塩見岳(3,052m) (つづき)
バスは2時間かけて、終点の鳥倉登山口バス停に着きました。ここが林道の終点というわけではなく、林道から登山道が分岐しているような場所でした。
これから歩く登山道の岩石を紹介するプレートが立っています。その説明書きによると、近くで露出している大きな岩は石灰岩のようです。
いきなり急登で始まります。最初は整然としたカラマツの森で、一面すべてが青々としています。
バス停から三伏峠までを10の区間に区切り、1/10から9/10までの看板が立っており、いい目安になります。2/10の看板あたりから、シラビソの樹が出てきます。やや傾斜が緩んだように感じられ、いかにも手作りの木製の桟橋などを歩いて先に進みます。
途中に水場があり、ここには「仏像構造線」という断層が通っているとのことでした。風変わりな名前ですが、「仏像」は高知県土佐市の地名に因んでいます。登山口の説明書きによると、断層は「東京の五日市から沖縄の本部半島までたどれます。」とのことでした。
樹林帯が続き、ところどころ遠くの山々が見えるポイントもありました。
最後の看板「9/10」から15分で、「日本一高い峠 三伏峠小屋 あと200歩」という看板が現れました。歩数は数えられませんでしたが、5分で小屋に着きました。
標高およそ2,600mの三伏峠は、日本一高い峠として知られていますが、どのようにして日本一高いと分かったのだろうかと思います。そもそも、日本には峠がいくつあるのでしょうか。「峠」を国語辞典でひくと、
「 ①山をこえるときに、坂道をのぼりつめた所。 」(『三省堂国語辞典(第七版)』(2017))
とありました。これなら、2,600mを超えた地点でも、日本中のどこかにはありそうに思えます。
地名事典(『コンサイス日本地名事典(第三版)』(1989)(三省堂))にも「三伏峠」が出てきましたが、日本一の高さの峠とは書かれていませんでした。「 近世は大井川上流部の西俣からこの峠を越え、天竜川支流の小渋川を経て伊那盆地に物資を運搬。 」という説明書きがありました。
どのルートなのか特定できませんが、もし西俣から小渋川まで、普通の登山道が通っていたとしても5日、いや5日では歩き切れない長さではないかと思います。三伏峠はそれくらい壮大なルートの一部なのです。
三伏峠小屋ではなめこ蕎麦を注文しました。
(登頂:2018年7月下旬) (つづく)