ご訪問してくださり、ありがとうございます
J. R. R. トールキン 原作の 『 指輪物語 追補編 』 です
『 指輪物語 』 について、もっと詳しく知りたい!と思う方のための本です。
(注 : 『 指輪物語 王の帰還 』 の 「 療病院 」 の場面は、
こちらではなく、『 指輪物語 5 王の帰還 上 』 の、 「 療病院 」 のところと、
『 指輪物語 6 王の帰還 下 』 の、 「 王と執政 」 のところに、
その後の、エオウィンとファラミアについて、書かれています)
ピーター・ジャクソン監督作品の ' 04年の映画
『 ロード ・ オブ ・ ザ ・ リング ~ 王の帰還 ~ 』 の、
劇場版では、カットされてしまった、
「 療病院 」 ( Houses of Healing ) の場面が、
SEE ( スペシャル ・ エクステンデッド ・ エディション = ノーカット版 )
の DVD に、載っています!
【 ※ ここから先は、原作や映画のネタばれ
・ 映画の場面の写真などが、含まれています ※ 】
映画 『 ロード・オブ・ザ・リング ~ 王の帰還 ~ 』 の劇場版を、
見ていて、王の戴冠式の時に、正装したエオウィンが、
お祝いの席に、なんで、兄のエオメルの隣ではなく、
知らないはずの、ファラミアの隣にいて、
しかも、仲睦まじそうに、微笑み合っていたのか、
疑問に思った方も、少なくないと思います。
Houses of Healing
LOTR Extended Edition - Eowyn with Faramir
( 動画が、消えていましたら、ごめんなさい )
原作のほうでは、その後の、エオウィンとファラミアのことについて、
より詳しく書かれていますが、
SEE の DVD の 「 療病院 」 の場面では、原作の場面を、
完全に描かれていなく、説明不足なところがあり、
原作を読んでいない方にとっては、いまいちわかりずらい、
と思うかもしれませんが、
ないよりはまし、ということで(笑)
「王の癒しの手」を持つ、ゴンドールのエレスサール王となった、
アラゴルンが、オークの矢に打たれ、致命傷は逃れたましたが、
その矢の毒と、ナズグルの黒い息に侵されて、
高熱で意識のない状態にあった、ファラミアを、
「 王の葉 」とも呼ばれている、
アセラス という薬草を使い、救います。
それを揉みつぶすと、芳香が匂ってきて、
その新鮮な生気が、部屋に満ちていました。
そうして、アラゴルンは、ファラミアの名を呼びかけ、
その命を取り戻しました
エオウィンも、また、ナズグルの首領と黒の乗り手の王との戦いで、
瀕死の重傷を負い、黒い息に侵されていました。
それだけではなく、彼女は、ローハンにいた頃の、ずっと前から、
蛇の舌が、エオウィンに話しかける言葉の毒が、彼女の耳から入り、
見た目にはわからない、心だけが、霜におかされたように、
凍りついていたのでした…。
アラゴルンは、 「 王の葉 」 アセラスの薬草を使い、
湯気の立ち昇るお湯の中に入れて、
そのお湯で、エオウィンの額を洗いました
アラゴルン 「 わたしには多分、姫の体を癒し、
暗い谷間から姫を呼び返す力はあるだろう。
しかし姫が目覚めて見いだすものが、望みであるのか、
はたまた忘却か、絶望か、それはわたしにはわからない。
もし、絶望であれば、その時わたしがもたらすことのできない癒しの手が
他から来ない限り姫は亡くなってしまわれるだろう 」
顔色もよくなり、回復し始めてきた、エオウィン。
エオウィンは、ふと、起き上がり、窓辺から外を眺めようとすると、
そこには、一通の手紙が、置いてありました…。
そして、顔を上げた、エオウィンが、目にしたのは、
今は、ゴンドールの執政となった、ファラミアの姿でした。
ファラミアは、エオウィン姫を目にし、彼女の憐みの情に、
心を動かされました。そして、姫が傷を負っているのを見て、
彼の曇りのない透視力は、姫の悲しみと不安を、読み取ったのでした…。
ファラミアは、院長から、ローハンの姫君のことで、
聞ける限りのことを聞きました。
