確かに諒は必要以上に疲れている。自分が病気でなければホテルでは癒してあげるのに…
「どうしたの?」
諒だった。真樹がきちんと、
「兄貴に頼んでたの。みんな諒を休ませたいから、兄貴は俺と泊まるようにしてくれって。」
「…」
「兄貴の身の回りは俺たちがやるから、ツアーのラストまで、とにかくボーカルに専念してほしい。」
諒はどこかホッとした表情を押し殺したように見えたが、
「ま、麻也さんはそれでいいの? 」
「うん。ライブでは絡めるし、それで足りなかったら打ち上げの時に路チューでも…」
路チュー、に落としどころを見つけて、平和的に男三人はバスに乗り込んでいった…
しかし、その地区のライブはいまひとつだった。真面目すぎるほど真面目な県民性のためもあるのか、それとも、まだまだディスグラに染まり切っていないのか・・・
後で打ち上げで、「諒のバースデーサプライズを期待していたファンがかなりいたらしい」というのを色々な人に聞いて、
メンバーたちもちょっと困ってしまった。
「…それでアンコール後もいまいちだったのか…」
その時、真樹がもぞもぞと自分のバッグに手を突っ込み、携帯を取り出したが、
「兄貴の方。石川さん」
専属のカメラマンが、いくら世話になっているとはいえ、こんな時間に…とも思ったが、宴席に座っているのもそろそろ疲れてきたので、麻也は切れてしまった電話を折り返す体で、真樹に付き添われて店の外の廊下に出た。
しかし、どうしたものか何度かけなおしても石川は出ない。
そのうち、
「…バッテリー切れたあ…」
「兄貴ぃ…じゃあ、ホテル帰ってからにでもすれば」
「遅くなるからやだ。真樹のケータイ貸して。」
「置いてきちゃったよー。ちょっと待ってて。」
と、真樹はわざわざ店に取りにいってくれた。
その時に…麻也は信じられない人物を見てしまった。
マネージャーに付き添われた少年、藤田冬弥。麻也に熱烈な片思いをぶつけてくる18歳。
隣の店に入っていったらしい。
麻也は慌てて廊下の曲がり角に身を隠した。
が、ニアミスで真樹とマネージャーがすれ違い、冬弥ではなく彼は真樹に気づいたかも…
麻也は慌てて真樹に向かって走り、
「真樹、一緒に逃げて!」
「えっ? 何、どうしたの? 」
「いいから! ホテルに戻る!」
「わかった!」
ビルから飛び出すと、追っかけの洗礼だった。
キャー、お兄ちゃん~!!
きゃー、真樹ぃ~!!
遠藤兄弟最高ーっ!!
雑居ビルの前にたまっていた追っかけを真樹がかきわけてくれて、二人はようやくタクシーに乗り込むことができた。
「どうしたの?」
諒だった。真樹がきちんと、
「兄貴に頼んでたの。みんな諒を休ませたいから、兄貴は俺と泊まるようにしてくれって。」
「…」
「兄貴の身の回りは俺たちがやるから、ツアーのラストまで、とにかくボーカルに専念してほしい。」
諒はどこかホッとした表情を押し殺したように見えたが、
「ま、麻也さんはそれでいいの? 」
「うん。ライブでは絡めるし、それで足りなかったら打ち上げの時に路チューでも…」
路チュー、に落としどころを見つけて、平和的に男三人はバスに乗り込んでいった…
しかし、その地区のライブはいまひとつだった。真面目すぎるほど真面目な県民性のためもあるのか、それとも、まだまだディスグラに染まり切っていないのか・・・
後で打ち上げで、「諒のバースデーサプライズを期待していたファンがかなりいたらしい」というのを色々な人に聞いて、
メンバーたちもちょっと困ってしまった。
「…それでアンコール後もいまいちだったのか…」
その時、真樹がもぞもぞと自分のバッグに手を突っ込み、携帯を取り出したが、
「兄貴の方。石川さん」
専属のカメラマンが、いくら世話になっているとはいえ、こんな時間に…とも思ったが、宴席に座っているのもそろそろ疲れてきたので、麻也は切れてしまった電話を折り返す体で、真樹に付き添われて店の外の廊下に出た。
しかし、どうしたものか何度かけなおしても石川は出ない。
そのうち、
「…バッテリー切れたあ…」
「兄貴ぃ…じゃあ、ホテル帰ってからにでもすれば」
「遅くなるからやだ。真樹のケータイ貸して。」
「置いてきちゃったよー。ちょっと待ってて。」
と、真樹はわざわざ店に取りにいってくれた。
その時に…麻也は信じられない人物を見てしまった。
マネージャーに付き添われた少年、藤田冬弥。麻也に熱烈な片思いをぶつけてくる18歳。
隣の店に入っていったらしい。
麻也は慌てて廊下の曲がり角に身を隠した。
が、ニアミスで真樹とマネージャーがすれ違い、冬弥ではなく彼は真樹に気づいたかも…
麻也は慌てて真樹に向かって走り、
「真樹、一緒に逃げて!」
「えっ? 何、どうしたの? 」
「いいから! ホテルに戻る!」
「わかった!」
ビルから飛び出すと、追っかけの洗礼だった。
キャー、お兄ちゃん~!!
きゃー、真樹ぃ~!!
遠藤兄弟最高ーっ!!
雑居ビルの前にたまっていた追っかけを真樹がかきわけてくれて、二人はようやくタクシーに乗り込むことができた。