理乃美

ソフトとハードと論理の覚え書き

トランスリニア・バイアス電力増幅回路をつついてみる (2)

2019-09-02 19:39:19 | 電子工作

トランジスタ技術 2019/5の黒田氏の記事[1]に、「初代アンプの基準電流が150mAと大きかった理由は、..パワー・トランジスタの最大出力電流がこの基準電流によって制限を受けるからです.」とある。

シミュレーションでは、トランジスタが火を噴くことはないので、負荷抵抗を小さくしてどうなるかを確認してみる。

このように、0.5オームの低負荷だと 15A で頭打ちとなる。 hfe=100として 0.15A x 100 = 15Aという計算。

トランジスタのモデルに、ダウンロードしてきた2N3055/MJ2944 を使ってシミュレートするとそこまで駆動できず、こんな感じ。

 

[1]:  黒田 徹、「ひずみ率0.0005%! 40W高効率パワー・アンプの製作」、トランジスタ技術 2019年5月号、p179-189.


MJ2955/2N3055のモデルをLTspice XVIIに組み込む

2019-08-27 13:37:25 | 電子工作

パワートランジスタのパラメータモデルということで、ON Semiconductorのサイトから入手したMJ2955 / 2N3055 のコンプリメンタリーペアのトランジスタのモデルをLTspice XVIIに組み込む。基本的には、ダウンロードしてきた.LIBファイルの中身を ドキュメント > LTspiceXVII > lib > cmp の standard.bjt の最後に書き足せばお終い。

ただし、文字コードに注意。standard.*ファイルをWindowsのメモ帳でそのまま開く場合は気にしなくてよいが、sakuraエディタで開く場合は文字コードをUnicodeで開き直す必要がある。

これで、[Pick New Transistor] で開くSelect Bipolar Transistor画面の選択肢に Q2n355 (npnの場合)、Qmj2955 (pnpの場合) が追加される。.LIBファイルの中身を書き写すときに、.MODEL に続くモデル名を好きに変えればよいが、まあオリジナルのままでおいておく。

パラメータモデルなので、temp=xx と指定して個別に温度指定することもできる。よしよし。

なお、2N3055だけはLTspice XVIIに付属のモデルにふくまれている。しかし、MJ2955とコンプリメンタリーペアとして実験するつもりなので、おなじくON Semiconductorにあるものでそろえることにした。実際、ON Semiconductorから入手したものとLTspice付属のものではパラメータが少々異なっている。

spiceモデルの入手ページはこちら。

https://www.onsemi.com/products/discretes-drivers/general-purpose-and-low-vcesat-transistors/2n3055

https://www.onsemi.com/support/design-resources/models?rpn=2N3055

https://www.onsemi.com/products/discretes-drivers/general-purpose-and-low-vcesat-transistors/mj2955

https://www.onsemi.com/support/design-resources/models?rpn=MJ2955

 


LTspiceで素子に個別に温度を設定する

2019-08-26 12:16:20 | 電子工作

LTspiceには温度を変えて動作がどうなるかをシミュレートする機能がある。

この場合、その回路図にあるすべての素子の温度をいっせいに変えることになる。

素子間の温度のばらつきが動作にどう影響するかを見たいので、素子を個別に温度指定したい。

LTspiceで、素子に明示的に温度を指定することもできる。

回路図で、素子にポインタをあわせて Ctr + 右クリックすると、Componet Attribute Editorが開く。

Value にモデル名があるが、そこに temp=温度 と書き足せば、その素子の温度が指定できる。

(回路図の素子のモデル名のところにカーソルを合わせて右クリックし、そこでモデル名のうしろにtemp=***と書き足してもよい。)

ただし、これはパラメータモデルの方法。等価回路モデル(サブサーキット)では通用しない。

先に入手した2SC5200,2SA1934はサブサーキットで、しかも暗号化されていているからなぁ。

ということで、別の低周波パワートランジスタを探してみることにする。


2SC5200のLTspiceモデルでのIc-Vbe特性をみる

2019-08-25 18:35:19 | 電子工作

東芝のサイトからダウンロードしてきた2SC5200もモデルを使ってIc - Vbe特性の温度依存性を見てみる。モデルがどういう振る舞いなのかの確認が目的。

ということで、やっていることはLTspice XVIIリファレンスブックのp234「 [189]トランジスタのIc-Vbe特性(温度パラメータ)を求める」に書かれている事を2SC5200でやってみただけ。チップ温度が上がるにつれ同一バイアス電圧でもコレクタ電流が流れることが現れていることを確認。なるほどね。

 

[1] 青木英彦 2018 電子回路シミュレータLTspice XVIIリファレンスブック CQ出版 ISBN978-4-7898-4954-8


東芝のサイトから得た2SC5200, 2SA1943のLTSpiceモデルを使う

2019-08-24 17:52:51 | 電子工作

東芝のサイトからは、2SC5200や2SC1943などのトランジスタのLTSpiceモデルがダウンロードできる。

.modの中身が暗号化されているので戸惑ったが、LTspice XVIIへの組み込みは簡単だった。

 

ダウンロードされてくる.zipファイルを解凍すると、例えば 2SC5200.asy と 2SC5200.mod という二つのファイルがある。

.mod ファイルは、ドキュメント > LTspiceXVII > lib > sub のフォルダに.modファイルをそのまま置く。

.asyファイルは、ドキュメント > LTspiceXVII > sym の下、直下でもよいけど例えばMyPartsフォルダを作ってその下に、.asyファイルをそのまま置く。

これだけで完了。

回路図に配置する部品を選ぶときは、 Edit > Componet で Select Component Symbol 画面を開いて部品を選ぶ。 さきほど、MyPartsフォルダの下に.asyファイルを置いたので、[MyParts]を開くとそこに 2SC5200 が現れている。

これを選んで回路図に配置するだけでOK. 何もしなくてもシミュレーションには、対応する.modファイルが使われる。