そして、同じく療病院にいたメリーから、多くのことを知ることができました。
彼女は、彼を見て、一度戦場に出れば、
いかなるローハンの騎士も匹敵しえない勇者であることを知り、
その目にまじめな優しさを認めました。
エオウィンは、執政であるファラミアに、
療病院の院長に命じて、自分を退院させるよう、懇願しました。
エオウィン 「 わたくしは、治りたいと思っているわけではございません。
兄エオメルのように戦いに馬を駆りたいのでございます。
それとも、いっそセオデン王のようになりたいのでございます。
なぜなら王は亡くなって、名誉と平和をともに得られたのですから 」
ファラミア 「姫よ、大将方の後を追われるにはもう遅すぎます。
たとえあなたにそれだけの体力がおありになったにしても 」
「 しかし、そのうちわれわれすべてが戦って討ち死にすることに
なるかもしれません。まだ時間がある間に
あなたが医師のいいつけをよく守られれば、
ご自身のやり方で、それに立ち向かわれる備えが
全うされるというものです。
あなたもわたしもここは辛抱強く、待つことの時間に
耐えなければならないでしょう 」
ファラミアのはからいで、エオウィンは、部屋を出て、
療病院の中庭を散歩することを、許されました。
そして、ファラミアが、エオウィン姫に声をかけ、
二人は、時々言葉を交わしながら、芝生の上を歩いたり、
緑の木陰に並んで腰を下ろしたりして、
毎日一緒に中庭を散歩しました。
ある寒い日に、ファラミアは、彼が幼い頃に亡くなった母の、
形見である、銀の星々がちりばめられている、
大きな青いローブを、エオウィンに着せかけたのです。
そして、エオウィン姫は、ミナスティリスの都の城壁の上に立って、
眺め渡しました。
しかし、エオウィン姫は、星をちりばめたローブの下で、震えていました。
ファラミア 「 何を探しておいでです、エオウィン ? 」
エオウィン 「 黒門はかなたにあるのではございませんか ? 」
「 そしてあの方はもうそこにいらしてるにちがいありませんね ?
出陣されてから7日になりますもの 」
ファラミア 「 7日、こう申し上げても、
わたしのことを悪くお思いにならないでください。
この7日間はわたしが知ることがあろうとは
思ってもみなかった喜びと苦痛を同時にわたしにもたらしました。
あなたにお会いする喜び、そして、この悪しき時代の
恐怖と不安が今やまことにその暗さを増してきた苦痛です 」
ファラミア 「 エオウィン、わたしはこの世界が今終わってほしくはない。
わたしが見いだしたものをこんなにすぐに失いたくはないのです 」
エオウィン 「 このような時に失うことのできるどのような物を
殿が見いだされたのかわたくしにはわかりませんが、
さあ、そのことはもう話さないことにいたしましょう !
わたくしの足許にある深淵は真っ暗です。
わたくしの背後には光があるのかどうか、わたくしにはわかりません。
まだ振り向くことができないのですから。
わたくしは滅びの日を待っているのでございます 」
ファラミア 「 そうです。われらは滅びの日を待っています。
しかし、私の心は否というのです。そして、いかなる理性も
これを否定し得ない望みと喜びが訪れてきています。
エオウィン、ローハンの白い姫君よ、
今この時、わたしにはどんな暗黒も長続きするとは信じられないのです ! 」
すべてが、終焉を向かえ、そのあとには、黄金のような最良の日々が続き、
コルマルレンの野では、勝利の饗宴が広げられていたのですが、
兄がそこへ来るように伝言をよこしても、エオウィンは行きませんでした。
エオウィン姫は、ずっと、療病院にいて、一人で庭を散歩していたのですが、
その顔からはしだいに血の色が失われてきました。
院長は心を悩ませて、ファラミアに話しました。
ファラミアは、執政としての諸事に忙しく、
ほとんど彼女に会う機会がありませんでしたが、
彼女に会いにやって来ました。彼らは、再び城壁の上に一緒に佇みました。
ファラミア 「 エオウィン、あなたはなぜここに留まっておられるのです ?
