arata-tokyo-jp's blog(Henry Nagata)

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「コンセプト」と「ターゲット」について・・

2004年09月02日 13時22分39秒 | エッセイ
私がデザイン関係の広告代理店で、半年ほどアートディレクターのアシスタントとして働いていた時の事ですが、その時ディレクターから良く言われた言葉があります。
それは・・・

「そのデザインのコンセプトは何だ!?」
「そのターゲットは!?」
「切り口を変えろ!」・・・などです。

世の中には創作する人は沢山いますが、その中で「感覚だけで」制作している人も沢山いるでしょうが、広告関係ではそれだけでは上手く行きません。
「コンセプト」と「ターゲット」が必要になるのです。

例えば「○○チョコレート」の広告を考える時に、チョコレートの中身は何十年前とほとんど変わっていないのに、広告はマンネリにならないように、新しく変えて新鮮に見せて商品を売らなければなりません。
例えば・・・

ターゲットを「子供」にした時には、場所を遊園地に設定して、「行楽のお供に、3時のおやつに○○チョコレート」・・・とか。
ターゲットを「思春期の女の子」にした時には、場所を学校に設定して、「初恋の味、バレンタイン編」。

ターゲットを「大人の男女」にした時には、場所を高層ホテルのラウンジに設定して、「ワインや洋酒にも合う大人の味、○○チョコレート」。
又は、各界の一流人を出して、「これは本物の味、○○チョコレート」。
ターゲットを「中高年」にした時には、家族で赤ん坊の時の写真や、若い頃の古い写真を見ながら、「何時までも変わらぬ美味しさ、思い出の味、○○チョコレート」・・・
などと出来るかも知れません。

私はディレクターの言葉に驚きました。
私はアマチュアの時には、ほとんど無目的に作曲をやっていましたから、「生まれ出るから作曲をする」という気持でしたので、「コンセプト」と「ターゲット」という言葉は、新鮮で忘れられない言葉になりました。

これなら「マンネリ」も「スランプ」もなくなるのではないか?・・・と思いました。
作品に「マンネリ」を感じたら、コンセプトとターゲットを変えれば良い訳ですから・・・。

また良く考えてみますと、世の中のいたる所にコンセプトとターゲットがあるようです。
今住んでいる部屋にしても、学生の一人暮らし用の部屋とか、夫婦と子供一人にちょうど良い部屋とか考えて作られている訳ですから、コンセプトとターゲットに取り囲まれて生活していると言えるでしょう。

さらに話を拡大して、「人生」というものにマンネリや疑問を感じた時にはどうでしょう。
コンセプトとターゲットを変えてみる手はないでしょうか。
例えば・・・

会社の為に、家庭をかえりみないで働いていた男が、不景気で会社をクビになった時に、「これからは家庭を中心に考えて生きよう」という場合、ターゲットは「会社から家庭」に変わった訳です。

今までは他人の事を考える余裕がなくて、自分の為だけに生きてきた人が、「これからは社会に役立つ事やボランティアでもやってみよう」という場合、コンセプトは「社会に役立つ事をする」。
ターゲットは「自分から他人や社会」へと変わったのです。

家庭の主婦が、子供も大きくなったし、ゆとりが出来たから「これからは自分の人生を考えよう」という場合、ターゲットは「子供への責任感から、自分の生きがい」に変わったのです。

今までは仕事で他人を喜ばせる作品ばかり創って来た人が、「これからは自分が本当に喜べる作品を創ろう」という場合、ターゲットは「他人、お金、名声から自分の生きがい、自分の本質的な喜び」へと変わったのです。

そう考えて来ますと、人々はみな人生の中で何度かは、コンセプトとターゲットを変えて生きているようです。
学生から社会人になる時、結婚する時、失恋した時、人生の節目や、ある時何かのきっかけでふとひらめいた時などに・・・。

ですから「コンセプト」と「ターゲット」は一般の人々にも身近な事のようですし、又積極的に利用してみる価値があるのではないでしょうか。
時々は自分のコンセプトとターゲットを考えて見るのも良い事かも知れません。

登校拒否や、大学へ入ったり社会人になった時に「五月病」になるというのも、コンセプトとターゲットを見失った状態という事かも知れませんし、学生が卒業してから、ちゃんとした会社に入らずに、フリー・アルバイターになる人たちが最近増えているのも、コンセプトとターゲットを見失っているからかも知れません。

人生を何となくぼんやり生きてしまう事は、良くある事だと思います。
そんな時、「コンセプト」と「ターゲット」を意識する事によって、新しく道が開けて来るかも知れません。
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