昨日の朝、起きる前に印象的な夢を見ました。人間の体に「生命の樹」が重なっていくというような夢でした。
夢の中ではその出来事に重要な意味があるということがわかっていたような気もするのですが、起きてからしばらくすると、覚えているのは人の姿と生命の樹のイメージだけとなってしまいました。仕方がないので、今回は生命の樹についての解説のみ、簡単に書いておきたいと思います。
生命の樹(Tree of Life)というのは、旧約聖書に登場する言葉だそうですが、オカルトの世界では神秘思想(カバラ)の知識体系を図形化したものとして知られています。私が夢の中で見たのも図形化された生命の樹です。
旧約聖書ではエデンの園の中央に植えられた樹とされているようですが、タロットカードにもエデンの園を描いたと思われる「VI 恋人」のカードなどに生命の樹らしきものが描かれていたりします。「VI 恋人」のカードの中で、イブの後ろのヘビが巻き付いている樹が「智恵の樹」であるとすれば、反対側のアダムの後ろに見える樹が「生命の樹」ということになりそうですね。他にもいくつかのカードの中に生命の樹らしきものが見られますが、「ペンタクルスの 10」などには、完全に図形化された生命の樹そのものが描かれていることもあります。近代のオカルティストたちは、タロットと生命の樹を関連付けて解釈することを好んだようですね。
私はタロットの解釈に生命の樹の知識を取り入れることはほとんどしません。神秘思想について詳しく学んだわけでもないし、熱心に研究しているわけでもないので、表面的な知識だけで安易に取り入れるわけにはいかないでしょう。生命の樹を学ぶことで、タロットの解釈に深みが増すこともあるかもしれませんが、タロット占い師にとって必須の知識というわけではないと思います。それに、うっかり「智恵の樹の実」を食べてしまったら、神の怒りをかって楽園を追放されかねません。知識への欲求はほどほどにしておきましょう。
詳しい解説はフリー百科事典の「ウィキペディア(Wikipedia)」にある「生命の樹」の項目などを見ていただければ十分かと思いますが、最近では「ウィキペディア資金難で閉鎖」などといううわさ(あくまで噂であって、おそらくその心配はないと思いますが)もあるようですから、そのような事態に備えて、私のブログでもある程度の解説はしておきたいと思います。
生命の樹はセフィロトと呼ばれる 10 個の球と、それらをつなぐ 22 のパス(径)によって描かれる図形です。セフィロトの単数形はセフィラと呼びます。セフィラにはそれぞれ以下のような番号と名前(意味)がついています。
- 第 1 セフィラ - 「ケテル(王冠)」
- 第 2 セフィラ - 「コクマー(英知)」
- 第 3 セフィラ - 「ビナー(理解)」
- 第 4 セフィラ - 「ケセド(愛)」
- 第 5 セフィラ - 「ゲブラー(峻厳)」
- 第 6 セフィラ - 「ティファレト(美)」
- 第 7 セフィラ - 「ネツァク(勝利)」
- 第 8 セフィラ - 「ホド(栄光)」
- 第 9 セフィラ - 「イェソド(基礎)」
- 第 10 セフィラ - 「マルクト(王国)」
タロットとの関係では、このセフィラの番号と小アルカナの数札の番号がそのまま対応します。小アルカナのカードの解釈に、これらのセフィラの意味を当てはめてみるとわかりやすくなるかもしれません。小アルカナに 4 つのスート(棒、カップ、剣、ペンタクルス)があるように、生命の樹にも 4 つのパターン(四界)が存在すると考えられています。なお、コートカードのキングは第 2 セフィラ、クイーンは第 3 セフィラ、ナイトは第 6 セフィラ、ペイジは第 10 セフィラに当てはめるそうです。
22 のパスは、ちょうど大アルカナの枚数と一致するので、それぞれのパスに 1 枚ずつ大アルカナのカードが当てはめられています。対応は先ほどの図で確認してください。ちょっとわかりにくいですが、セフィラをつなぐ線に 0 ~ XXI までのローマ数字を振ってあります。その数字と大アルカナの番号が対応しています。
とりあえず、タロットをする者としては、この程度の知識は覚えておいて損はないでしょう。
しかし、その生命の樹が人間の体と重なって見えたというのは、いったいどういう意味だったんでしょうね?
実は、生命の樹と人間の体の対応ということについては、もともと存在する概念なのです。人間の体には中心線にそって縦に 7 つのチャクラがあると考えられているのですが、生命の樹も、上から順番に階層に分けていくと、
- 第 1 層 - 「ケテル」
- 第 2 層 - 「コクマー、ビナー」
- 第 3 層 - 「ケセド、ゲブラー」
- 第 4 層 - 「ティファレト」
- 第 5 層 - 「ネツァク、ホド」
- 第 6 層 - 「イェソド」
- 第 7 層 - 「マルクト」
となり、それぞれが人間の 7 つのチャクラに対応することになるそうです。(7つの階層については「7枚目ごとにカードをめくる理由」という記事でも解説しています。)
というわけで、私が夢に見たものも、それほど特別なひらめきというわけではなく、もともとは私の記憶の片隅にあった知識のイメージだったのでしょう。
なぜそんな夢を見たのかはわかりませんが、強く印象に残っていたということは、何か重要なメッセージが込められているのかもしれません。
どなたか、この夢の謎解きに挑戦してみませんか?
(私はお手上げですが……)