投資家の目線

投資家の目線358(石原都知事の挑発行為)

 石原都知事が、東京都が尖閣諸島の一部を買い取ると表明した。2010年9月の漁船衝突事件ときのように対中警戒網に対する懸念から、中華人民共和国側が荒事には出ないだろうと踏んでいるのかもしれない。

 2010年10月1日前原外務大臣(当時)記者会見によれば、クリントン国務長官は、「領有権について我々はコメントはしない」としている。また、2005年の日米同盟「未来のための変革と再編」で、「日本は、弾道ミサイル攻撃やゲリラ、特殊部隊による攻撃、島嶼部への侵略といった、新たな脅威や多様な事態への対処を含めて、自らを防衛し、周辺事態に対応する。これらの目的のために、日本の防衛態勢は、2004年の防衛計画の大綱に従って強化される」(http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/usa/hosho/henkaku_saihen.html)。そのため、尖閣諸島の防衛は、日本国の責任だ。かつ、日米安保の適用範囲は日本の施政下にあるところである。『一九九六年九月十五日、及び十月二十日のニューヨーク・タイムズ紙は、「米国軍は安保条約で(尖閣諸島をめぐる)紛争に介入を義務づけられるものではない」とする、モンデール駐日大使の発言を報じた』(「日本人のための戦略的思考入門」 孫崎享著 祥伝社)、またリチャード・L・アーミテージ氏は「日本が自ら尖閣を守らなければ、(日本の施政下になくなり)我々も尖閣を守ることはできなくなるのですよ」(「日米同盟VS.中国・北朝鮮」リチャード・L・アーミテージ、ジョセフ・S・ナイ・Jr、春原剛著 文春新書)とされている。さらに、日米安全保障条約第5条では、「各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する」となっているが、宣戦布告をするのは議会とアメリカ合衆国憲法に書かれている。尖閣問題で、米軍は当てにできない。

 また、尖閣諸島は台湾も領有権を主張しており(中国が領有権を主張しているのは、尖閣は台湾の一部としているためである)、17日には台湾外交部の報道官が、石原知事の発言について「一切承認できない」(2012/4/17 毎日.jp)と発言している。リ・トウキ元総統のように日本の領有権を擁護している人もいる(大陸中国と日本を対峙させたままの方が、台湾にとって有利と考えているのかもしれない)が、その考え方が多数派ではなければ、台湾との関係にも悪影響が出るだろう。

 石原知事は、どのあたりを「落としどころ」として考えているのだろう?

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・サンデー毎日4.29増大号には、『仕組まれた小沢裁判「最高裁」の“検審”裏金疑惑』という記事が掲載されている。また、天木直人元レバノン大使の2012/4/20のブログ「小沢起訴の真相究明が野田首相の訪米阻止に発展する予感」では、小沢氏を強制起訴した東京第5検察審査会は審議らしい審議をしていないのではないかという疑惑を取り上げていた。「検察審査会ハンドブック」など発行している最高裁には、「裁判員制度」の広報業務に関して不適切な契約・会計処理を行った前科がある。司法関係機関が業務を適切に行っているか、市民が監視するのは当然だ。
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