arata-tokyo-jp's blog(Henry Nagata)

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札束で人の心や世の中を変えられますか?

2005年03月27日 18時32分53秒 | エッセイ
ライブドア堀江社長の「企業乗っ取り問題」はフジテレビ、ニッポン放送、ライブドアだけの問題ではなく、日本中の子供からお年寄りまで皆が考えなければならない非常に重要な問題を含んでいると思います。
それは・・・
「人の心や世の中というものは、お金の力や腕力などの力によって簡単に変えることが出来るものなのだろうか?」という問題です。
これは他人事ではない筈なのです。
一人一人がそれぞれの年齢や立場に応じて、考えなければならない問題だと思います。
私にとっては、政治や経済などは苦手な分野ですから、ほとんどエッセイに取り上げる事はないのですが、今回の事だけは例外です。


堀江社長の事を好きな人たちの中には、停滞した世の中に対する「開拓者」、「新風を吹き込む人」というイメージを持っている人も多いのではないでしょうか?
現行の法律に触れていないのだから、何をやっても構わないという人もいるでしょう。
実際に裁判にも勝っている訳ですし・・・。

さて、裁判にも勝てて、ニッポン放送を手中に収め、次はフジテレビに圧力をかけて行く段階に入り、絶対的に優位に立ったかと思いきや・・・

先日のニュースでは、
ニッポン放送が保有するフジテレビ株をソフトバンク・インベストメントに貸し出したため、「ライブドアがニッポン放送を通じてフジテレビに影響力を及ぼすことが難しくなった」として、ライブドア株を売る動きが強まった。
という訳で、事態はここで一転・・・形勢逆転か?


ソフトバンクの孫社長のインタビューがありました。
ライブドアの堀江社長について、
「新しいことにチャレンジする姿勢は評価できる」としながらも、
「私はM&A(企業の合併・買収)を手がけてきたが敵対的買収は一度もない」
「望み望まれる場合はスムーズに行くが、望まれない場合は難しいと思う」
という事です。
なるほど、「敵対的買収」ですか。
言われてみれば堀江社長のやり方は、皆に嫌われながらの「敵対的買収」ではないですか。
全く冷静な判断だと思いまいた。


次はニッポン放送買収戦に電撃参戦した総合金融会社ソフトバンク・インベストメントの最高経営責任者北尾氏の話です。
「今、フジ、ニッポン放送、ライブドアにとってもよくない状態。大人の解決ができるなら協力することはあり得る」
なるほど、「大人の解決」・・・ですか。
また堀江社長のやり方については
「他人の家に土足で入ったのだから、もう一度玄関から入り直さないといけない」
という事です。
やはり堀江社長という人は、大人のやり方をせずに、ニッポン放送にもフジテレビに対しても「土足で」入り込んだ訳ですね。


では、放送局の番組スタッフや出演するタレントさんたちの反応はどうでしょう?

ニッポン放送の深夜の看板番組「オールナイトニッポン」の人気パーソナリティーだったシンガーソングライターの中島みゆき(53)、タレントのタモリ(59)らが、堀江貴文社長(32)率いるライブドアが同局の経営権を握った場合、番組降板や出演拒否する意向を示していたことが24日までに分かった。同局が書面にして東京高裁に提出した。
書面によれば、このほかにも、同局の「ショウアップナイター」で23年間解説者を務めている江本孟紀氏(57)、脚本家の倉本聰氏(70)、市川森一氏(63)らも番組降板を申し入れており、著名人が一斉に同局を離れれば、ホリエモンにとっては大きな打撃になりそうだ。
(夕刊フジ) - 3月24日17時3分更新
という事です。
世の中には、例え弱く貧乏ではあっても腕力やお金の力に屈服しない人も沢山いる筈です。
こういう人たちがもっと名乗りを上げて欲しいものだと思います。


今日はネットでは和田アキ子さんの話が話題に上っているようです。

アッコが堀江社長叱る「露骨で嫌」
歌手和田アキ子(54)が26日、レギュラー番組のニッポン放送「アッコのいいかげんに1000回」でライブドア堀江貴文社長(32)に不快感を表明した。
堀江政権になっても降板はしないとしたが「番組スタッフが変わるなら、全員でよそに行く」と現場介入しないようクギを刺した。

和田がかみついたのは、ニッポン放送の新株予約権発行をめぐる司法闘争に堀江氏が連勝した直後の23日の会見。
同放送社員を「従業員さま」と呼んだことを取り上げ「急におかしいだろ、急に。急にそれはないだろ。土足で人の家に上がって『よろしく』って言ってたヤツが、急に『従業員さま』って。
あれは露骨で嫌だね」と、態度の急変ぶりに不快感を隠さなかった。

