投資家の目線

投資家の目線76(能美防災の増資)

 2006年11月22日、能美防災がセコムに対し、140億円の第三者割当増資することを発表した。研究開発投資と生産設備投資に30億円ずつ回されるが、60億円は社債の償還資金に使われる。同社の総資産は625億円であり、60億円は総資産の1割未満に過ぎず、これを返済すると同社の有利子負債は短期借入金の2.6億円のみに低下する(2006年9月中間決算連結貸借対照表参照)。
 低金利時代ではあるが、支払利息は費用なので、有利子負債は税金の支払い金額を節約する効果がある(株主は企業に税金を支払ってもらうより、株主へ最大の経済的リターンを提供してもらう方がありがたい)。法的保護の強い負債利子率(債権者の収益率)は株主の要求収益率より低いし、負債比率が一定水準以下ならば、梼Yリスクも考慮するほどではないだろう。負債利子率がROA(総資本利益率)より低いと、負債比率が高いほうがROE(株主資本利益率)も高くなる。このようなケースは増資より負債による資金調達の方が企業価値が上がったのではないだろうか。
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 先々週記述した、川崎市からの情報開示はなかった(You Tube藤田東吾社長の開示請求に応じない川崎市 参照)。住居としてもそうだが、投資用マンション購入の際にも開示があったほうが良いと思うが、情報開示がないため耐震強度不足のマンションを購入してしまう危険性はないのだろうか。
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