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日本歴史紀行

歴史紀行 特別編 23  ゼレンスキー、ウクライナ大統領 米国連邦議会スピーチ全文


ゼレンスキー ウクライナ大統領

12月21日(アメリカ)、12月22日(日本時間)、ロシアにより軍事侵攻を受けているウクライナのゼレンスキー大統領は、侵攻後、初めて母国を出てアメリカに降り立ちました。


ゼレンスキー大統領は、アメリカ連邦議会で上下両院の議員が観守る中 壇上に立ち、
本格的な厳しい冬を迎えた今も、ロシアの暴虐な侵攻は続いてることから、改めて世界からの支援を呼びかけました。


ウクライナ共和国
ゼレンスキー大統領のスピーチ全文です。






アメリカの連邦議会でこうして皆さんにお話しでき、大変光栄です。

あらゆる見通しや悲観的なシナリオに反して、ウクライナは陥落しませんでした。ウクライナは健在です。

そして、私たちの初めての勝利を分かちあう、十分な理由があります。私たちは、世界の心をつかむ戦いでロシアを打ち負かしました。私たちに恐れはありません。そして、世界の誰も、恐れを抱くべきではありません。



ウクライナはこの勝利を手にしました。

そしてそれはわれわれに勇気を与え、世界を奮い立たせます。

アメリカも勝利を手にし、それは、自由と国際法を守るため、国際社会が結束することにつながりました。ヨーロッパの国々も勝利を手にし、それによってヨーロッパはより強くなり、そしてかつてない自立を手にしました。ロシアの圧政は、私たちに対する支配力を失いました。ロシアはもう二度と私たちの心に影響を及ぼすことはありません。ただ私たちは、「グローバル・サウス」の国々も同様に勝利を得られるように、必要なことを何でもしなければなりません。

もう1つ、非常に重要なことがあります。

ロシア人が自由になるチャンスを手にするのは、彼らが心の中でクレムリン(ロシア大統領府)を打倒したときだけです。


しかし戦いは続いていて、私たちは戦場でクレムリンを倒さなければなりません。

この戦いは、領土のためだけではありません。この戦いは、ウクライナ人の生命や自由、安全のためだけでも、ロシアが征服を企てているほかの国々を守るためだけでもありません。

私たちの子どもや孫、そしてその子孫が、これからどんな世界に生きていくかを決める戦いなのです。ウクライナとアメリカ、すべての人々にとって、民主主義が達成されるかどうかを、決める戦いなのです。

この戦いは止めたり先送りにしたりすることはできません。

海やほかの何かが守ってくれることを期待して、この戦いを無視することはできません。

アメリカから中国まで、ヨーロッパからラテンアメリカまで、アフリカからオーストラリアまで、世界はあまりにも互いに結びつき、関係し合っています。

そのため、戦いが起きている時、ただ傍観して安心することはできないのです。

ウクライナとアメリカは、この戦いにおいて「同盟国」です。来年は転機が訪れます。私たちに共通する、自身の価値観を守る人々の、自由。その未来を、ウクライナの勇気とアメリカの決意が保証する、転機となるのです。


皆さん、私はきのう、ワシントンへ出発する前に、バフムトの前線にいました。ウクライナ東部のドンバス地域にある拠点です。ロシア軍とその傭兵ようへい部隊は、ことし5月以降、バフムトへの攻撃をやめたことはありません。昼も、夜もです。それでも、バフムトは耐えています。去年、バフムトには7万人が住んでいましたが、いまはわずかな住民しか残っていません。土地のいたるところに血がしみこみ、絶え間なく銃声が響いています。

厳しい戦闘の中、ドンバス地域の塹壕ざんごうは、1日の間に何回も、持ち主が(ウクライナとロシアとの間で)かわっています。

ロシアは、持てる手段のすべてを使って、バフムトや私たちの美しい町を攻撃してきます。砲撃において、占領者はかなり有利で弾薬においてもそうです。彼らは、私たちより圧倒的に多いミサイルと、航空機を保有しています。しかし、ウクライナの防衛部隊は耐えていて、それを誇りに思っています。

ロシアの戦術はずさんです。彼らは目に入るものすべてを焼き払い、破壊しています。ロシアは、前線に凶悪犯や受刑者を送りました。彼らは私たちにあらゆる手段で攻撃をしてきました。

まるで、「バルジの戦い」のように。

1944年のクリスマスに、勇敢なアメリカ軍がヒトラーを退け、持ちこたえた時のように。ことしのクリスマス、勇敢なウクライナ軍も、プーチンの軍隊に対して同様に戦っているのです。ウクライナは、持ちこたえていて、決して降伏することはありません。

ここが前線です。自由な人々の命に対して圧政が残酷さを緩めることはありません。この戦いを続けるだけでなく、勝利に向けた転換点に至るために、皆さんの支援が不可欠なのです。

私たちには武器があり、感謝しています。

それは十分でしょうか?正直なところ、十分ではありません。ロシア軍を退けるだけでなく、完全に撤退させるための拠点としてバフムトを守るためには、より多くの大砲と砲弾が必要です。それがあれば「サラトガの戦い」のように、バフムトをめぐる戦いは、独立と自由のための戦争の流れを変えることになるでしょう。

アメリカのパトリオット(ミサイル)が私たちの都市に対するロシアのテロを止めれば、ウクライナの愛国者(パトリオット)が自由を守るために全力を発揮することができます。


アメリカの地対空ミサイルシステム「パトリオット」
ロシアの砲撃が私たちの都市に届かないとき、ロシアはミサイル攻撃で破壊を試みます。
それ以上に、ロシアはこの大量殺戮さつりくにおける仲間を見つけ出しました。それはイランです。ロシアに送られたイランの無人機は何百機もあり、重要なインフラ施設に対する脅威となりました。テロリストはこうして仲間と出会うのです。

