島原の夜...その3

2005-11-11 10:06:51 | お遊び話
案内された部屋は十二畳ほどの落ち着いた(古い・年期のある)和室(客室)
入り口以外の三方に、様々な書(掛軸、屏風、鴨居にかかる額縁)が飾られている。
聞けば、近藤勇、桂小五郎、伊藤博文、原敬などの書だという。
一同しばし室内を見学。

お膳が皆に用意されており、各自着席歓談。
歓談中は室内を蛍光灯が照らし明るかったが
太夫のお出まし近くになると
蛍光灯が消され、部屋の2カ所に距離をおいて
高足のロウソク台を立て、そこに立てた百目ろうそくに火がともされた。
「よッ、江戸時代にタイムスリップだ!」ワクワク

なにやら楽器が我々の前に用意された。
よく見ると中国の楽器「胡弓」だ。

女将の声 「○○太夫、おなりどす」 (だったと記憶しているが)
一同、緊張!
お出ましをジッと待つ
(はじめてパンダを見るときのような期待!
「どんなモノが出てくるんだろう?」みたいな

すると長い長い大きな振り袖が付いた うちかけを身にまとい
登場の際は振り袖で顔を隠すように ソローリ ソローリと
物静かにお出ましになりはった。

お付きの者が介添えし、うちかけをきれいに広げ
所定の場所にお座りになられた。
そこで初めて一同ご尊顔を拝した。
「おおッ なかなかのべっぴんはんだ (私の感想)
(後々、太夫と話して知るのだが御年26歳、太夫では見習いとされる振袖太夫であった)

百目ろうそくの光に目が慣れてくると
白塗りの太夫の顔がなおさら美しく見えてきた。
「おおッ、この太夫なら朝まで抱いていたい(心の声)
(蛍光灯の下で見ると、舞妓・芸妓・太夫・歌舞伎役者の白塗りの顔も異様な感があるが、それをろうそくをともしその下でみると
「何とまともな顔になるものか」その時初めて電気のない時代の白塗り化粧の意味がわかった)
その後、なにやら口上のようなものを太夫は話されたが覚えていない。
口上が終わると胡弓を取り上げ
一同の前で演奏を始めた。
まさに胡弓だった (いにしえの音色とでもいおうか...)。

音色はすばらしかったが、できの善し悪しは私にはわからない。
胡弓の演奏中、少々手持ちぶさたになり
同席のおじさんたちの顔を眺めていた。

皆、魂の抜け殻のように固まっていた。
一人は瞳孔が開きっぱなし
一人は口が半開き状態
一人はたばこを口元に持っていきながらそこでフリーズ状態。燃えかすが膝に落ちているのも気づかず聴き惚れていた
「みんなハマってるなあーッ

んッこの空気、この世界...これだな と直感した)

太夫の持つこの品位と遊芸。
この魅力に時の大名、公家、豪商などがハマり足繁く通ったのだろう。
太夫とは、大名・公家たちがもつ高い教養・人格・品位にあったレベルのものを持ち合わせた遊女であることを。私は初めてこのとき理解ができた。

*補足知識...当時は床の相手も遊びの一つだったろうが売春禁止法施行(昭和33年)以後は娼婦稼業は廃業。現在は遊芸を披露したり、お酌接待などが主業務となっている。

胡弓の演奏が終わり太夫より一同に挨拶があった。
その後、一人一人の膳を回ってくれ、酌をしてくれた。

他のおじさんたちは緊張して、寡黙になっていた。
特に関西の人たちは、太夫より酌をしてもらい恐縮していた。

私の側に太夫がまわって来たとき、
また舞妓のときのようにいたずら心がわいてきて
諸先輩方をさしおき、けったいな質問をなげかけた。
(今思い出してもあのときは楽しかった。太夫の私生活話。乞うご期待!)


(つづく)

*画像は司太夫管理のHPに紹介されている太夫はん。このブログに書いた振袖太夫はんかどうかは内緒!

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4 コメント

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Kちゃんコメント書きたくなるだろう (アマル)
2005-11-11 17:42:20
勉強の合間に見なさい!

コメント書きたくなってムラムラしたら

気分転換に書くように。

次回はまた笑っちゃうぞ!

明日忙しいから日曜日に書けるかな...

返信する
halsepさんTBありがとう (アマル)
2005-11-11 18:06:39
halsepさん、TBありがとうございます。

あまり商品の売り込みはどうもとは思いましたが、

ブログタイトルが繊細でちょっと気に入りました。

「ガラスの馬車」..なんか私のブログと感性が近いモノがあるかも...

本日の「香を楽しむ」にアップさせているライトブルーの

ガラスの高炉でしょうか?「いいですね!」



halsepさんは、オブジェの類は手がけていますか?

実は動物のガラス工芸品。その中でも金魚のガラス工芸品です。この辺のお話になると超マニアックな世界の話になりますので、単なる質問として受け取って下さい。



追伸:私のブログがhalsepさんのブログの品位を落とすようなことにならないかと心配しますが、大丈夫でしょうか?男女のいとなみ話が好きなので..

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あの・・・ (さつき。(嶋原応援してます))
2010-03-17 17:20:48
こんにちは。検索からおじゃましてます。

胡弓は中国楽器ではありません。
れっきとした日本の楽器です。最近は
中国の「二胡」のことを胡弓、と呼ぶ人が
多くいるからややこしいんですが・・。
胡弓 と呼べるのは、日本本土の胡弓と
沖縄の胡弓(こう書いて向こうでは「くーちょー」と読みます)だけと思います。

太夫さん応援隊? および、胡弓愛好家として
かかせていただきました。
返信する
ありがとう さつきはん (アマル)
2010-03-18 00:37:16
さつきはん、投稿うれしいです。
いやあぁ薄学が露呈しましたねぇ
>中国の「二胡」のことを胡弓、と呼ぶ人が
多くいる
→私もその1人ですね
おっしゃるとおりで、中国の「二胡」の名称だけは昔からよく知っていましたが、和楽器である胡弓と同じものと誤解をしていました(二胡と和胡弓を比べれば別物であることはすぐ分かるでしょうね。本物を見比べる機会がないまま、誤用していましたスミマセン)。
しかし、これでまた知識が増えました。
その点では逆にありがとう(おおきに)とお礼を申し上げます。
さつきはんもこれをご縁に、興味のある記事などこのブルグの中にありましたらドシドシカキコくださ~い。お待ちしています。
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