おだやかな空気の夜、帰り道にバニラの香りとすれ違いました。
その時通り過ぎた女の子からのものでしょう。
瞬時に、懐かしい、忘れていたことを思い出しました。
高校1年生の時のこと。
当時好きだった人は、高校生からしたら、かなり年上でした。
子供としては、つりあう大人に見られたくて、背伸びしたくて、そのついでに香水に興味を持ったりもし始めたのも、この頃。
で、いろいろ試してみたのですが、その人が一番気に入ったのが、バニラの香りでした。
恋を手に入れるのに役に立ったそれは、山田詠美さんの本にヒントを得たからで、、、といえば、多くの方が「ピン」と来る通り、
そう、正体はバニラエッセンス。
お菓子作りに欠かせない、茶色の小瓶に入った、アレです。
純度高い、バニラそのものの香りなら、それをなぞった香水をわざわざ買うより、よほど香りの質が高いのは当然だし、お手頃。高校生には渡りに船。
この、甘くて懐かしくて、愛おしさを感じさせる香りには、男性も女性も、なかなか抗い難いものがあるようです。
事実、恋と誘惑に効く香水には、バニラ、含まれているもの多いですよね。
話はそれますが、初渡仏時、香水の町、南仏はグラースで、手作り香水に友達と挑んだ時のこと。
調香の講習で一緒になったのは、フランス人の若いカップルだったのですが、とにかく体格と顔立ちに迫力がある二人な上、ラブラブ・ベタベタ度合いもものすごく。
小柄な我々日本女子は、彼らと並んで講習を受けながらも、圧倒されて、その様子をチラチラ横目で見ずにはいられませんでした。
このレスラーみたいなお二人が、彼女の香水を一緒に作りに来ていたようなのですが、
プロレスワザをかけるかのごとく、一人がけの椅子に揃ってからみついて座り、調香する過程で、
しきりに、山の岩みたいな彼が、
「もっとバニラ!もっとバニラを!!」
足すべきだ、と、くどいくらいいい続けるのです。
香りもくどくなる一方。。
それがうれしいらしく、一滴足すごとに繰り返される熱い抱擁・・・
我々は、そのすべての様子が、気になって気になって・・・・・
まだ慣れないフランスで、滞在初期の頃に見る光景としては、強烈過ぎました。
なんと「濃い」国なんだ・・・、無言で目を合わせた友達と、同じこと(ちょっと恐怖感)を感じているのを確かめ合った瞬間が、忘れられません。
でも、愛し合う二人が幸せなのはいいこと。
そして、その幸せをしっかりと支えたのがバニラ、偉大なるバニラなのでした。
さて、それからさかのぼること数年の高校時代に再び立ち返り。。
恋人の前で使う前に、バニラエッセンスの効力をまず他人の立会いのもと試そうと思った私は、まず友達と作戦会議、休み時間のお手洗いでおちあいました。
「これ・・・量どれくらいがいいと思う?」
「ボール一杯のお菓子にせいぜいが2滴ですごくなるから・・・1滴でも、充分なんじゃない?」
と、友達。
そうよね。よし、じゃあ試してみよう。
あろうことか、日中の学校でそういう暴挙に及ぶ浅はかさ。
無知すぎました。
なんと、「1滴」どころか、たっぷり中身が入ったビンからは、トットッ、と、何滴かが流れ出し。
うっ!
瞬時にブワッと甘い香りに満ちるお手洗い。
いくらバニラがいい香りでも、お手洗いでもそう感じるかっていうと・・・、かなり違う。
うわー!
と、急いで手を洗うものの、あれって強烈なんです、なかなか落ちないんですよ。
なにしろ、もともとが、香り付けして拡散させるための品ですからね・・・。
そうこうしている内に、10分の休みは終わる。
仕方ないから、教室へ帰る。
私の通る道すがら、そういう目的のテロみたいに、濃密な空気が広がっていく。
けっして広い学校ではなかったため、あっという間に、バニラ臭は、校内に満ち満ちました。
・・・その1日の、臭素としての自分の存在の、耐え難いことといったら・・・。
いたたまれなかった。
しかしその後も、めげることなくつけ方の調整を続け(量は、ビンの口を撫でるか撫でないかくらいでOK!)、しまいには、その恋人に、あの香りをまとったところが特に好きで忘れられない、と言わしめるまでに、バニラエッセンス使いとして精進はしたのでした。
執念ですね・・・
でも、デート以外ではオススメしません(^^;)
記念すべきファースト・フレグランス。
それは、意識の中ではYSLのPARISだったけど、記憶を掘り起こしてみれば、実は、バニラエッセンスだったのでした。。
自分の中では、香水としてはちょっと忘れたい出来事つきなので、知らず知らず、封印していたのですね。
青春時代の、甘くてそんなやや苦い思い出がよみがえった夜でした
その時通り過ぎた女の子からのものでしょう。
瞬時に、懐かしい、忘れていたことを思い出しました。
高校1年生の時のこと。
当時好きだった人は、高校生からしたら、かなり年上でした。
子供としては、つりあう大人に見られたくて、背伸びしたくて、そのついでに香水に興味を持ったりもし始めたのも、この頃。
で、いろいろ試してみたのですが、その人が一番気に入ったのが、バニラの香りでした。