彼らをいま止めなければ、アメリカのほかの同盟国を攻撃してくるのは時間の問題です。私たちは止めなければいけません。協力関係にある私たちの間にタブーがあってはいけません。ウクライナは、アメリカの兵士に、私たちの土地で代わりに戦うように頼んだことはありません。ウクライナの兵士は、アメリカの戦車や航空機を自分たちで完璧に扱うことができます。

資金援助も非常に重要です。すでに私たちに提供された一連の資金援助と、今後決定されるであろうものについても、感謝します。皆さんの支援は慈善行為ではありません。私たちが最も責任ある方法で扱う、世界の安全保障と民主主義への投資なのです。


ロシアが望むなら、侵略を止めることができます。しかし、皆さんは私たちの勝利を早めることができるのです。

そしてそれこそが、潜在的な侵略者に対して、誰も国境を越えて他国を侵略できないこと、残虐行為により人々の意思に反した支配はできないことを証明するのです。

テロ国家であるロシアから、平和への一歩を待つのは甘いと言えます。ロシアの人たちはいまだにクレムリンに毒されています。

国際的な法秩序の回復は、私たちの共通課題です。私たちは平和を必要としています。

ウクライナはすでに和平に向けた提案をしていて、バイデン大統領とも、私たちの共同の安全保障のための今後数十年は保証されるべき10項目、そして、今後開催する国際会議についても話し合ったところです。


今日、これらについてバイデン大統領が支持したことをうれしく思います。皆さん一人一人が、アメリカのリーダーシップが強固であることを確実にするための手助けができるのです。

ロシアにその侵略がいかに真に破滅的かを分からせるため、制裁を強化することができます。

このいわれのない犯罪的な戦争を始めたすべての人に正義を下せるようにするのは、まさに皆さんにかかっています。テロ国家に、テロと侵略の責任をとらせ、この戦争で生じたすべての損害を補償させましょう。アメリカがここにあると、世界に知らしめるのです。


アメリカの皆さん、あと2日で、私たちはクリスマスを祝います。おそらく、キャンドルの明かりで。その方がロマンチックだからというわけではありません。電気が使えないのです。何百万もの人々が暖房も水道も使えないのです。これらはすべて、ロシアのミサイルと無人機によるエネルギーインフラへの攻撃の結果です。

しかし、私たちは不満は言いません。誰の生活がより楽かを判断したり、比べたりはしません。皆さんの幸福は、皆さんの国の安全保障のおかげであり、独立のための闘争と、多くの勝利の結果なのです。私たちウクライナ人もまた、尊厳と成功をもって、独立と自由のための戦争をやり遂げたいと思っています。

私たちはクリスマスを祝います。たとえ電気がなくても、私たちの信仰の光は、消えることはないでしょう。

もしロシアからミサイル攻撃を受けたなら、私たちは自分たちを守るために最善を尽くします。もしイランの無人機で攻撃されて、クリスマスイブに国民がシェルターに避難することになっても、ウクライナ人は祝祭日の食卓を囲み、お互いを励まし合うでしょう。

みんなの願いが何かを知る必要はありません。何百万ものウクライナ人の願いは同じ「勝利」だということは分かっているのです。

私たちはすでに、皆さんと一緒に、強い国民と軍隊、制度を備えた、強いウクライナを築きました。私たちは皆さんとともに、ウクライナとヨーロッパ全体、そして世界のために、強力な安全保障を構築しました。私たちは一緒に、自由を否定する者に対処できます。プーチンに。


それは、ヨーロッパと世界の民主主義を守る基礎となるでしょう。

いま、この特別なクリスマスに、皆さんに感謝を申し上げます。家庭のあたたかさを大切にし、他の人々のためにも同じぬくもりを願ってくれる、アメリカのすべての家族に感謝します。バイデン大統領をはじめ、上下両院の両党の皆さんの貴重な支援に感謝します。

ことしウクライナを支援し、ウクライナ人を受け入れ、国旗を振り、私たちを助けるために行動してくれたアメリカの皆さんに、感謝を申し上げます。今、戦争の最前線にいるすべての人、勝利を待っているすべてのウクライナ人から、皆さんに感謝を申し上げます。


きょう、この場に立って、私はルーズベルト元大統領の言葉を思い出しています。この言葉はいま、この瞬間にとてもふさわしいと思うのです。「アメリカ国民は、その正義の力によって、完全な勝利を勝ち取るだろう」。

ウクライナの人々も、絶対に勝ちます。すべてが私たち、ウクライナの軍隊にかかっていることは分かっています。しかし、非常に多くのことが世界にもかかっています。世界の多くのことが、皆さんにもかかっているのです。







きのう、バフムトに行ったとき、ウクライナの英雄たちが私に旗を手渡しました。

命をかけて、ウクライナとヨーロッパ、そして世界を守っている人たちの戦いの旗です。この旗を皆さんに渡すように頼まれました。何百万もの人々を救う決断ができる、アメリカ議会の上下両院の皆さんにです。だから、その決断をしてください。この旗が、皆さんとともにありますように。


この旗は、この戦争における私たちの勝利のシンボルです。私たちは立ち上がり、戦い、そして勝利します。なぜなら、ウクライナ、アメリカ、そして自由な世界全体が団結しているからです。





最後にひとつだけ、本当にありがとうございます。私たちの勇敢な軍隊と市民を、神が守ってくれますように。そしてアメリカに永遠に神の祝福がありますように。メリー・クリスマス、そして幸せで勝利に満ちた新年を。ウクライナに栄光あれ。



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