「それではディスティニー・アンダーグラウンドのみなさんです!」
麻也たちメンバーは、ベテランの男性司会者の横、ひな壇に座って、紹介を受けていた。
ここはこれまで何度も出演してきた、生放送の音楽番組のスタジオ。
いくつもの照明と煌びやかなセットに麻也たちは照らされていた。衣装も少し秋めいたパープルで、スパンコールが輝いている。
いつもツアーの後 久しぶりにここで出演すると 、ちょっと違和感を感じるものだが 、今日の違和感はなんだか違う。
表に出る仕事としては、昨日のラジオが最初だったが…
いつもと違って病院生活をしていたからだろう…というか、あんな騒ぎを起こしてしまった後ろめたさがあるからだろう。昨日以上に緊張している。
司会者はツアーのことに触れた後、麻也に話を振ってきた。
「ギターの麻也君は もう大丈夫なのかな?」
麻也は詫びるしかなく、
「お騒がせして申し訳 ありませんでした」
諒がフォローして、過労だったんだよね、と言い、
働かせ過ぎてメンバーも反省してます、と言って、メンバ一全員でぺこりと頭を下げた。
それを見届けると司会者は、
「そういえばいいお知らせがあるんだよね」
とさらに尋ねてきた。
「はい実は」
と答えたのは諒だった。
「はい 実は、東京ドームを、来年のバレンタインデーにやります」
と言うと、スタジオ中から驚きの声が広がる。
「すごいね~」
「おかげさまでなんとか…」
この話はもうファンクラブの会報では発表していた。
その他にはもちろん恭一 …
明日発売になる色々な音楽雑誌には インタビューでこの話をする予定になっている
麻也にはギターの感覚も戻ってきていた。