「…諒…」
麻也はぐったりと倒れ込んでしまったが、それを諒はしっかりと抱き寄せると、優しく耳元に囁いてくる。
「ごめん、弱ってる時に…でも一分でも早く、俺の気持ちが本当だって伝えたかったの」
麻也はこの上もなく幸せにこの言葉を聞いたが、やっぱり気後れがしてしまって、自分からは何も言えない。
でも、このタイミングを逃したら…
麻也はどうにか諒の目を見据えて
「…諒…そんなこと言われたら、もう俺、諒から離れられないよ。いいの?」
諒の腕に力がこもる。そして、
「良かったあ、麻也さん。いつも俺が悪くて本当にごめん。もう絶対に麻也さんを離さない。信じ続ける。傷つけたりしない」
思えば諒は、麻也が救急車で運ばれて以来、酷い言葉はぶつけてきていない。遠慮しながら少しずつ、じわじわと、これまでどおりの優しさで包みこんでくれている。
(元に戻ってきたんだな、俺たち…)
「麻也さんの体も心もいたわらなきゃ、ってわかってるんだけど、麻也さんの本心を知りたくなっちゃって…」
「あ…」
「でも、わかったから嬉しい。もう俺もドームに立って、麻也さんにふさわしいのは俺だけってことみんなに見せびらかしてやる。俺たち二人は二人だけなんだ」
「諒、それで後悔しないの?」
「しない」
諒は自分で恥ずかしくなったのか、はにかんで笑い、そして冗談ぽく、
「いやー、麻也さんたらばっちり俺を受け止めてくれちゃって~気持ちよかった~」
「んも~、諒ったら~」
(そう、俺もすごく気持ちが良かった)
麻也も幸せだった…