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赤岳(2,899m)・横岳(2,830m)・硫黄岳(2,760m) ((1)のつづき)
地蔵尾根が終わってすぐの場所に、赤岳天望荘が建っています。風力発電のプロペラがいくつも回っています。
手続きを済ませ、荷物を軽くしてから、赤岳の頂上を目指しました。手すりにつかまりたくなるほどの急坂が続きます。
見下ろすと、天望荘は風力だけでなく太陽光発電もしていることが分かりました。
青空は鮮やかなのに、山頂からの景色はほとんどが雲に隠れてしまっていました。それでも、南に権現岳の双耳峰がそびえ、右には編笠山も顔をのぞかせていました。登りたい山がまた増えました。
権現岳の険しさも、編笠山の大きさも、赤岳から2ヶ月後の晩秋に、二つの山に登ってみるまで分かりませんでした。
「~ 八ヶ岳の縦走にしても、もしも赤岳と権現岳のあいだにあの深い急激な落ち込みがなかったならば、ほとんどのんきな稜線漫歩で終ってしまうはずだから、このキレットの存在はなかなか価値が大きい。 ~」(山口耀久『八ヶ岳挽歌 続・随想八ヶ岳』(平凡社))
「深い急激な落ち込み」は、八ヶ岳の最高峰からの眺望を豪快にしていました。権現岳から眺めた赤岳も、また迫力のある姿だったと思います。
そしてこの「落ち込み」は、八ヶ岳の他の山々には見られない、赤岳と権現岳独特のものでした。
山小屋に戻り、夕食の前に風呂に入りました。八ヶ岳では入浴可能な山小屋が多いですが、さらに高所の赤岳頂上小屋では入浴できません。ここ赤岳天望荘は、お風呂に入れる、八ヶ岳の山小屋の中で、最も標高が高いことになります。しかもそれは、普通のお風呂ではなく本物の五右衛門風呂なのです。ヘリコプターでも、こんなに重いものをここまで運んでくることは大変なことに違いありません。
(登頂:2012年8月中旬) (つづく)