BLロック王子小説「ディスティニーアンダー・グラウンド-ギターとスターに愛され過ぎた王子-」

 ★過去に傷を持つ美貌のロックギタリスト遠藤麻也(まや)。運命の恋人・日向 諒と東京ドームに立つが…

★BLロック王子小説20-26「ディスティニーアンダーグラウンド」

2019-07-03 13:53:34 | ★ディスティニー20章
「写真のことは忘れてるみたいでよかった…」
 と、諒がほっとしてつぶやくと、麻也は済まなそうに、
「あれは諒のいいように処分して」
「じゃあ俺の部屋の壁に貼る!」

 麻也の新しいレースのシャツは大好評だった。胸が大きく開いてセクシーな上にボタンが外しやすかったので、キスシーンで諒は…
 全部ボタンを外してしまい麻也の胸をはだけさせた。
 そして諒はその、熱いステージの汗が流れて輝く麻也の胸を愛しく撫で回して、唇を奪った。
 客席からは歓喜の悲鳴とため息…そして大歓声…

「あのエロいシーンが終わると、麻也くんが諒くんの余韻に構わないでさっさと歩き出すところがいいよね」
 打ち上げで、また地元の関係者に言われてしまった。
「そんなことないです」
「気のせいですってば」
麻也と諒は二人で笑いながら否定した。
 …その数時間後、麻也はぐったりとベッドに横たわり、諒に服を脱がせてもらっていた。
 そして…諒の裸の胸に抱きしめられた途端、麻也の意識は落ちた。
 (第20章終わり)

★BLロック王子小説20-25「ディスティニーアンダーグラウンド」

2019-07-02 14:52:18 | ★ディスティニー20章
「兄貴、ケガしないようにだけ気をつけてくれればいいから。
無理しないで、大人しくても兄貴が立ったままアップダウンつけてくれるだけでみんなかっこいいって喜ぶから」
 そう真樹に念を押されたが、麻也はちょっと吹き出してしまい、真樹に睨まれた時、みんなが声をあげた。
「三田さん!」
「ゆうべはごめんなさい!」
売れっ子のスタイリストが平身低頭だった。具合が悪いらしくアシスタントに付き添われていた。
「三田さんこそ大丈夫?」
「…はあ…それはどうにかなるから…麻也さんも諒くんもごめんね」
それよりも、と三田はゴージャスな総レースの白いシャツを差し出してきた。
 諒が受け取ってしまったが、
「ごめんなさい、夕べを思い出させてしまうようだけど、これ麻也くんに。着やすいかと思って。ドレッシーな感じだから、ダイナミックな動きを客席から要求されないと思うの」
「確かに優雅な感じでいいかもね」
と真樹は言うが麻也は、
「でも、すごく高そう」
妙に遠慮して、麻也はせめてアンコール用にそのシャツはとって置こうかと思ったが、諒が、
「これなら動きが麻也しくてもみんな納得すると思うし、これからの日程の定番にすれば?」
と仕事の顔で言うので
麻也はうなずいた。  
諒は心の中では、
(これステージで着たら麻也さん可愛いだろうなあ…)
と単純に喜んでいた面もあったのだが。
 直人もドラムのスティックを回しながら歩いてきて、
「ギターのネックのあたりに麻也さんが視線をやっていれば、その美しい顎のラインも、あいまってそりゃあもう男も女もキャーキャーで大満足よ」
それを聞いて一同爆笑…
 しかし、具合の悪い麻也はよろめいて諒に倒れかかってしまった。
 三田にはライブを見ていってほしいと頼んだが、二日酔いでこれ以上動けないと言って、須藤たちににも昨日の事を謝ると代理にアシスタントをひとり置いて帰っていった。
「武道館には行くから許してえ~」
と、真っ青な顔で言いおいて。

★BLロック王子小説20-24「ディスティニーアンダーグラウンド

2019-07-02 12:50:42 | ★ディスティニー20章
 真樹をこれ以上心配させたくなくて、諒はぐっとのみこんだ。
 とにかく諒、相手の思うツボになっちゃだめだよ…
 
 …そしてまたサロン付きバスで、ディスグラは大名旅行のように次の公演地へ向かった。その頃には諒も気持ちを立て直し、いつものように麻也に寄り添っていた。
 そして、入り待ちの追っかけの目を逃れるようにスタッフ任せではなく、背の大きい諒が麻也の肩を抱き、促すようにして会場の楽屋へと入っていった。
 このバスの大きさ豪華さも入り待ちのファン達には話題になったらしい。
 みんなはすぐ昼食だったが、麻也は薬のせいでいつも通りまだ睡眠タイムだ。
 それでもソファに寝転がったまま麻也は、
「諒は? 諒は、ちゃんと食べてる?」
と心配している。
 うん、食べてますから安心して、社長命令だし、と諒が元気に答えると、良かった、と言ってまた麻也は眠りに落ちる。
 社長命令というのは、ボーカルとしてのコンディション第一のはずの諒が麻也と食事を取りたいと食事の時間をずらすと言ったことが発端だった。
 麻也と真樹はすぐに反対したし、直人も気持ちはわかるがツアー中なのだからやめろと言った。
 それでも諒はごねたので、須藤が社長命令にしてもらいますとその場で社長に電話をかけ、諒は社長にたしなめられ、命令されたのだ。
 麻也がキャロットジュースとプレーンのヨーグルトの昼食を取り終えると、リハーサルの時間になる。
 この頃になると麻也の頭も起きて、ステージの上でギターを持って動けるようになっている。
 この日は初めてライブをやる土地で完売が遅かったこともあり、メンバーにも気合が入っていた。
 その一方で、麻也は困っていた。
 ファンにも関係者にも、ギターを弾きながら仰け反る姿が大評判なのだが、今回のツアーでは、
 今日に限ったことではないが、やはり体は動かない、と言うか筋肉がほぐれてくれない。
一応ストレッチはしてみるが…だるい。根性には自信はあったのに…

