投資家の目線

投資家の目線283(ジョゼフ・ナイの国際紛争)

 こんな時期なので、どうしても外交問題に関心が行く。

 「国際紛争[原書第5版]理論と歴史」 有斐閣 ジョセフ・S・ナイ・ジュニア著 田中明彦/村田晃嗣訳 によれば(以下黒太字は同書引用、カッコ内はページ数、青太字は当方の感想)、

バランス・オブ・パワーと言った時の第2の用法は、バランスをとるという政策のことである。この意味のバランス・オブ・パワーからすれば、諸国家はどこかの国が圧涛I優越を達成するのを防ぐように行動するはずだ、ということになる。
…中略…
 バランス・オブ・パワーの政策は、負け犬(アンダードッグ)を助ける政策である。勝ち犬(トップドッグ)を助ければ、最終的に勝ち犬は、向き直ってこちらを食おうとするかもしれないからである。
」(P80~P81)


 アメリカ合衆国と中華人民共和国を軍事力で比較すれば、中華人民共和国のほうが弱いだろう。力のバランスを取るには中華人民共和国を援助することが合理的だ。


脅威認識は、しばしば脅威の近接性に影響される。世界的なある種の絶対基準で見れば弱い隣国であっても、その地域や近隣にとっては脅威になりうる。」(P82)


 中華人民共和国はアメリカ合衆国より日本に距離が近い。そのため中華人民共和国は日本にとって脅威になりうる。


バランス・オブ・パワーによる予測にさらに例外が生まれる事情としては、世界情勢における経済的相互依存の役割が増大していることがあげられる。
…中略…
経済的考慮からすれば、単純にバランス・オブ・パワー政策に従うなら失われたであろうような共同利益が、しばしば存在するのである。
」(P83)


 中華人民共和国は日本にとって最大の貿易相手国(2008年)。距離の近さは物流の点で有利だ。日中間には共同利益が存在すると考えられる。

 トータルとして見ると、対立していていいのか?


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・2011/9/28の河野太郎衆議院議員のブログによれば、日中漁業協定では北緯27度以南(尖閣諸島のある水域)では取締りをできるのは自国漁船だけとされているという。衝突されたとはいえ、日本の巡視艇が中華人民共和国の漁船を取り締まるのは、漁業協定の一方的な破棄と解釈されないか?

・今回、韓米FTAは批准できなかった。それにしても、アメリカ合衆国が自動車の環境基準の緩和まで大韓民国に要求するのはいかがなものか。

・海上保安庁のビデオ流出事件で、その映像は9月17日に海上保安大学校に提供され、共有フォルダーにアクセス制限もなく4、5日残されていたと報道されている(共同通信2010/11/14)。前原氏は内閣改造で、ちょうど9月17日に運輸大臣から外務大臣に転出した。前原大臣の組織運営力にも問題はなかったのか?
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