心が満ちる山歩き

美しい自然と、山に登れる健康な身体に感謝。2019年に日本百名山を完登しました。登山・街歩き・温泉・クラシック音楽‥‥

八ヶ岳 みどり池・本沢温泉・硫黄岳(2) みどり池・しらびそ小屋

2021年08月11日 | 八ヶ岳


硫黄岳(2,760m) ((1)のつづき)


 「~ 森の中を歩いていると、ときどき浅い小さな沢に出会うことがある。春になると、わずかな雪解け水がちょろちょろと流れていることもあるが、ふだんはたいてい水がなく、やわらかい土を削りとった両側の縁や、水に洗われた沢床の小石などが、かろうじて沢であることを示しているような、ささやかな源流の水路にすぎない。迷いやすい森の中で、水はときどき考えたり、ためらったりしながら、根気よく道を探していったのではあるまいか。傾斜らしい傾斜をもたない平らな森の中を、うねうねと曲りながら視界を去ってゆく、こういう小さな沢溝を見ると、そんなこともふと考える。できあがった立派な水路ではなく、いかにも川というものの誕生するさまを眼の前に見るようなこういう幼い沢の姿には、かえって素朴な自然の意志をじかに感じさせられるものがある。 ~」
 (『北八ッ彷徨 随想八ヶ岳』山口耀久(平凡社))


 こまどり沢では、みどり池まで「はっても30分」という面白いプレートが出ています。
 かなりのんびり歩き、這うよりもっとゆっくりな40分かけて、みどり池に着きました。「しらびそ小屋 2分」の看板からは、6分でした。反対側の稲子湯までは、「のろのろ 1:30」とのこと。
 ここからは天狗岳が絶景でした。同じ山でも、去年登った天狗岳とまったく違う姿の天狗岳を見ました。森の向こうに、豪快な岩壁が露わになっています。
 畔に建つ小さなしらびそ小屋で、ラーメンの昼食にしました。湯呑みには、「一 少肉多菜」から始まる「健康十訓」が入っています。厚切りトーストが名物と聞いていましたが、昼食のメニューにはありませんでした。今度はぜひ宿泊してみたいと思います。
 シラビソの緑色が水面に映り、そのうえ湖底に藻があるためか、みどり池は本当にみどり色の池でした。大きなシラビソに囲まれた小さな木が、真っ赤に紅葉しています。シラビソの奥には、カラマツ林も広がっているようです。冬には結氷して雪が積もり、池の上を歩くことができるとのことです。
 地図では、みどり池はただの水たまりです。みどり池に向かって流れ込む水はなく、みどり池から下流に流れる水もありません。なぜ涸れないのか不思議です。しかも水はなみなみとしています。
 みどり池の水は「考えたり、ためらったり」もしませんが、独立した小さな池は「素朴な自然の意志」を表しているようでした。
 






 (登頂:2012年10月下旬) (つづく) 



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