上山明博 なう。

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川村湊氏とチェルノブイリの祈り

2016年02月23日 | イベント.講演
昨日2月22日、第2回文学サロン(脱原発文学者の会主催)が日本文藝家協会会議室でおこなわれた。「チェルノブイリの祈りとノーベル文学賞」と題して、文芸評論家の川村湊氏によるトークは約2時間にもおよんだ。
前半は、昨年ノーベル文学賞を受賞したスベトラーナ・アレクシエービッチの『チェルノブイリの祈り』とノーベル文学賞選考委員会の裏話について。ノーベル文学賞の歷史を振り返ると、受賞作家は言語や国および地域別に、ある周期のローテーションによって選定されている話など、興味深かった。
後半は、チェルノブイリと福島について。30年前に旧ソ連(現ウクライナ)で起きたチェルノブイリ原発事故の際、政府は住民に正しい情報を公開せず、事故後隠蔽工作をおこなった。『チェルノブイリの祈り』は、世界を激震させた巨大原発事故に遭遇し、激変する時代に翻弄される人々への取材ドキュメントである。そして今、福島原発事故で、日本政府はチェルノブイリのときと同様に、住民に正しい情報を公開せず、事故後隠蔽工作をおこないつづけている。一方、チェルノブイリは苦悩のなかから『チェルノブイリの祈り』という素晴らしい文学作品を生み出したが、日本ではまだそれに匹敵すると思われる作品を生み出せてはいない。それを見る限り、現時点においてロシアと日本の文学の力の差を感じないわけにはいかない、と川村氏は2時間におよぶ話をそう締めくくった。いかにも川村氏らしい日本の文学者への叱咤激励にほかならず、私は自戒するとともに感動した。
川村氏とは最近よくお会いしているが、こういう機会でもないと頼めないと思い、川村氏にサインをもらった。うれしかった。

講演直後の川村湊氏(左)と私,上山明博/2016.2.22.日本文藝家協会にて

川村湊氏の直筆サイン「上山明博様 恵存 川村湊」