恋を手に入れるのに役に立ったそれは、山田詠美さんの本にヒントを得たからで、、、といえば、多くの方が「ピン」と来る通り、
そう、正体はバニラエッセンス。
お菓子作りに欠かせない、茶色の小瓶に入った、アレです。
純度高い、バニラそのものの香りなら、それをなぞった香水をわざわざ買うより、よほど香りの質が高いのは当然だし、お手頃。高校生には渡りに船。
この、甘くて懐かしくて、愛おしさを感じさせる香りには、男性も女性も、なかなか抗い難いものがあるようです。
事実、恋と誘惑に効く香水には、バニラ、含まれているもの多いですよね。
話はそれますが、初渡仏時、香水の町、南仏はグラースで、手作り香水に友達と挑んだ時のこと。
調香の講習で一緒になったのは、フランス人の若いカップルだったのですが、とにかく体格と顔立ちに迫力がある二人な上、ラブラブ・ベタベタ度合いもものすごく。
小柄な我々日本女子は、彼らと並んで講習を受けながらも、圧倒されて、その様子をチラチラ横目で見ずにはいられませんでした。
このレスラーみたいなお二人が、彼女の香水を一緒に作りに来ていたようなのですが、
プロレスワザをかけるかのごとく、一人がけの椅子に揃ってからみついて座り、調香する過程で、
しきりに、山の岩みたいな彼が、
「もっとバニラ!もっとバニラを!!」
足すべきだ、と、くどいくらいいい続けるのです。
香りもくどくなる一方。。
それがうれしいらしく、一滴足すごとに繰り返される熱い抱擁・・・
我々は、そのすべての様子が、気になって気になって・・・・・
まだ慣れないフランスで、滞在初期の頃に見る光景としては、強烈過ぎました。
なんと「濃い」国なんだ・・・、無言で目を合わせた友達と、同じこと(ちょっと恐怖感)を感じているのを確かめ合った瞬間が、忘れられません。
でも、愛し合う二人が幸せなのはいいこと。
そして、その幸せをしっかりと支えたのがバニラ、偉大なるバニラなのでした。
さて、それからさかのぼること数年の高校時代に再び立ち返り。。
恋人の前で使う前に、バニラエッセンスの効力をまず他人の立会いのもと試そうと思った私は、まず友達と作戦会議、休み時間のお手洗いでおちあいました。
「これ・・・量どれくらいがいいと思う?」
「ボール一杯のお菓子にせいぜいが2滴ですごくなるから・・・1滴でも、充分なんじゃない?」
と、友達。
そうよね。よし、じゃあ試してみよう。
あろうことか、日中の学校でそういう暴挙に及ぶ浅はかさ。
無知すぎました。
なんと、「1滴」どころか、たっぷり中身が入ったビンからは、トットッ、と、何滴かが流れ出し。
うっ!
瞬時にブワッと甘い香りに満ちるお手洗い。
いくらバニラがいい香りでも、お手洗いでもそう感じるかっていうと・・・、かなり違う。
うわー!
と、急いで手を洗うものの、あれって強烈なんです、なかなか落ちないんですよ。
なにしろ、もともとが、香り付けして拡散させるための品ですからね・・・。
そうこうしている内に、10分の休みは終わる。
仕方ないから、教室へ帰る。
私の通る道すがら、そういう目的のテロみたいに、濃密な空気が広がっていく。
けっして広い学校ではなかったため、あっという間に、バニラ臭は、校内に満ち満ちました。
・・・その1日の、臭素としての自分の存在の、耐え難いことといったら・・・。
いたたまれなかった。
しかしその後も、めげることなくつけ方の調整を続け(量は、ビンの口を撫でるか撫でないかくらいでOK!)、しまいには、その恋人に、あの香りをまとったところが特に好きで忘れられない、と言わしめるまでに、バニラエッセンス使いとして精進はしたのでした。
執念ですね・・・
でも、デート以外ではオススメしません(^^;)
記念すべきファースト・フレグランス。
それは、意識の中ではYSLのPARISだったけど、記憶を掘り起こしてみれば、実は、バニラエッセンスだったのでした。。
自分の中では、香水としてはちょっと忘れたい出来事つきなので、知らず知らず、封印していたのですね。
青春時代の、甘くてそんなやや苦い思い出がよみがえった夜でした
バニラエッセンス、素敵なかほり
音楽とかと一緒でその当時のことをなんとなく思い出せますよね~。
そういう素敵な時間が好きです★
と思って、バニラと洋ナシベースで調合した事があります。自分ではお気に入りの香でしたが、回りの反応は・・・。
甘過ぎたみたいです。
そうそう、「あの頃」って、なんか色んな思いがよぎりますよね。。
ひたっちゃうこともありますよね。
香水の数=恋の数、なんて人も多くいますものね~、
嗅覚・聴覚の記憶力ったら、ほんとに大したものです!
うんうん、甘い香りの主張の強さって、けっこうなものですよね。
バニラと洋ナシ・・・それは甘そう~
香りに期待というより、おいしそうですね!(^▽^)/
視覚・聴覚・嗅覚か~あの時間を思い出す。
切ないお伽話のようですね。
香水瓶の中には、良くも悪くも気持ちの色が入っているから、香りの快楽はやめられませんね