先日のG20で主要銀行の自己資本規制強化の方針が示された。普通株のような質の高い資本の強化がうたわれれば、邦銀の経営戦略が見直しを迫られる公算が大のようだ(参考:日本経済新聞2009/9/8朝刊)。
7月に日本銀行の人の講演を聞く機会があった。現在、劣後債も自己資本規制の補完的項目となっているが、あくまでも債券なので、元利払いが滞れば市場ではデフォルトと見なされる。そのような評判のリスクを防ぐには、質の高い資本の比率を高めるような規制は理にかなっている。邦銀が規制強化に対して何らかの提案をするにしても、その方向性は踏まえる必要があるだろう。また、4月のG20首脳会議では「単一の質の高いグローバルな会計基準の実現」もポイントとされているので、国際会計基準への集約も逃れることができない。日本独自の論理を振りかざして国際基準から外れ、そのために再びジャパン・プレミアムが発生しては元も子もない。
なお、今回の危機の根本原因は規制・監督の失敗で、欧米当局は「規制を強化すれば将来の危機は防げる」と考えており、それが国際的な議論の方向性だという。欧米の金融機関に対する情緒的なバッシングだけでは、海外から相手にされそうになさそうだ。
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・12日に日本航空にデルタ航空とエールフランスKLMが出資する資本提携交渉が報道された。NHKは、交渉がまとまれば「世界最大の航空グループが誕生する」ことになるとしているが、報道されている程度の出資では大げさな表現と思う。1998年頃、日本の金融機関が苦境に立っていたとき、盛んに海外金融機関の出資を受けようとしていたことを思い出す。
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