BLロック王子小説「ディスティニーアンダー・グラウンド-ギターとスターに愛され過ぎた王子-」

 ★過去に傷を持つ美貌のロックギタリスト遠藤麻也(まや)。運命の恋人・日向 諒と東京ドームに立つが…

●しばらく小説お休みします(2021年夏)

2021-07-23 22:37:00 | このブログについて
いつも小説をお読みいただきまして、本当にありがとうございます。

さて、大変申し訳ございませんが、しばらく小説のアップをお休みさせていただきます。

実は、腕と肩を傷めてしまいまして…

主治医には「最悪の場合、手術です」と言われてしまいました。
今、経過観察?中です。

そのようなわけで本当に申し訳ありませんが、当分静養させていただきます。

皆様もパソコンの打ちすぎ、スマホやタブレットの使用のし過ぎ、それによる運動不足にはお気をつけて…

でも、小説はやめられなかったのよねえ…

でも、私の寿命予想は61歳というウワサもあり…(あと6年😱)

😄しかーし、私の祖母は2人とも80才オーバーまで元気だったし、
母方にいたっては60才から元気になり、96才までとりあえず頑張りましたので、私もDNAを信じて頑張ります😘

ジンギスカンを食べながら…(笑)




★BLロック王子小説25-3「ディスティニーアンダーグラウンド」

2021-07-03 21:26:00 | ★ディスティニー25章
 諒の手には、高級そうな黒の小箱が握られていた。
 しかし、諒の言葉はなかった。
 だが、箱を開けると、 男物の、シルバーのリングが二つ台座にはめられていた。
「オーダーで時間かかっちゃった」
と言いながら麻也の脇に座り込み、左手を取り、薬指に    そのリングをはめてくれようとするが、うまくいきそうにない。
 麻也は起き上がって諒がリングをはめやすいように座った。
 諒からは、プロポーズのような言葉はなかった。
 それは前のリングをあんな風に外すことになったのが、諒にとってもつらくて、自分と同じように思い出したくないからだろうと麻也は思った。
 そして、麻也の方の前のリングは、あの騒ぎの後どこかへ行ってしまったままだ。
 探すのもつらかったし。
 救急車で運び込まれた病院でアクセサリーを外された時に、真樹が他のアクセサリーと一緒に預かってくれたかもしれない。
 そんな気がした。それだけに、このプレゼントは嬉しかった。でも切なくもあった。
「諒、諒のはどんなの?」
「全くのお揃いだよ。ほら」
と優しい笑顔で見せてくれた。
 でも自分ではめようとするので、あわてて麻也は、
「俺がやるよ」
と、諒の長く美しい、左の薬指にその重い、シルバーのリングをはめた。
 お互いちょっと手が震えていたかもしれない。
 また麻也からも誓いの言葉のようなものは言えなかった。
 それは誓いが今さら必要ないというのではなく、わずかな時間とはいえ、あの時一度諒を失ったからそのことを無かったことにしてしまいたかったんだろう…
 記憶から消してしまいたかった…
しかし、
「諒、ありがとう」
とだけは言った。他には言葉が見つからなかった。
 諒は困ったようにうつむき、でもかすかに笑みを浮かべていた。

 寝室のベッドに転がって、諒を待ちながら、麻也は眠ってしまわないよう、テレビを眺めていた。
 しかし…
「…麻也さん、風邪ひいちゃうよん」
 いつしか眠っていたらしい。
 シャワーを浴びて出てきた、パジャマ姿の諒に起こされてしまった。
「毛布に入ろ。あっためてあげる」
 温めてと、笑いながら麻也はしがみついた。
 いつにないことに諒は喜びぎゅっと抱きしめてくれた。
「ビーバーちゃん可愛い」
 ほのかな明かりに照らされる麻也の笑顔からこぼれる前歯が諒は好きだといつも言ってくれていた。
「諒、もう少しこのまんまでいい?」
「いいよぉ~もうこの熱を持っていって♪」
 諒は麻也のふわふわの黒髪を撫でながら、優しく唇を重ねてきた。
「麻也さん、大好き。ここまで一緒にやってこられてよかった。東京ドームにまで連れてきてくれてありがとう。真樹も直人も同じこと思ってて、ちゃんとお礼言いたがってたよ」
 そう言われて、あの汚い小さなスタジオで、大学生バンドの3人に頂点を目指したいと訴えられたことを麻也は思い出していた。
 そしてあの時、自分はプロとはいえクビになったばかりのミュージシャンで…
(あそこからここまで来たのか俺たち…)


「麻也さん、明日はエステだからそろそろ寝ようか?」
「俺は美容室だよ」
「あれ? じゃあ、美容室の後なんじゃない?」
「ううっ、そんなに時間取られるの?」
「俺は隙見て寝てるつもりだったけど」
「あ、それいいね」