買収法についても「同放送はフジへの『ステップ』にすぎないのよ。同放送社員の気持ちをもっと聞けよ、お前は! 」としかりつけた。
「世の中が、意味も分からず『若い者の風を吹き込まなきゃ』ってなっている風潮も怖い」と、一部の堀江支持層にも疑問を投げかけ、堀江氏に対する怒りは収まらない様子だった。
(日刊スポーツ) - 3月27日9時54分更新
また萩本欽一、美川憲一両氏もホリエモンに反発し、出演辞退を表明しているようです。


「植民地」という言葉があります。
辞書で調べてみると
ある国からの移住者によって経済的に開発され、その国の新領土となって本国に従属する地域。
武力によって獲得された領土についてもいう。
とあります。
日本は過去に於いて、どこかの国を植民地化したとして、今でも嫌われているようです。
しかし、戦争によって他国を侵略したり植民地化するというのは、日本だけがやった事ではない訳です。
もし日本が戦後何十年経った今でも本当に嫌われているのだとすれば、それは何かその方法に誤りがあったのではないでしょうか?


あるサイトでは次のような言葉も見付けました。
「公共性の高い電波や新聞は札束と同じ次元のものではない」
「今度の一件は、マネーゲームばかりが目について、メディアに対する情熱あふれる高い理念がさっぱり見えてこない」(香)
との事です。

政治家の中にも、この問題に対して発言している人がいるようです。
例えば森前首相は、
「若干の疑問を感じる」
「カネさえあれば何でもいいんだ、力ずくでいいんだという考え方は、今の日本の教育の成果なのか」
との事です。

ニッポン放送社長のカメちゃんも言っていました。
「自分は若い人が好きだし意見も聞くけれども、彼を若者の代表とは思わない」
「彼のやり方をテロ行為だと言う人もいるが、私もそう思う」と。


世の中に新風を吹き込むような人物は必要だと思います。
開拓者、開拓精神も必要です。
しかし堀江氏はインターネット関連の社長です。
インターネットにとって一番大切な事は、「コミュニケーション」ではないでしょうか。
コミュニケーションを全く取らずに、金の力によって強引に奪い取るようなやり方をして、仮に一時的に目的を達成したとしても、それが何時まで続くというのでしょうか?

金の力や腕力によって、本当に人の心や世の中を変えられるとでも思っているのでしょうか?
尊敬どころか人から嫌われているような人物が、ある種の力によって人々を屈服させ、自分の思い通りに出来るというような考えを何時まで持ち続けているのでしょうか?
これは他人事ではなく、子供から老人まで全ての人が考えなければならない問題だと思います。
またテレビやラジオというものは、ただ単なる娯楽や情報提供ではなく、「ジャーナリストとしての高い理念」という事も重要な要素であると思います。

権力を持つ立場にある人、経済力のある人、商才のある人、才能のある人、腕力のある人・・・
こういう人たちは「ある力」、「影響力」を持っている人たちです。
この「力を持った人たち」が、ただ単に力任せに何かをやり出したら、一体どんな世の中になるのでしょうか?
こういう人たちには、人一倍の「柔軟な対話の精神」や「倫理観」、「尊敬される人格」などが必要なのではないでしょうか?
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6 コメント

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 (eruze)
2005-04-02 10:12:32
世の中のリーダーが備えていてもらいたいもの。



才能と実力と人柄、それから色んな意味で

「志」が際立って高潔であって欲しいですね。



…勿論、ホリエモンに限らずです。

返信する
「志」で思い出しましたよ (あらたん)
2005-04-02 16:12:02
孔子の言葉ですが・・・

十有五にして学を志す。

三十にして立つ。

四十にして惑わず。

五十にして天命を知る。

六十にして耳順がう。

七十にして心の欲する所に従って矩をこえず。



若い頃にこの言葉を知りましたが、特に印象に残った言葉は、

六十になって人の言葉が素直に聞かれ、

七十になって思うままに振舞っても、それで道を外れないようになった・・・という言葉です。
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ホリエモン (おーどりー)
2005-04-02 18:13:01
女は金について来るとか本に書いたんですよね、この人。

ついていく人もいるかもしれないけど、全員だなんて思って欲しくないですよね。

現に、これだけ多くの人間が、彼に対し反感を持ってるわけですから、ねぇ。

若者代表というよりも、バカ者代表という感じ。

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バカ者代表でしたか~! (あらたん)
2005-04-02 18:32:17
女は金について来る・・・なんて書いていたのですか?

うわ~、驚きですね~!

もうアメリカなどでは「敵対的買収」なんて反発が多くて、あまり実現しなくなっているようですね。

「新風」でも何でもないのですね。
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いづれは (まりあち)
2005-04-08 08:02:33
この人も世の中の哀しみを知るのです。
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そうですよね~! (あらたん)
2005-04-08 21:29:54
この人も、その後は中々思い通りには行っていないようですね。

敵対的買収ではね~!

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