恭一の店を出てから、麻也は諒に怒られた。
「麻也さん~、ギターをじっくり見るのは、オフ明け、またギターに戻ってからです!」
「はあぃ…」
と答えたら、いつの間にか手をつながれていた。
「さて、服でも見に行きますか」
すました表情で諒は言う。麻也は笑ってその手を握り返した。
歩き疲れて入ったカフェで、真樹と直人からメールが携帯にきていたのに気づいた。
ー明日はピザ持っていっていい?
ー麻也さんの食べたいもの
教えて
「あー、みんなありがたいねえ~」
諒はしみじみそう言っていたが、麻也は無邪気にスイカが食べたいと言った。
すると諒はニヤリと笑い、
「メロンにしたら? スイカなら実家でも食べられそうじゃん」
「えー、そうだけど…スイカも食べたい」
「じゃあ2つともリクエストしたら。明日は麻也さんの退院祝いがメインなんだから」
「え? 他に何かあるの?」
「ん? 決起集会も兼ねてるからさ。大きな卵の」
その頃、東京ドームは「ビッグ・エッグ」というニックネームでも呼ばれていたのだ。
…次の日は、メンバー4人で、麻也たちの部屋で宴会だった。
「えっ? メロンは諒のリクエストだったの?」
真樹と直人にえらく怒られた。