投資家の目線

投資家の目線75(明星食品1株870円)

 2006年11月15日、日清食品が同業の明星食品に1株870円でTOBをかけることを発表した。明星食品の連結財務諸表を見ると、総資産に対して有利子負債はかなり少ない。したがって、同社の資本コストは株主の要求収益率とほぼ等しいと考えても差し支えないだろう。2006年11月16日 日本経済新聞朝刊で投資家の期待利回り4%(食品セクターは景気の影響を受けにくいディフェンシブセクターなので株主の要求収益率を低く見積もっていると考えられる)、2007年9月期の連結配当性向66%を前提として1株当たり買収価格を計算しているが、社外流出を配当のみとすると、それに整合的な株主資本利益率(ROE)を、定率成長配当割引モデルを利用して計算する。

 理論株価=前期配当×(1+配当成長率)/(株主要求収益率-配当成長率)

また、配当成長率=サステイナブル成長率=ROE×内部留保率=ROE×(1-配当性向)とし、2006年9月期の1株当たり配当16円、株主要求収益率4%、配当性向66%の数値を代入すると、
 理論株価(870円)=前期配当(16円)×{1+配当成長率(ROE×(1-0.66))}/{株主要求収益率(4%)-配当成長率(ROE×(1-0.66))}

より、これを満たすROEは約6.24%である(2006年9月期の連結当期純利益775百万円、連結ROEは3.00%)。このROEを実現するには2006年9月期の連結純資産26,361百万円で計算すると1,645百万円の当期純利益が必要で、これは前期の2倍以上の利益に当り、実現はそう簡単ではないだろう。国内市場のみで考えると、日清食品と合わせて相当の経費削減が必要と考えられる。
 明星食品が日本で業界1位の日清食品との提携を選択したのは正解であろう。JETRO制作の番組を見ると、日清食品はインド市場開拓等に熱心であった。国内消費が縮小に向かう中、国内市場で競争しても労は多いが、その割りに利益は少ないと思われる。
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・先週水曜日、ある女優の結婚問題が新聞等で報道された。木曜日にはテレビ朝日系列で主演の連続ドラマが放映されているし、金曜日にはフジテレビ系列で2時間ドラマが放映された。メディアミックス戦略は功を奏するのだろうか、注目である。TBSの女子バレーの問題といい、テレビ局が悲鳴を上げているようだ。

・ライブドア事件の公判の状況は、ライブドアのポータルサイトが詳しく報告しており興味深く読める。

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