カイア・アンドロスの向こうのコルマルレンの野の祝いの宴に、
どうしておいでにならないのです ? そこで兄上が待っておいでなのに 」
エオウィン 「 あなたはおわかりにならないのですか ? 」
ファラミア 「 二つの理由がありうると思いますが、
どちらが本当か、わたしにはわかりません 」
エオウィン 「 謎々遊びはしたくはございません。
はっきりおっしゃってくださいませ ! 」
ファラミア 「 それでは、どうしてもいわせたいとおっしゃるなら、
姫君よ、あなたがおいでにならないのは、
兄上だけがあなたに来るようにいわれたことと、
それからまたエレンディルの世継、
アラゴルン卿の戦勝の姿を眺めることが、
もうあなたに何の喜びももたらさないからではありませんか 」
「 それともわたしが行かないから、
そしてあなたはまだわたしのそばにいたいとお思いだからでしょうか。
多分この両方の理由のために、あなたはご自分でもどちらと
決めかねておいでなのでしょう。
エオウィン、あなたはわたしを愛してはおられぬのですか ?
そのお気持ちもないのですか ? 」
エオウィン 「 わたくしは別の方に愛されたいと思いました。
けれど、わたくしはどなたであろうと
憐れんでいただくのはいやでございます 」
ファラミア 「 それはわたしにもわかっています 」
「 優しい心の贈り物である憐れみを軽んじてはいけない、エオウィン !
しかしわたしは、あなたに憐れみの手を差し伸べるのではないのです。
あなたは高貴で勇敢な姫君であり、忘れられることのない功名を
ご自身でかちとられた方なのだから。
それにあなたは、エルフの言葉でさえ表わすことのできないほど、
美しいお方だと思う。そしてわたしはあなたを愛しているのです 」
「 以前あなたの悲しみを哀れに思ったこともあります。
しかし今はあなたが、たとえ悲しみも不安もない、何不自由のない姫君
であろうと、ゴンドールの恵み豊かな妃であろうと、
わたしはやはりあなたを愛するでしょう。
エオウィン、あなたはわたしを愛してはくださらないのですか ? 」
その時、エオウィンの心に変化が起こりました、でなければ、
ついに彼女はわが苦しみの真因を理解したのです。
そして突如として彼女の冬は去り、太陽が身に輝きました
こうして立ちつくすうちに、二人の手は自分たちもそれと知らない間に
ふれ合って握り合わされました。
エオウィン 「 わたしが今立っているのは、ミナス・アノール、
太陽の塔ですね 」
「 それにほら!影が去りました!
わたくしはもう盾持つ乙女にはなりません。
偉大な騎士たちと張り合おうとは思いません。
わたくしは癒し手となり、すべての育っていくもの、
不毛でないものをいつくしむことにします 」
そして、エオウィンは、ファラミアに目を向けていいました。
「 もうわたくしは王妃になりたいなどとは思いませんわ 」
ファラミア 「 わたしはローハンの姫君にそのお気持ちがあれば、
結婚しようと思う。そして、もし白い姫君にそのおつもりがあれば、
その時はわれらは大河を渡り、より幸せな日々を
美しいイシリアンの地で暮らし、そこに庭を造ろうではありませんか。
白い姫君がおいでになれば、かの地では
すべてのものが喜んで育つでしょう 」
エオウィンとファラミアの物語は、これでおしまいです
この続きは、前回の記事の、王の戴冠式の場面へと、つながります …
読んでくださり、ありがとうございます
それでは、また。。。
blogramランキング参加中!