★BLロック王子小説25-2「ディスティニーアンダーグラウンド」

2021-07-01 22:00:00 | ★ディスティニー25章
 またギターを弾けるのは嬉しかったが、麻也はまた忙しい日常にあっという間に戻されてしまった。
しかし良かったことは、ファンが麻也を信じてくれたことだった。
 東京ドームが決定したことで、麻也が「いけないお薬をやっている」という疑いもなくなったからだ。
 ファンにはさんざん心配もかけたし、またファンたちが他のバンドの意地悪なファンや、身近な人達に何を言われていたかと思うと、迷惑はこのうえなかったろうと、麻也はあらためて思い知らされた気がした。
 麻也はいつも以上にファンレターをもらった。みんな麻也の体を心配してくれた。メンタルも心配してくれていた。
 そして、東京ドームのことを祝福してくれていた。そして楽しみにしてくれていた。誇りに思ってくれているのだ。
 事務所のみんなには、
「いつもどおりのかっこよさでいい。 無理に背伸びはしなくていい。でも成長するのは構わないよ」
と言われていた。
「ただ、ステージの大きさには気をつけて、あと花道の長さには要注意だね」
と言ってくれたのは、ディスグラの東京ドームを何年も待ってくれていた美術監督だ。
 社長は、
「初のドームだから衣装もフンパツするぞ!」
などと言って笑わせてくれる。

 とはいえ余裕のある大御所バンドというわけではないので、宣伝活動がとにかく大変だった。
正直なところ観客がどれほど動員できるのかわからない。
 事務所の控えめな予測ではかなり動員できそうだったが、それでも、実はまだ足りない。
 おかげで音楽以外の雑誌にも出まくりだ。
そして、バンドの全体リハーサルの前に、それぞれの自主トレをしているわけで…
(…諒は俺たちより更に大変だしな…)
 思えば、諒とはさっぱり話もできていない。朝だけは一緒に食事をとるけれど…
 ボーカルはバンドの顔。
バンドとは別に1人での雑誌の取材やラジオ、テレビを出演も多い。
 更に諒はクリスマス向けのシングルの曲を、二曲とも書いていた。
 本来ならば共作でもよかったのだが…
認めたくはないがあの時の諒の言葉がどうしても引っかかっていたのだと思う。それで曲を作りたいとは言いだせなかったのだと思う。
 それにまだ曲を作るエネルギーもなかったし…
(…それにもう二度と諒の足を引っ張りたくないしなぁ…)
 スタジオの休憩時間、ソファーの上でコーヒーを飲みながら、麻也はそんなことをぼーっと考えていた。
それからスケジュール帳を開いて、明日の予定を確認した。
(えっ、明日は美容室?)
 行かないわけにはいかないが…でもこの状況では音を確認する時間が少しでも欲しい…
 周りの誰かに相談しようと思ったが、こういう時に限って誰もいない。
 それで気が付いた
「あっ、こういう時こそ、諒にメールをしよう」
ー諒、お疲れ様です。夕ご飯はどうなりそうですか、俺はスタジオ近くで食べていくことになりました。
うちには23時には着いていたいと思っています。
それでは。ちゅっ♪

…諒からの返事はなかなか来なかった
麻也が夕食を終えて、マネージャーの鈴木と帰りのタクシーに乗り込んだところでやっと着信…

ー麻也さん、ごめん、こっちはもう一つインタビューがあることが発覚しました、トホホ。
先に寝ていてください、ちゅっ♪

麻也はすぐに返信した。

ーわかった~諒もあんまり無理しないでね。

とは言うものの、いつもこういう時はリビングのソファーで横になりながら待たせてもらう。
 諒は心配して、ベッドで寝ていてというが、
(諒だって、いつもリビングで待っててくれているくせに…)
 寝室のベッドに麻也が寝てしまえば、諒は遠慮して自分の部屋の簡易ベッドに寝てしまうだろうから、疲れが取れないだろう…
 シャワーの後、 お気に入りの白のシルクのパジャマで、麻也がリビングのソファでうとうとしていると諒が帰ってきた気配…
 そして、
「麻也さん、寝ててよかったのに…」
と言いながらも、寂しがりの諒の声はどこか嬉しそうだ。
 しかし、麻也は、なかなか起きられない…
「ざんげしますぅ~麻也さんごめんなさい。俺ビールを一杯だけ飲んじゃいました。ごめんなさい」
「いいよいいよ、気にしなくて、謝んなくていいよ。薬のんでる俺が悪いんだから」
「でも、お詫びにね、麻也さん、これ」
「えっ?」