★BLロック王子小説20-23「ディスティニーアンダーグラウンド」

2019-06-27 21:15:53 | ★ディスティニー20章
「それで麻也さんとはまだ続いてるとかなんとか言うし、薬なんか使っているとも言うし…」
「何だよ諒、兄貴のこと疑ってるの? それに何だよ薬って!」
 あー、やっぱり言わなきゃダメか…
「…合法だって言いながら、ジジイはそれに頼らないと君のような若者のようなわけにはいかないんだ、とかさ」
 真樹は真っ青になった。
「あのさあ、ソイツって本物のローベル企画の坂口社長なの?」
「だって須藤さん挨拶してたよ」
「でもいくら何でもそれ以外はウソだろ。兄貴と諒が、ってか俺たちが気に入らなくて潰したいんだろ。俺たちは、社長と対立してるあちらの専務派とのお付き合いだし」
 考え過ぎじゃないの、と真樹が不審げな表情だったことが諒には救いだった。
「何で兄貴が好きでもないのにそんな奴と付き合わなきゃいけないんだよ」
 兄の名誉ということもあるのだろう。真樹は大声で反論するが、諒の気持ちは収まらない。
「例えば脅されてるとか」
「脅し?」
 兄が脅しに屈するとは真樹に思えないようだった。
しかし諒は絶望的な気持ちで言った。
「でも俺達3人が人質にされてるとしたら?」
「どういうことだよ、人質って」
「うーん、やっぱ俺たちを潰す感じ?」
「どういう事務所だよ。公私混同ひどくない?」
 でも…諒の前でだけ落ち着かなかったあの男。
 あの表情は、少なくとも芸能界のドンの顔ではなかった。麻也に執着している少年の顔…
 すると真樹も言いにくそうに困ったことを言い出した。
「でも兄貴には浮気するような時間はなかっただろ? それにその…諒は一緒にいて何も気がつかなかったんだろ」
 真樹の頬が赤らんでいるのを見て、諒もあまりに恥ずかしくて諒子を持ってくるしかなかった。
「その頃は忙しかったから、さすがの諒子ちゃんも待ち切れなくて寝ちゃってたんだよね」
「…諒子ちゃんもか…」
 真樹の声が痛かった。
 その前後は他にも浮気問題があったことを諒は思い出したが…

★BLロック王子小説20-22「ディスティニーアンダーグラウンド」

2019-06-27 20:47:41 | ★ディスティニー20章
 諒は倒れるかと思った。初耳だった。
「いや…本当にウワサだけだから…」
 事務所の大きさを笠に着た腹黒い社長と呼ばれるあの男が、麻也のために離婚まで…だとすれば麻也は…
(…麻也さん…本当はどんな気持ちで…本当は何が…)
 しかし、真樹は言葉を選びながら…
「いや、もちろん兄貴の方は全然そんな気なかったんだよ
「……」
 それって本当なのだろうか、それは本人にしか言えないことではないのだろうか
 諒はそう思う。また過去のことについては問わないといった手前、でも悩ましい。
 すると、真樹は、
「いや、だってあっちが無理やり押し倒してきてなんて、尾ひれも付いてるし。でも兄貴は諒の自慢しか俺にはしないし…恋愛系の話はね」
 そりゃそうだろうと諒は思ったが、
「でも真樹、本当のところは…」
こらえきれず、諒はつぶやいてしまった。が、真樹は嘘のない様子で、
「あっちのリコンは本当みたいだけど、もちろん本当の理由はわからないよ。ただ…」
とうとう真樹は困ったように、
「いや、兄貴がソイツに干されてたのは諒も知ってるでしょ?その理由が、その…」
 ますます困ったよはうに、
「ソイツをソデにしたからだって言われてるんだよ」
囲われたはいいものの、わがまま過ぎて捨てられた、というのとどっちが本当なのか…諒もよっぽど苦り切った顔をしていたのだろう。真樹も、
「そう言う諒は? どんなの聞いたの?」
諒は覚悟を決めた。
「俺はソイツに面と向かって言われたんだよ」
「はあ?」
真樹の目がまん丸になった。
「いつ? どこで? 何を?」
嫌なことを口にするのは本当につらい。例えそれが義務だとしても。
「あのオヤジ、ケーゾク中なんだって。おたくの兄上と」
「そんなバカな…」
「麻也さんがあのアイドルと出演した時に…リハに来て、面と向かって言ったんだよあのオヤジ」