高崎から上越線の普通列車で水上まで来ると、いよいよ山が近づいてきた感じがします。水上で列車を乗り換え、1つ目の駅が湯檜曽駅です。
上越線では、「日本一のモグラ駅」土合駅が有名ですが、隣の湯檜曽駅も同じくトンネルの中にあります。
ただし、地下深くにある土合駅と違い、湯檜曽駅は全長13.5キロの新清水トンネルに入ってすぐの場所にあります。ホームからはトンネルの出口が開いているのがわかります。駅の位置をあと少し南にずらせば、駅をトンネルの中にする必要はなかったのにと思います。
土合駅のように486段の階段を登る必要はなく、出口にはすぐ着きます。下り線はトンネルの中にありますが、上り線は地上にあります。
ここ上り線のホームからは、ループ線を見上げることができます。高さを稼ぐために、線路がくるっと回っているループ線は、日本の鉄道では全部で6か所しかありません。ただし、レインボーブリッジを渡る東京のゆりかもめを「鉄道」に入れないなら、5か所です。ものすごい急坂を次から次へと登る箱根登山鉄道にも、ループ線は1つもありません。
わずか6か所のうち、2つが上越線にあります。ループを下ってくる水上行きの電車が見えます。いったんトンネルに入って見えなくなり、音も全く聞こえなくなります。湯檜曽のループ線はその半分以上はトンネルで、外からは見えません。
電車が到着する寸前に静寂が訪れます。横切るように走り去ったはずの電車が、再び駅にやってくるのはとても面白かったです。ループ線の面白さが手に取るように分かる駅です。
2020年9月現在、湯檜曽駅に停まる電車は上下5本ずつ(6本の日もあります)です。
(写真:2020年9月上旬)