外回りの営業担当者にとって、経費精算のために「原本」をとっておかなければならないタクシーや接待の飲食代などの「領収書」。結構面倒くさいものだが、スマホなどで撮影した画像データを保管するだけで、原本を廃棄できるようになるかもしれない。国が規制緩和を検討していると、日本経済新聞が4月末に報じた。
同紙によると、現在は領収書の原本やスキャナーで読み取った画像データを7年間保管する必要がある。しかし、規制緩和が実現すれば、外出先で使えるスマホなどで撮影した画像データでも認められるようになるため、より手軽に経費請求ができるという。
具体的にはどう便利になるのだろうか。税務におけるIT活用にくわしい近藤学税理士に聞いた。
●会計データへの変換サービスが普及する可能性も
「現行の法律では、3万円未満の領収書・契約書は、スキャナー保存すればよいというところまで規制緩和されています。しかし、その要件は厳しいので、かえって面倒くさいかもしれません」
いったい、どんな手間があるのだろうか。
「申請書は、非常に細かい内容の記載を求められます。さらに、電子署名とタイムスタンプの添付が義務付けられています。いま実際にスキャナー保存を行っている人は、かなりマニアックな人だと思いますよ。
ただ、今年9月30日以降の承認申請から、金額要件が撤廃されて、3万円以上の領収書でもスキャナー保存が認められるようになります。承認申請の種類も、簡略される方向です。電子署名が不要になり、タイムスタンプの添付だけでよくなります」
では、スマホ撮影が認められるのは、いつからだろうか。
「原本の廃棄が可能なのは、まだスキャナーでの読み取りだけです。スマホでの撮影は、早ければ2016年から認められるかもしれません」
スマホの画像保存だけでよくなると、メリットは多そうだ。
「なんといっても、保管場所がいらないことが一番です。海外サーバーでの保管も認められていることから、DropboxやEvernoteなどのクラウドサービスを利用することも可能です。
また、最近ではスマホで撮影した画像を会計データに変換するサービスもあります。スマホ撮影が認められれば、それらのサービスがさらに普及してゆくことが考えられますね。
ただ、課題として考えられるのは、画像編集ソフトで容易に金額等の改ざんが行われてしまうことでしょう。今後、タイムスタンプや画像の改ざんを防ぐアプリを開発されてゆくのではないでしょうか」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150524-00003149-zeiricom-bus_all