剣山(1,955m)・次郎笈(1,930m)
四国のみならず、西日本で最も高い山は愛媛県の石鎚山、2番目に高い山は徳島県の剣山です。
英文旅行ガイドの「Lonely Planet」では、石鎚山・剣山のこともしっかり紹介されており、
”At 1955m, Tsurugi-san is the second-highest mountain in Shikoku and one of Japan's 100 Famous Mountains. ~”
”At 1982m, Ishizuhi-san is known as ‘the roof of Shikoku’ and is the highest peak in western Japan. With its name meaning ‘stone hammer mountain’, Ishizuchi is one of the Hyakumeizan, Japan's 100 Famous Mountains. ~”
(『lonely planet/Japan』(Lonely Planet Global Limited) Craig McLachlanほか著 )
と、どちらの山の説明にも日本百名山が出てくるのは読んでいて嬉しくなります。
ゴールデンウィーク休暇の前日に羽田からANAで徳島へ飛び、翌朝徳島線の特急「剣山」号で徳島駅から貞光駅まで行きます。貞光駅には「剣山登山口」という看板が出ていますが、ここからバスで登山口の見ノ越まで、まだ1時間40分かかります。
四国の海岸線を反時計回りに1周する旅行をしたことはありますが、内陸部にはあまり行ったことがありませんでした。四国にもこんなに山深い場所があるとは、思ってもみませんでした。
バスを降りた見ノ越は、「つるぎさん山開き」の赤い提灯もあって明るい雰囲気でした。
郵便局のホームページで「内国郵便約款別冊 交通困難地・速達取扱地域外一覧」を見ると、徳島県ではここ見ノ越だけが交通困難地になっています。バスで来ることもできる場所ですが、見ノ越には郵便物が配達されないということです。
剣山への登山はそんなに大変なものではなく、ゆっくり歩いても2時間ほどで頂上に到達できます。
北アルプスの岩の殿堂・剱岳とは対照的に、剣山は「剣」の漢字がまったく似合わないくらい穏やかな山でした。
途中の鶴岩と亀岩は、鶴にも亀にも見えませんでした。瑞牆山の写真と見比べると、瑞牆山の奇岩がさらに歴史を経て風化すれば、剣山の鶴岩・亀岩の形に近づいていく気がします。
頂上はとても広く、三角点は土俵のようにしめ縄に囲まれ、それはさらに大きく円形に並べられた石で囲まれ、さらにそれを取り囲むように木道が敷かれていました。
山頂には人工物があるものの、遠くの眺望は見渡す限り山・山・山です。雰囲気が奈良県の八経ヶ岳に似ています。剣山は四国で海からも街からも最も遠い場所だという気がします。
剣山から1,930mの次郎笈へ、稜線上に1本の細い登山道が伸びています。ここを往復するのは、大きな山に挟まれて歩く感覚が楽しかったです。
山頂のすぐそばに、剣山頂上ヒュッテが建っています。「Lonely Planet」ではこの山小屋も紹介されており、
”~ the bath is claimed to be the highest ofuro in western Japan and you'll sleep well as ‘lights out’ is at 9pm. ~”
とありました。ということは、西日本で剣山よりさらに高い石鎚山では、(山小屋に泊まっても)お風呂には入れないと分かります。
「~ 剣山の頂きは、野球かサッカーでも出来そうに広々としたミヤコザサの原であった。
西方に大きく落ち込んだ祖谷川の上流の谷は、平家の子孫平国盛が、安徳天皇を奉じて逃れ住んだ場所と伝えられ、阿佐家を名乗る後裔が今も赤旗と系図をまもっているという。 ~」(田中澄江『花の百名山』(文春文庫))
(登頂:2014年5月上旬)