人の殆どが知らなかった。
電話もラジオも新聞も無かったのである。

そんな日本の一時期の貴重な記録をじっくり読みたい。

戦争で建物は消えても、その場所は残る。
どんな時代の嵐にも負けず、遊び戯れる子どもらの声を聞く思いである。

読んでいただき心から感謝いたします。

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