Belle Epoque

美しい空間と、美しい時間

能鑑賞のための本

2018-09-10 | rayonnage...hondana
息子がお仕舞いの稽古を受けています。
わたしはこの子を妊娠中に切迫流産危機があり、あまり動けなかった時に、東山の観世会館にてたびたびお能を観ていました。
これも胎教だったのか、、
今やすんなりお稽古に入り、自ら「袴でお稽古したい」と言い出し、お師匠をして
「お稽古に袴を着てくるお弟子さんは初めて」
と面喰らわせるくらいのなじみっぷりです。
空手を習わせたい、と夫は言っていたのですが、本人はきっぱりした性格で、見学を経た上で、
「ぼく空手はやりません。お能をやります。」
と宣言し、いま「老松」を修了して「玄象」のお稽古中。
野村美術館の能装束展も熱心に観て、これおじいさん、お髭が長いね、これ女の子、かわいいね、鬼は怖いね、この扇のきものは素敵だからおかあさんね、ぼくはこのきものね、などと構えることなく鑑賞するので、本来こういう、個々人の自由な印象から始まるのが観劇というものなんだよねきっと、と母は思いました。

ところで、先日、いい席が手に入りそうなので和装して行きませんかと歌舞伎に誘われて、11月に南座へ行く予定なのですが、意外と、歌舞伎って観たことがなくそんなに惹かれたこともなかった、と気がつきました。
能はひとりで気兼ねなく観に行っていたのに、歌舞伎は、誘ってもらってようやく腰が上がる。そこそこの小紋で趣向を凝らして着飾らなくちゃいけないのかな〜とか、周辺準備に気が重かったり。
(11月の体験以降にハマってるかもしれないけれど 笑)


抑えた美、抽象化された美、決して枠をはみ出さない中に自由度を求める秘められた花、
わたしは能のそのスピリットにもともとたいへん惹かれており、子どものお稽古に付き添うなかで、さらにその魅力にぐんぐんハマっております。
お師匠は、謡の声もとりわけ素晴らしい方で、お人柄も穏やかで、良いご縁に恵まれました。
子どもの謡の張り上げる声も、良い緊張感に満ちていて、初めて聴いた時に、こどもというものの真剣さに胸打たれました。心が洗われるような清々しいシーンでした。


こうなると、漫然と観ていた能の演目が俄然身近くなるので、歴史も学ぼうと思いだしました。
読んで良かった能入門の本が、こちらです。



観世流お家元と内田樹氏の対談。
内田氏は、ご自身がお稽古をしていらっしゃるので、素人として共感するところ多々。
また、シテ方としての観世お家元の語りも、なかなか伺えないお話満載です。



こちらは、ワキ方能楽師さんの奥深い本。とてもとても面白い!
ワキはワキ役ではなく、あの世と現世のはざまをワケル立場である、という記載を見ると、舞台を観る目が変わります。



予習復習にはこれです。
とてもわかりやすい。



能の始祖といえば世阿弥、その貴重なメモである風姿花伝は、原文で読むのは厳しいので、いろんな方の解釈を複数読むと面白いです。

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