薬師寺 東塔
奈良県奈良市西の京町
680年、天武天皇9年の飛鳥時代後期
天武天皇が皇后である鵜野讃良皇女(うののさららのひめみこ〜後の持統天皇)の病気平癒を願って創建を夢見た薬師寺は、規模の壮大さから実現までに時間を要したため、計らずも天武天皇が崩御し、皇后の持統天皇が意志を受け継いで造立を進めることとなりました。
藤原京に創建をみた薬師寺は天武天皇の発願から19年を数えて本尊の薬師如来像の開眼供養が行われて天武天皇、持統天皇の2代に渡る願いが成就されました。
710年、和銅3年3月、元明天皇の時代、都が藤原京から平城京に遷都されることとなり、現在の奈良市西の京に薬師寺も藤原京から新都に移されることとなりました。
薬師寺 東塔
幾重にも屋根が重なる形状から六重の塔にも見えますが三重塔です。
各階に裳階(もこし)と呼ばれる屋根が備えられているためで、大小の屋根が交互に交わる絶妙な構造の白鳳時代の形式を現代に伝えることから、〜凍れる音楽〜とも称されます。
東塔の創建は730年、天平2年の時で、天武天皇の発願から半世紀後のことでした。
2016年当時の東塔改修工事
2021年、落慶直前の東塔
薬師寺は火災、地震、戦国時代の戦災と度々難を受けて焼失を繰り返し、白鳳時代の様式を残す伽藍は東塔のみとなっていましたが、1300年あまりの風雨を耐えてきた東塔も現代の技術で2009年から全面改修工事が行われ、12年の歳月をかけ、落慶しました。
8月に放送されたNHK〜新プロジェクトX挑戦者たち〜で東塔の修理に挑む宮大工の挑戦が描かれていました。